特集:日本を再生する――国と地方のストラテジー
鳩山政権が発足して100日が経過し、臨時国会や来年度予算編成など具体的な政策が動き始めた。だが、政権を取り巻く環境は、国内外を問わず、さらに厳しさを増しつつある。終わりの見えない世界的な景気悪化、進む少子高齢化と人口減少、疲弊する地方……。「地域主権」を掲げる新政権は、ここからどう日本を再生していくのか。国、地方の両面からその道筋を考えてみたい。
〈Interview〉
逢坂誠二・内閣総理大臣補佐官に聞く
――“地域主権改革”が日本を再生する
「地域主権改革」は、中央政府が分け与えるという意味での「分権」ではなく、主権者である国民がそれぞれいきいきと地域の中で暮らすことができる主権者中心の分権型社会をつくっていくという視点に立った言葉だ。地域づくりに面的に取り組む「緑の分権改革」とあわせて、日本の再生をめざしていく。
●「地域主権」の実現と「基礎的自治体」の重視
/東京大学名誉教授 大森彌
●地域再生への税財政改革
/北海道大学公共政策大学院教授 宮脇淳
●「地域主権国家」と地域コミュニティ
/早稲田大学大学院公共経営研究科教授 片木淳
●「多極集中」のビジョン──持続可能な福祉社会と地域の「幸福」
/千葉大学法経学部教授 広井良典
●再生で試される“地域の力”
/コモンズ代表、ジャーナリスト 大江正章
【取材リポート/地域からの再生戦略】
●京都府――府民からの公募により安心・安全に関わる公共事業を実施
山田啓二知事インタビュー「住民意思に基づく公共事業で新たな方向性を示す」
●岡山県西粟倉村――森林の施業管理を村が行う「100年の森林構想」
●千葉県立東金病院――地域一体となって医療再生に挑む
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【「地方主権」へのビジョン】
地方の創意工夫・エネルギーで、国全体の水準を高めていく
――麻生渡・福岡県知事/全国知事会会長
2005年2月に全国知事会会長に就任した麻生渡・福岡県知事。09年5月からの会長3期目は「行動し日本を変える知事会」を掲げる。「地域主権」を掲げる新政権にどのように立ち向かうのか。地方側の戦略と決意を聞いた。
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【スキルアップ特集:やわらかアタマの発想術】
自治体をめぐる状況は大きく変化し、発想の転換を迫られる場面が増えています。しかし、なかなか頭を切り替えられず、前例のないことを考えるのが苦手、いいアイデアが思い浮かばない……という人もいるのでは?発想・アイデア力は、特別な部署の人だけに求められるものではありません。新たな市民ニーズに応えるために発想力を磨き、やわらかアタマで仕事をしましょう!
●〈Interview〉平井工・発明学会会長に聞く
困ったときがチャンス!仕事に役立つ発想力の高め方
●今日からできる!アイデアを生み出す技術
/アイデアプラント代表 石井力重
●地域を元気にする!ブランド戦略〜成功への発想法
/ブランドネットワークインセプト代表 渋谷清
●スキルアップ連載
・できる人の仕事術〜職場のキーマンになろう!/伊藤章雄
・こうすればうまくいく!会議の技術/八幡紕芦史
・もう悩まない!ハードクレーム解決法/関根健夫
・失敗に学ぶ明日へのヒント/田村秀
・発想を変える広報・PRトレーニング/平能哲也
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【取材リポート】
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●平成にっぽんの首長 自治の自画像
藤原忠彦 長野県川上村長
――農山村は「屋根のない学校」であり、「屋根のない病院」でもある
かつては貧しい寒村だった長野県川上村は、レタスの一大生産地を築き上げ、「野菜王国」と称されるまでになった。高原の村には経済的な価値だけではない本当の豊かさを追求する首長がいる。
藤原村長:08年夏に完成した川上中学校は村有林のカラマツ7000本を使った大規模木造建築。「明治期にはカラマツ林業で栄えた。林業は生命維持産業。林業再生に公共事業で使う木材はすべてカラマツを使う」と話す。
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●検証!市町村合併の現場を歩く/葉上太郎
子育て支援の“後始末”――宮城県大崎市旧岩出山町、独自施策は責められる
「高校入学まで学齢に応じて計100万円を支援するから10年の間に第3子以上を生んで下さい」。過疎化に悩む町がそんな施策を打ち出した。ところが町は、対象の子ども達が高校へ入学する前に合併してしまう。新市では旧他市町の議員から「不平等だ。廃止せよ」と追及が始まった。果たして「約束」はどうなったのか。
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●政策を創る――「地方政府」の職員力
新しい地域自治の仕組みづくりに「地域協議会」を発足──横浜市泉区
横浜市泉区は、区内12の連合自治会町内会のエリア単位に各種団体等で組織する「地区経営委員会」を設置。合意形成を図りながら地域の課題解決に向けた取り組みを進めている。さらに、地区経営委員会からの委員で構成する「泉区地域協議会」を発足した。多様な地域課題へのきめ細かな対応と、区政運営への区民参画を進めるのがねらい。政令市の行政区が独自に地域協議会を設置するのは、全国で初めての試みとなる。
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●協働&広域 エコ・ガバナンスの時代へ/杉本裕明
水道事業の合理化・縮小で水道料金を値下げ──ダウンサイジングを推進する自治体
より安全でおいしい水を大量に消費者に供給することを目指してきた自治体の水道事業。いまや節水型社会となり、需要は減少し、過大な供給能力がコスト高を招いている。水道事業の合理化と縮小を進め、水道料金の値下げにつなげる川崎と大阪を見た。
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●“地域”というセーフティネット/田中元
政権交代によって介護の現場はどう変わるのか?
政権交代を果たした民主党は、衆院選マニフェストで「介護従事者の処遇改善」を掲げ、「介護報酬を7%加算し、介護労働者の賃金を月4万円程度引き上げます」とうたった。予算編成の厳しさが増す中で、これらの政策は実現できるのか。また、介護分野を「雇用の受け皿」とする戦略は、介護現場にどのような影響をもたらすのか、考察してみたい。
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●議会改革リポート[変わるか!地方議会]
超党派の地方議員が連携し、国の法制化に関与──海ごみ対策推進地方議連
09年11月6日に行われた第4回マニフェスト大賞授賞式で、超党派の地方議員による「海ごみ対策推進地方議員連盟」が地域環境政策賞を受賞した。同議連がNGOと連携して国会議員に働きかけた結果、7月に「海岸漂着物処理推進法」が衆参とも全会一致で可決。地方議員が県境を超えてネットワークを結び、立法に深く関与したことが高く評価された。自治体議員の政策づくりの新たなモデルとしても注目される。
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【連載】
●ガバナンス・トピックス
・道州制をテーマに国内初の「討議型意識調査」(DP)を実施──神奈川県
・地方分権改革の「これまで」と「これから」を展望──日本自治学会第9回総会・研究会
●ガバナンス・トピックス
・新庁舎移転を機に、「市民協働」を柱とする新行革大綱を策定へ──青森県むつ市
●童門冬二の日本列島・諸国賢人列伝
政変時の役人感情 佐藤一斎(7)
●ザ・キーパーソン/清水真人
●栗山発!議会改革サポートの真髄/中尾修
●山田厚史の経済言論
●地方自治のミ・ラ・イ/金井利之
●市民の常識VS役所のジョウシキ/今井照
●分権改革を追う/青山彰久
●破綻を希望に/村上智彦
●自治体職員冬の時代の「人事戦略」/稲継裕昭
●市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹
●公務職場の人・間・模・様/金子雅臣
●もっと自治力を!広がる自主研修・ネットワーク[K33ネットワーク]
●「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭
●リーダーズ・ライブラリ
●[著者に訊く!/[『「世界遺産」の真実』佐滝剛弘]
●DATA・BANK2010 自治体の最新動向をコンパクトに紹介!
・霞が関エクスプレス
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【カラーグラビア】
●つながり2010──人、ここに生きる/大西暢夫
徳山の生きかた──小西政治郎さん、かのさん一家(旧岐阜県徳山村)
●森の恵み・森の聲/芥川仁
●タイムスリップ江戸の愉しみ
●はたらくゆるキャラ――[たんぽ小町ちゃん]
●FACE/山本祐輝・岡本英樹
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●特別対談企画
前市川市長 千葉光行×マイクロソフト常務 大井川和彦
――「職員意識改革にITを活用し、『IT先進都市』に」
●特別広告企画
自治体と情報セキュリティ
──ネクストステージに入った情報セキュリティ対策