ジェンダーギャップ解消にいち早く着手した行政の奮戦記

若者・女性の流出問題に取り組む7万4000人が暮らす

小さな行政の組織改革

ZERO GAPとよおか・編著
生産性出版／2,200円＋税

　2018年当時、本格的に取り組む自治体がほぼ無かった「ジェンダーギャップ解消」に、いち早く真正面から向き合い、今や先行事例として全国から視察や取材が殺到しているという兵庫県豊岡市。本書では、その視点をもつに至った経緯、具体的にどのように取り組みを進めてきたのかを元市長、職員、アドバイザーなど関係者7人の証言で綴っていく。

　若い世代、特に女性のUターン率が男性の半分だということに危機感を募らせた市長は、自らが旗振り役となり、周りを巻き込み怒涛の取り組みを開始。事実を受け止め、確固たる信念とスピードをもって、行政が一丸となり改革を果敢に進めていく。そこにある「熱」と「いいまちにしたい」という強い思いを感じつつ、成功の「カギ」を取り入れてみたい。

新人のうちに身につけたい仕事の作法をマンガで学ぶ

マンガでわかる！

公務員１年目の教科書

堤　直規・著、中林まどか・マンガ
学陽書房／1,800円＋税

　民間とは違う作法にとまどいがちな公務員の、新人のうちに知っておきたい仕事のコツや姿勢を優しい筆致で解説した、2016年刊行のロングセラーをマンガ化。

　新人公務員、あおいが失敗や小さな成功を積み重ね、課内の頼りになる先輩、同期や先輩に刺激を受け、助けられながら成長していく姿が描かれる。1か月で身につけたい習慣、３か月で押さえたい「公務員の鉄則」、独り立ちへの地固めに向かう６か月、１年、５年後と、将来の自分の姿を見据えながら段階を踏んで「一生モノの仕事の作法」を学ぶことができる。著者もマンガ家も自治体出身。柔らかな絵柄が不安を抱えがちな新人に寄り添ってくれる。公務に慣れてきた1年目職員だけでなく、中堅やベテラン職員も振り返りに最適だ。

仕事に幸せと誇りを育てる組織ビルディングのノウハウ

「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる

上司も部下も幸せになるマネジメントの極意

前川孝雄・著
合同フォレスト／1,600円＋税

　管理職が疲弊している、管理職をめざす人が減っている、というのは民間だけでなく、公務職場でも昨今よく聞かれる話だ。はたして、管理職は“罰ゲーム”なのか？

　答えは否。本書では、管理職の面白さと可能性を具体的に示していく。残業が少ない、給料が高いなどの「働きやすさ」だけでなく、個々が力を発揮できる、充足感を抱ける「働きがい」へ。上司もメンバーも、ともに意欲と成果の上昇スパイラルに乗るためのヒントが満載だ。こうした舵取りこそ管理職の醍醐味だろう。著者は「上司力®」を提唱し、数多くの団体の管理職を支援してきた。その経験に基づくチームビルディングのノウハウは説得力大だ。管理職はもちろん、キャリア選択の岐路に立つ人にも、おすすめしたい。

労働災害は、働く人すべてが当事者になりうる事案です！

裁判所の判断ポイントがすぐわかる精選裁判例

労災認定・安全配慮義務

隼あすか法律事務所・編集
ぎょうせい／4,800円＋税
詳細はこちら ≫

　“労災”は、職場での事故に限らず、熱中症・テレワークの業務上の疾病など、多種多様な事例が増え、また、労災と相互関係にある安全配慮義務についても同様に事例は増えている。

　本書は、肯定・否定双方の裁判例（114件）をケース別に収録し、それぞれの事例をコンパクトに解説したものである。また、公務員にとっても労災事案は他人事ではなく、第１編の「労働災害」では５問（第２章Q21など）の公務災害を掲載し、第２編の「安全配慮義務」では、公務員に直接関係のある事例を多数掲載している。

　いつどこで起きてもおかしくない労災・安全配慮義務違反のリスクに、裁判例を通じてしっかり対応できるので、ぜひとも手元に置いてほしい実務書である。