知っておきたい危機管理術/酒井 明

酒井明

危機管理術 豪雨水害にどのように対処するか

NEWキャリア

2020.07.17

知っておきたい危機管理術 第47回 豪雨水害にどのように対処するか
東京福祉大学 酒井 明

『地方財務』2019年12月号

 今年、東日本に起こった台風19号等による豪雨は、大規模な浸水被害をもたらし、激甚災害に指定された。台風や豪雨による被害は毎年深刻化している。こうした異常事態に対応し、国はその対策を急ぐべきであるが、我々個人も抜本的な水害対策に乗り出さねばならない。地球温暖化が言われて久しいが、人類はその流れを止めていないのだから。

ハザードマップは2種類ある

 2018年より始まった国土強靭化計画で堤防のかさ上げが行われているが、これを前倒しで急ぐべきである。台風19号によって、120か所近くで堤防の決壊が確認された。都道府県が管轄する、中小河川の氾濫時の浸水想定地域のハザードマップが、不完全であったとされている。

 短時間の集中豪雨による内水氾濫を仮定した内水ハザードマップと、河川からの氾濫を仮定した洪水ハザードマップの2種類がある。市区町村のウェブサイトで最新の情報を確認しておくことが大切だが、今回の台風19号関連で40%近くの人がハザードマップを見ていなかったという。また、80%の人が自分のところは大丈夫との認識を持っていたという。

 個人個人が自分の問題として認識することが重要である。住民が自ら暮らす地域の危険性を認識することが被害を減らすことにつながる。地震とは違い、危機予想があらかじめたてやすい点は最大限利用し、対策するべきである。「まさか、うちがこんな被害にあうなんて」「他人事だと思っていた」はもう通用しないのである。

 我々個人はどう豪雨災害に対処するか。まず他人事でなく、自分の問題として捉えること、そのうえで現在の災害の基本的知識を習得する。

豪雨水害3つのパターン

 豪雨水害として、外水氾濫、内水氾濫、都市型水害がある。外水氾濫は豪雨により堤防が決壊し、水が市街地に流れ込む氾濫である。特徴は、きわめて短い時間で広い地域に被害が及び土砂や汚泥がたまり、復旧に時間がかかることだ。内水氾濫は豪雨により排水管が処理しきれない水が、マンホール等から噴出する氾濫である。都市型水害は内水氾濫の一種であるが、大都市圏特有の氾濫である。ゲリラ豪雨により、狭いエリアに短時間で集中的に雨が降る場合、道路の表面がコンクリートやアスファルトで舗装されているため、雨水が地面に浸透せず、降った雨が下水道や河川に直接流入する。雨量が排水能力を超えるとすぐに浸水し氾濫する。自治体によっては地下に巨大な雨水調整池を建設したりしてその対策をしているところもある。

 一般に浸水深が50cmを超えると床上浸水と呼ばれる。床の上まで水が入るので家財も水没し、被害も床下浸水と比較して多大になる。今回も、大量のごみをどうするかが問題となっている。

家庭で行える浸水対策

 家庭で行うべき対策をより具体的に考えてみよう。台風による豪雨は被災までのリードタイムがあるので事前の対策が取りやすい。第一に浸水防止のために水嚢の準備がある。大型の水嚢も販売されていて中に水を入れると膨れ上がりすぐに使え、終われば水を抜きたたむとコンパクトになる。市販もされているが簡単に作れる。ごみ袋やレジ袋を二重にすると破れにくく、袋の半分ぐらいに水をいれ、空気がたまらないようにきつく縛れば水嚢の完成である。洗濯機やキッチン、トイレの排水口に水嚢を置けば逆流を防ぐことができる。第二に下水道の側溝や雨水のといの清掃がある。枯葉やごみが溜まっていると浸水の原因となる。第三に止水板の設置である。過去に浸水したことのある場所は止水板を設置して水の流入を防ぐ。水嚢を段ボールに入れ、ブルーシートで包めば簡易な止水板となる。

避難時の注意点

 避難を余儀なくされた状況下ではどのように行動するか。豪雨の中の避難や冠水した道路を使った避難、暗くなってからの移動は体力に自信のある人にとっても危険であるので、垂直移動、すなわち家の上層階への移動がよい。その際、水や食料のほか、貴重品や簡易トイレ、外部バッテリー、予備電池、ラジオも上層階に上げておくとよい。鉄筋コンクリートであれば近隣宅の2階以上に避難させてもらうことも考える。たとえ、避難勧告が発令されていても、夜間の場合や濁流に包囲されている場合は、そのまま自宅や近隣宅に避難する。いずれにしろ、早期の避難に勝る避難方法はない。障害者や高齢者のような災害弱者がいる場合はなおのこと、場合により台風が来ない他県への広域避難を考えておくとよい。やむを得ず雨の中を避難しなければならない場合、水が入ったら動けない長靴ははかず、長い棒で足元を確認しながら進む。また懐中電灯より頭につけるヘッドランプがよいであろう。

 津波の時にも言われたが、「自分の身は自分で守る」ことが豪雨災害の場合も当てはまる。

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酒井明

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東京福祉大学特任教授

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