公務員のための人材マネジメント

高嶋直人

「信用が一番大切であることを教える」――『公務員のための 人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法』(高嶋直人/著)より

キャリア

2019.11.15

「信用が一番大切であることを教える」

 (株)ぎょうせいはこのほど、『公務員のための 人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法』(高嶋直人/著)を公刊いたしました。人材育成を推進する管理職だけでなく、基本を学んでステップアップしていく若手層にも役立つ内容です。具体例を交えつつ軽快な語り口で解説する本書から、内容を一部抜粋してお届けします。(編集部)

信用は勝ち取るもの

 公務員は信用が命です。公務員は住民からの信用を失うと仕事をさせてもらえません。公務員法にも信用失墜行為が懲戒事由として規定されています。「信用は公務員が仕事をする上で最低限必要な基盤である」と言えます。
 しかし、信用を得ることの重要性を抽象的に諭しても、新人は業務経験がなくピンときません。そこで、信用は勝ち取るものであり、そのためには積極的に行動しなければならないと教えましょう。信用されるための具体的行動とは、
 ・約束は必ず守る。
 ・守れない約束はしない。
 ・自分と相手の言葉を大事にする。
 ・相手の立場で考えてみる。
 ・わからないことは積極的に聞く。
 ・感情的にならない。
などです。
 具体的に並べると、「道徳教育」のような内容になります。しかし、公務員として社会にデビューした最初だからこそ、このような基礎的な教育をすることができます。その好機を逃すとこのような教育はおそらくできなくなるでしょう。

世代間で変わるコミュニケーション

 最近の新人の多くは、SNSなどによって自分が取捨選択した「仲間同士」でコミュニケーションをしてきた世代です。世代論の多くは、例外を無視し間違った先入観を与えることがあり注意が必要ですが、最近は対面でのコミュニケーションが苦手な新人公務員に出会う機会が多くなっていると私も実感しています。世代間の意識格差が広がり、自分より上の世代とどのようにコミュニケーションを図ればよいか不安に思っている新人が増えている印象があります。
 身近な例として、休みの連絡をメールでしてくる新人をけしからんと考える世代とそうでないと考える世代があります。新しいコミュニケーションの取り方を全て否定すべきではなく、旧来の権威主義的なコミュニケーションを見直す必要があるかもしれません。
 しかし、世代が替わろうと信用が第一であることだけは普遍です。
 残念ながら、世代間のコミュニケーションスタイルの違いが広がり、悪意なく信用を失ってしまうケースが多く発生しています。そういった今こそ、上司が信用の大切さを教え、十分配慮してコミュニケーションを図るよう指導することが大事です。
 信用を失う前に新人公務員を「信用される公務員」に育てましょう。

信用が一番大切であることを教える」POINT

・信用は公務員にとって「仕事をするために最低限必要な基盤」。
・上司は新人に対して信頼を得るための行動を具体的に教えるべき。
・コミュニケーションの取り方に世代間格差が生まれている今だからこそ信用の重要性を教え、十分配慮することを伝えよう。

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新人時代に教えるべき公務員の基本から、将来的なキャリアを考えさせる方法まで

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公務員のための 人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法

2019年10月 発売

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高嶋直人

高嶋直人

人事院 公務員研修所客員教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。人事院公務員研修所主任教授、財務省財務総合政策研究所研修部長などを経て現職。人事院、財務省、国土交通省、自治大学校、市町村アカデミー、マッセOSAKA、東北自治研修所、全国の自治体などにおいて「マネジメント」「リーダーシップ」「働き方改革」「ハラスメント防止」等の研修講師を務める。月刊『ガバナンス』に「人財を育てる“働きがい”改革」連載中。

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