公務員のための人材マネジメント

高嶋直人

「コンプライアンス意識を持たせる」――『公務員のための 人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法』(高嶋直人/著)より

キャリア

2019.11.14

「コンプライアンス意識を持たせる」

 (株)ぎょうせいはこのほど、『公務員のための 人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法』(高嶋直人/著)を公刊いたしました。人材育成を推進する管理職だけでなく、基本を学んでステップアップしていく若手層にも役立つ内容です。具体例を交えつつ軽快な語り口で解説する本書から、内容を一部抜粋してお届けします。(編集部)

コンプライアンス意識は新人のうちに

 「鉄は熱いうちに打て」という言葉があるように、公務員として最低限求められる行動規範は採用後できるだけ早いタイミングで教える必要があります。「建前はそうだけど実際はバレなければいい」、「皆ダブルスタンダードで生きている」などと間違った認識を一度持ってしまうと、その認識を改めさせ、正しい意識を持たせることは困難となります。
 公務員を目指した新人公務員の多くは高い志を持ち、自分の信じる正義を公務という仕事を通じて実現しようと強く決意した若者です。その気持ちが熱い採用時こそ、コンプライアンス意識を持たせる好機です。
 コンプライアンス意識を持たせるには、公私の別を厳しくする姿勢を上司自らが示すほか、新人に対して「迷った場合は気兼ねなく相談するように」あらかじめ言っておくことが望まれます。新人は誰に何を相談してよいか迷います。仕事に直結した内容については上司に相談しやすいのですが、公務員として求められる行動規範は私生活に及ぶこともあり、たとえコンプライアンス上疑問に思っても相談しにくいことがあります。

相談しやすい環境づくり

 私は、毎年、採用されたばかりの新人公務員に「公務員倫理」を講義しています。研修においても相談しやすい環境づくりが最も大事であると考え実行しています。講義の冒頭、質問は講義の途中でも、そしてどんな質問でも積極的にして欲しいと伝えます。その結果、時間が足りないほど質問攻めにあうことも多いのですが、その経験から新人公務員が新採研修で最も知りたいのは「公務員だけに適用される特別ルール」であるという確信があります。新人公務員の多くはそのルールを知らないと自分の身を危険に晒すのではないかと不安に思っています。
 一般的に最も退屈な研修科目に分類されがちな公務員倫理の科目もその内容を「相談の時間」とするだけで参加者の受け止め方は大きく変わります。実は、人事院公務員研修所で実施している国家総合職の各府省合同新人職員研修において、参加者に一番高い評価を得ている科目は意外にもここ数年「公務員倫理」科目です。
 コンプライアンス研修は組織を守るだけでなく職員を守り、そして何より円滑な行政運営を確保することで「住民」を守ります。アリバイ作りを目的としたかのような短時間の制度解説に終始するような公務員倫理研修ではなく、十分時間をかけて新人公務員の疑問を解消する研修を行うことでしっかりとしたコンプライアンス意識を最初の段階で持たせることができます。
 組織をあげて、本気でコンプライアンスに取り組むならば、新人公務員に対する「公務員倫理研修」にもっと力を注ぐべきです。

「コンプライアンス意識を持たせる」POINT

・新人公務員へのコンプライアンス教育は効果が高く重要である。
・新人公務員は相談したがっている。
・制度解説研修ではなく、疑問解消研修で効果を上げよう。

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新人時代に教えるべき公務員の基本から、将来的なキャリアを考えさせる方法まで

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公務員のための 人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法

2019年10月 発売

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高嶋直人

人事院 公務員研修所客員教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。人事院公務員研修所主任教授、財務省財務総合政策研究所研修部長などを経て現職。人事院、財務省、国土交通省、自治大学校、市町村アカデミー、マッセOSAKA、東北自治研修所、全国の自治体などにおいて「マネジメント」「リーダーシップ」「働き方改革」「ハラスメント防止」等の研修講師を務める。月刊『ガバナンス』に「人財を育てる“働きがい”改革」連載中。

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