ぎょうせいの定番商品
【図書案内】外国人の法律相談Q&A 第四次改訂版|第一東京弁護士会人権擁護委員会国際人権部会/編
自治体法務
2019.10.23
『外国人の法律相談Q&A 第四次改訂版』について
外国人とわが国の法律の問題は、グローバル化の進展やインバウンド需要の高まり、外国人材の受け入れも相まって、ますます喫緊の課題となっています。小社の定番商品である『外国人の法律相談Q&A』が改訂版を発行する運びとなりましたので、改めて本書の内容や注目のポイントについて解説いたします。
『外国人の法律相談Q&A 第四次改訂版』発刊の辞
当会は、1992年に、在留外国人が抱える様々な法律問題の解決の指針となるべく、『外国人の法律相談Q&A』を発刊しました。本書は、出入国や在留をめぐる問題、夫婦・親子をめぐる問題、労働に関する問題、相続や税金、年金などの多岐にわたる法律問題を網羅的に解説するものとして評価をいただき、その後も数次にわたって改訂を重ねてまいりました。
前回の改訂版を2016年に発刊した後、2017年にいわゆる技能実習適正化法が施行され、2018年には、新たな在留資格「特定技能」の創設、出入国在留管理庁の設置などを内容とする出入国管理及び難民認定法の改正が行われ、これに併せて2018年末には、新たな外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策も策定されています。また、2018年1月からは「難民認定制度の適正化のための更なる運用の見直し」、2019年4月1日からは国際人事訴訟の裁判管轄に関する改正人事訴訟法の施行などの重要な制度の改変がありました。
本書『外国人の法律相談Q&A―法的ポイントから実務対応まで―〈第四次改訂版〉』は、技能実習適正化法の施行、在留資格「特定技能」をはじめとする新たな外国人労働者受入れをめぐる制度改革、難民認定制度の見直し、国際人事訴訟の裁判管轄などについて加筆を行って改訂したものです。
グローバル化する世界情勢のもと、2018年に日本に入国した外国人は約3,010万人、前年比267万人増となっています。また、人口減少・中長期的な労働力不足が見込まれる中で、日本の外国人労働者数は約146万人(2018年10月末時点)となり、2013年時点の約72万人から倍増しています。
本書は、外国人が日本に入国し、社会の一員として生活するにあたって直面する様々な法的問題に答えることを目的とするものであり、このような大きな社会の変化の中で、外国人にかかわる行政・司法関係者、外国人の支援や相談事業にかかわる皆さん、外国人を雇用する事業者にとっても有益なものであることを確信しております。
本書が皆様に活用されることを切に願うものです。
2019年9月 第一東京弁護士会会長 佐藤 順哉
まえがき(抄)
観光目的等で日本に入国する外国人は、2018年の1年間で3,000万人を突破し、過去最高を記録しております。その中には、インターネット等の通信手段、SNSの発達に伴い、アニメ・コミックをはじめとする日本の文化が積極的に世界に発信されることとなり、それに興味をもち来日する外国人も含まれます。このように、海外でも日本の文化や生活に触れる機会が増えてきていることが、日本に長期間滞在したい、さらには生活の本拠を日本に置きたいと希望する外国人の増加につながっていると考えられます。
また、日本で実際に中長期在留する外国人の数も、2018年末時点で273万人を超え、こちらも過去最高となりました。
外国人に魅力ある日本であるためには、法律相談を受けた者が単に法律を適用して結論を出すだけではなく、外国人の人権が侵害されていないかどうか常に留意する必要があろうと思います。多くの外国人が来日し、また、長期間生活をすることにより、日本の文化や生活を理解してもらうことは、他国との友好的関係を築く上で最も効果的であり、かつ、「恒久の平和」を目的とする日本国憲法の精神にも適うものであることはいうまでもありませんが、外国人の人権をないがしろにして、魅力ある日本や他国との友好的関係を築くことはできません。
本書が、外国人からの法律相談を受ける方々のお役に立つと同時に、外国人の人権を保障することの一助となれば幸いです。
2019年9月 第一東京弁護士会人権擁護委員会 委員長 土井 智雄
本書の目次
第1章 出入国管理概説・難民・在留管理制度
第2章 帰化・無国籍
第3章 結婚・離婚及び夫婦関係
第4章 親子関係
第5章 相 続
第6章 就労・雇用及び経済活動
第7章 留 学
第8章 刑事手続
第9章 税 金
第10章 暮らしの法律相談
〈公的機関の利用〉〈教育〉〈差別の禁止〉〈社会保障〉〈民事裁判手続の利用〉
巻末資料
事項別索引
裁判例年月日索引
次のページでは、本書においてQ&A形式で解説していく疑問の一例をジャンル別にご紹介します。