連載 vol.53「つながる」力 ネットワークとコミュニケーション 【須川翔太(岩手・紫波町職員)】

地方自治

2023.01.20

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2018年8月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     去る2018年6月9日、東北まちづくりオフサイトミーティング(以下、「東北OM」)勉強会@岩手県紫波町が開催された。「これからの公民連携まちづくり〜オガールから見えてくるもの〜」というテーマで行われ、行政と民間の垣根を越えて全国から約130人にご参加いただいた。基調講演の株式会社オガールの岡崎正信社長をはじめ、東北OM運営委員の山形市役所の後藤好邦さんなど、ご協力いただいた皆様にこの場をお借りして心から感謝を申し上げたい。

     東北OMは、「敷居は低く、されど志は高く」というコンセプトのもと、主に東北の自治体職員を中心とした約1000人のメンバーが加入して活動しているが、特に「立場を越えた人のつながり」を重要視している。それは、人口減少に伴う縮退社会の中で、今後私たちが直面する地域課題は行政だけ、民間だけ、地域住民だけで解決できるものではなく、様々な立場の人たちが同じ目標に向かって力を合わせていく必要があるからである。

     「公民連携」「協働」「市民参加」などなど、似たような意味合いの行政用語が多数あるが、共通して言えるのは、立場の異なる人同士のコミュニケーションの設計方法が重要だということである。その点から考えると、私たち自治体職員に根本的に求められているのは、「人としてのコミュニケーションスキル」ではないかと思う。

     コミュニケーションスキルを高めるためには、とにかく経験を積むことが一番。そして、経験は役所の外に出ることでしか得られない。地域に出て、住民と話す。企業を訪問する。相手の話を聞き、自分の考えを伝えて、議論する。その議論の結果を役所に持ち帰り、自分の仕事に反映させ、施策に生かす。その繰り返しである。そして、その過程を通じて職員として少しずつ成長していく。

     しかし、仕事に行き詰まり、悩むことも少なくない。同じような境遇の仲間に頼りたくなることもある。そんな時は、東北OMのように地域を越えたネットワークでつながった全国の仲間がきっと心の支えになるだろう。

     

    (岩手・紫波町職員/須川翔太)

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