民間出向中。|PART2 LINEに出向中。>>>2-3[ウチならこう活用する!]LINEを活用した「持ち運べる役所」で、行政をもっと身近に

地方自治

2023.01.19

民間企業に出向中の公務員のみなさんに、出向して見えたことや気づきから、官民協働のコツまで、アレコレ紹介していただきます。PART2はLINEに出向中の兵庫県三田市役所の岸本博樹さんがご登場。LINEのラスト、第3回は、自治体職員視点によるLINEのソリューションの活用例です。

 

1 日常に欠かせないLINE

いきなりですが、皆さんは「LINE」と聞いて、どのようなサービスを想像されますか?

たくさんの方々の日常に欠かせないコミュニケーションアプリとしてのLINEはもちろんのこと、LINE PayやLINE NEWS、LINEギフトなど様々なサービスが頭に浮かんでくると思います。
1日のうち、LINEのサービス以外、基本的にスマートフォンを触らない方もいらっしゃるかもしれません。

かくいう私もLINEのヘビーユーザーであると自負しています!(笑)
家族や友人との連絡を取る際はLINEで、ニュースを確認する際もLINEで、支払いもLINEで…生活になくてはならないものとなっています。

 

2 圧倒的なユーザー数

生活のプラットフォームとして多くの方々に日常的に利用されているLINEが、メッセンジャーアプリとして生まれるきっかけになったのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災でした。

震災時、多くの人が家族や知人と連絡をとれなかった経験から、身近な大切な人との関係性を深め、絆を強くするコミュニケーション手段こそが日本のみならず、世界中で求められているという考えのもと、2011年6月にサービスが開始されました。

LINE社のコーポレートミッションは「CLOSING THE DISTANCE」。
LINEは、世界中の人と人、人と情報・サービスをつなぎ、ユーザーの生活を支え寄り添うプラットフォームになることを目指しています。
現在では、LINEは日本を始め、アジア地域を中心に、世界で数億人に利用されるコミュニケーションアプリへと成長を続けています。

LINEの国内MAU(月間アクティブユーザー)は9300万人超(※2022年9月末時点)。
私もいちLINEユーザーとして、ユーザー数の多さを漠然と感じてはいましたが、LINEに勤務させていただく中でこのような具体的な数値を目の当たりにすると、あらためて、国内のSNSの中でも圧倒的に利用率が高く、多くの人の生活に浸透しているSNSであると認識させられます。
とともに、自治体がLINEをうまく活用することができれば、「住民と行政の距離」を縮めることができると確信しました。

 

3 住民にとって行政を身近にしていくための環境づくり

私が日頃感じている行政の課題として「住民と行政の距離」、住民にとって行政は身近に感じられないものなのでは、ということがあります。
その原因の1つに「面倒さ」が挙げられると思っています。

ではその「面倒さ」とはなんでしょうか?
私が考える住民にとっての「面倒さ」は、「行政手続きの複雑さ」「時間・場所の制限」だと考えています。

これらの要因の解消に対して有効なのが、国内最大のユーザー数を持つコミュニケーションアプリLINEのサービスである、LINE公式アカウントをインターフェースとした行政サービスのデジタル化です。
普段から使い慣れているLINE上で、場所や時間を選ばずに行政手続きを行うことができれば「面倒さ」は間違いなく解消できます。

日本がデジタル化に向けて動き出す中、LINE社は「住民と行政の距離」を縮める施策として、地方公共団体に対して、LINE公式アカウントの月額固定費0円、メッセージ通数も無制限でサービスが受けられる特別なプラン(オプション機能は別途費用がかかる)である「地方公共団体プラン」を2019年5月から提供し、行政が抱える地域課題の解決策として、LINEを“ツール”として活用しやすい環境を整えました。

当初、LINE公式アカウントを開設していた自治体数は約190と全国の1割ほどでしたが、「地方公共団体プラン」を活用して開設する自治体が増え、現在は約1,200と全国の7割近くに達しており、様々な自治体の幅広い分野において活用されています。

 

4 LINE社の目指す「持ち運べる役所」

 

LINE社では、前述の「地方公共団体プラン」の提供を契機に、デジタル手続法で示されている、行政サービスオンライン化実施の3原則「デジタルファースト」「ワンスオンリー」「コネクテッド・ワンストップ」の実現が期待できる「持ち運べる役所」構想を推進し、より利便性の高い行政サービスが提供されるよう自治体の支援を行なっています。

また、自治体のDX推進支援の一環で、自治体同士が情報交換を行えるコミュニティ「LINEスマートシティ推進パートナープログラム」を運営するほか、国や自治体がLINEを活用しやすい環境を整備するため、国や自治体におけるLINE公式アカウント活用の技術支援に長けたパートナー企業を認定する「Govtech Partner制度」を設置するなど、様々な支援環境を整えることで「持ち運べる役所」の実現を推進しています。

全国の様々な自治体からLINE公式アカウントの開設や、活用に関する問い合わせが日々送られてきています。
それだけ、全国の自治体でLINEを活用した行政サービスの提供が進んでいるのだなと実感しています。

 

5 LINEを活用した行政サービスの具体例

では実際にどのように自治体でLINEが活用されているのかを簡単にご説明をさせていただきます。

① LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、LINEを通じて、友だち追加してくれたユーザーへ直接情報を届けることができるサービスです。

自治体における使用例としては、基本的なサービスであるメッセージ配信などを活用した情報発信に加え、技術支援を行う企業と契約し、追加サービス用のシステムとAPI接続を行うことで行政手続き、相談受付、施設予約などより便利なサービスを提供することができます。

私の派遣元である兵庫県三田市(さんだし)でも、2021年10月からLINE公式アカウントを開設し、市広報誌やイベント情報の発信のほか、各種手続き情報やコロナ情報、観光・移住情報など様々な市政情報に加え、行政以外の地域のイベント情報を発信し、住民への新たな情報発信プラットフォームとして活用しています。

 

② LINE Pay 公的個人認証サービス

 

LINE Pay 公的個人認証サービス」は、LINE上で簡単に公的個人認証サービスが実装できるサービスです。

自治体が本人確認の必要な行政サービスをLINE公式アカウント上で提供する場合、「LINE Pay 公的個人認証サービス」を利用することでより簡単・確実に本人確認を行うことができ、窓口の混雑緩和や職員の業務効率化にもつながります。
住民は、マイナンバーカードにLINEをかざすことで本人確認が済み、そのまま必要な手数料をLINE Pay(他決済方法も可能)で支払えるため、いつでもどこでも、より便利に、使い慣れたLINEで行政手続きを行うことが可能となります。

すでに東京都渋谷区、神奈川県座間市、富山県魚津市など複数の自治体で導入されていて、住民票の写しや税証明書、印鑑登録証明書、転出届など、様々な手続きに活用されています。

③ LINEミニアプリでの順番待ちシステム
「LINEミニアプリ」は、デジタル会員証や順番待ち・呼び出しといった主に施設運営等に役立つ機能をLINE上で提供できるサービスです。
利用者は新しいアプリをダウンロードすることなく、氏名やメールアドレスの登録といった煩雑な手続きも行わずにサービスを利用することができます。

自治体で活用されているのは、「LINEミニアプリ」での順番待ちシステムです。
住民は「LINEミニアプリ」上で順番待ちの状況が確認でき、自分の順番が近くなった際にはLINEで通知を受け取れます。
また、役所へ行く前に窓口の混雑状況を確認することや、窓口に行かなくても「LINEミニアプリ」でデジタル整理券を取得(市役所から定められた範囲内で発券可能)することができます。

 

このように、LINEのサービスを活用することで、住民はより利便性の高い行政サービスを受けることができ、行政は業務効率化の効果により質の高い行政サービスを提供できるようになります。
ひいては、行政が住民にとってより身近なものとなっていき、先に挙げた課題「住民と行政の距離」を近づけていくことができると考えています。
残りの出向期間で、ひとつでも多くの自治体でLINEを課題解決に役立てていただけるよう、業務に取り組んでまいります。

 

◆執筆者Profile
岸本博樹
2018年度、三田市役所入庁。協働推進課に所属後、2021年4月からLINEに出向中。

 

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~2-1 自治体紹介はこちらから~

~2-2 対談編はこちらから~

 

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~1-2 対談編はこちらから~

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