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ガバナンス編集部

自治体最新情報にアクセス|DATABANK2024 月刊「ガバナンス」2024年5月号

地方自治

2024.05.28

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2024年5月号)

●再犯防止の推進に向けて保護観察所・保護司会と連携協定を締結

 兵庫県尼崎市(45万8900人)は、2024年1月31日、神戸保護観察所、尼崎市保護司会との間で「再犯防止の推進に関する連携協定」を締結した。市によると、こうした協定は全国初。同市では22年3月に再犯防止推進計画を策定、同年4月から重層的支援推進事業の枠組みの中で罪を犯した人の伴走的支援を進めてきた。また、神戸保護観察所では2023年12月から改正更生保護法に基づく刑執行終了者に対する援助や更生保護に関する地域援助に取り組んでいる。このような中で今回3者が協定を結ぶことで連携を一層強化し、罪を犯した人への包括支援と再犯防止を進めることとした。
 主な連携内容は以下の4項目。○再犯防止に向けた包括的な支援体制に関すること、○再犯防止に向けた保護司の活動支援に関すること、○更生保護の周知啓発に関すること、○保護司確保の支援に関すること。このうち「再犯防止に向けた包括的な支援体制に関すること」では、定期的に再犯防止を考える連携会議を開催。3者を中心に、法務省大阪矯正管区、神戸地方検察庁、兵庫県弁護士会、兵庫県地域生活定着支援センターといった司法関係機関と、市社会福祉協議会により、個別事例の検討を通した具体的な連携方法や施策の共有、再犯防止の周知啓発を行う。個別事例の検討を行う場合には、同会議を社会福祉法第106条の6に基づく支援会議と位置づけ、参加者に法上の守秘義務を課すことにより個人情報の共有を可能としている。
 市では、3者が協定を締結することにより、定例的な連携会議等での個人情報を含めた情報共有や多機関連携体制を確立し、それぞれの強みを生かした包括的な支援体制の構築を図ることで、「互いに尊重し つながりささえあい 安全・安心に“ともにいきる”まち あまがさき」の実現を目指していくとしている。
(月刊「ガバナンス」2024年5月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

●「AIの活用等に関する条例」を制定

 神戸市(151万900人)は、「神戸市におけるAIの活用等に関する条例」を制定した。市は庁内での生成AIの適切な利活用に向けたルールづくりを進め、2024年2月からは全職員対象の生成AIの本格利用を開始している。条例は生成AIを含むAIによる効果的・効率的な市政の推進と、市民と事業者によるAIの効果的な活用の促進を目的に制定されたもので、包括的なAI活用のルールを定めた条例は全国初となる。
 条例は全11条。人間の尊厳と基本的人権、社会の多様性を尊重し、人間を支援する技術としてAIを活用することを基本理念とし、AI活用における公平性とAIの判断についての透明性の確保に留意することを規定。安全性確保では、行政処分の意思決定等にAIを活用する場合はリスクアセスメントとして事前に評価することを定めている。対象は市職員を基本とするが、市の事業を実施する受託事業者に対しても職員と同様の責務を規定している。10月までにAI活用等の基本指針を策定した上で全面施行する。AIは今後も大きく変化することから、条例ではAI活用の根幹を定めた上で具体的な運用は基本指針で定めてAIの機動的な活用に取り組んでいく。
(月刊「ガバナンス」2024年5月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

●クラウドサービスを活用してデジタルインボイスを送受信

 北九州市(92万9400人)は、デジタル庁とITベンダーのウイングアーク1st ㈱と連携し、インボイス(適格請求書)を事業者と同市の間でクラウドサービスを介して送受信する実証実験を実施した。2023年度の既存契約に基づく請求書(2024年1月~3月発行)が対象。事業者が紙の請求書を作成・提出する負担やミスの削減を図るとともに、市の会計事務に支障がないか確認し、事務の効率化を実証することがねらい。
 実験では、受発注に関わる電子文書をやりとりする際の文書仕様・ネットワーク・運用ルールの国際標準仕様「Peppol(ペポル)」のデジタルインボイスを、ウイングアーク1st社が提供するクラウドサービス「Peppolネットワーク」を介して事業者と市の間で送受信した。既存の会計ソフトの多くが、Peppolに基づく日本のデジタルインボイス標準仕様(JP PINT、デジタル庁が管理)に対応していることから、同クラウドサービス利用にあたりシステム改修は基本的に不要。
 市では今後、デジタルインボイスを内部システムに連携する方策を検討し、調達事業者を含めた業務全体のDXを目指していく。
(月刊「ガバナンス」2024年5月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

●浄化槽管理に2次元コードを活用

 徳島県(71万8900人)は、浄化槽の清掃や保守点検などの実施状況を効率的に浄化槽台帳に記録できる2次元コード付きステッカーの貼付を2024年3月1日から開始した。こうした試みは全国初。
 浄化槽台帳は都道府県知事等に作成が義務付けられている。同県では関係団体と連携し、浄化槽を適正に維持管理することで快適な生活環境を実現できるよう、浄化槽台帳システムのDX化を進めており、今回のステッカー貼付もその一環。
 ステッカーは各家庭の法定検査時に(公社)徳島県環境技術センターの職員が案内の上、浄化槽付近に貼り付ける。その後、清掃、保守点検時に作業員がステッカー上の2次元コードを読み取り、作業結果を「浄化槽台帳システム」に送信する。これにより浄化槽台帳のリアルタイムの更新と作業の効率化が図られる。県民には浄化槽の健康状態を知らせる「診断カルテ」が届けられるとともに、維持管理状況の聞き取りが不要になるなど法定検査立会時間の短縮にもつながる。
 2次元コードには浄化槽No.のみが記録されており、個人情報は一切含まれない。2024年秋ごろから清掃業者による送信作業を開始、2025年度以降に保守点検業者等も活用していく計画。
(月刊「ガバナンス」2024年5月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

●電子投票システムによる委員会の選挙を実施

 茨城県取手市(10万6000人)議会は、2024年2月29日に市議会会議規則の一部を改正し、委員会における委員長及び副委員長の互選の方法について電子投票システムによる投票を可能にした。それに伴い、同日の一般会計予算・決算審査特別委員会の副委員長選挙を電子投票で行った。議会の委員会での電子投票システムによる選挙は全国初(同市議会事務局調べ)となる。
 同市議会は、誰もが参加しやすくわかりやすい「開かれた議会・議員活動」の一環としてICT化を推進。感染症拡大など非常時でも議会の役割を果たしていくため、議会としていち早くオンライン会議を取り入れるなど、「未来型地方公共団体議会」の実現に取り組んでいる。2020年6月には早稲田大学、一般社団法人地域経営推進センター、東京インタープレイ㈱、取手市議会・議会事務局の4者で「デモテック宣言」を行い、7月にデモテック連携協定を締結。9月にはデモテック戦略特別委員会を設置し、同委員会を中心に協定4者でオンライン会議導入を検討し、9月議会で会議規則と議会委員会条例を改正してオンラインによる委員会開催を可能にした。その後、60回を超える公式のオンライン委員会を開催している。
 電子投票システムは、デモテック戦略特別委員会での議論や意見を反映して東京インタープレイが開発。電子投票システムの完成によって委員長等の選挙から質疑・討論・採決まで委員会の一連の流れをオンライン形式だけで完結できるようになり、地方議会DXを大きく前進させると期待されている。


電子投票システムで委員会副委員長選挙を実施。

(月刊「ガバナンス」2024年5月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

●UIJターン促進に向けてジョブカフェ東京サテライトを開設

 宮城県(225万7500人)は、2024年4月、「みやぎジョブカフェ東京サテライト」を東京都品川区内に開設した。県ではこれまで県内学生等の就労支援として「みやぎ若年者就職支援センター(みやぎジョブカフェ)」を、県外学生等向けの支援窓口として「みやぎIJUターン就職支援オフィス」を設置していたが、県内企業の人材不足の課題に積極的に対応するため両拠点を統合・再編。ジョブカフェ東京サテライトを開設することで県内へのUIJターンの促進を図ることにした。県内外の学生の支援を一体的に行い県内への就職を後押ししていく取組みは常設のジョブカフェとしては全国初。
 スタッフは4人(キャリアコンサルタント)で、運営は㈱シグマテックが担う。同県での就職を希望する学生を対象とした相談対応、県内企業や就活イベントの情報発信に取り組んでいく。
 (月刊「ガバナンス」2024年5月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

●自治会への加入を促す新リーフレットを作成

 山口県宇部市(16万400人)は、転入者に対して自治会への加入を促すリーフレット「自治会に入りませんか」を作成して配布している。市が2022年に市内の自治会長に実施したアンケート調査では、全世帯に対する自治会加入率は78.4%で、全国の割合(71.7%)よりは高いものの2割近くが加入していなかった。地域の危機感は強く、2023年11月実施の市自治会連合会研修の中で自治会加入率の低下に関する意見が寄せられていたことから、改善策の一環としてリーフレットを刷新した。地域での自治会の役割を伝えて、加入促進につなげるのがねらい。
 リーフレットはA4判の両面印刷で、目立つようにカラー化。従来のリーフレットで紹介していた自治会の活動内容に加え、加入のメリットと自治会がなかったらどのような影響があるかについて、イラスト入りで分かりやすく解説している。
 リーフレットは市民課や市民センターで転入手続き時に配布しているほか、建築指導課や住宅政策課など住まいに関する担当課でも配布。アパート・マンション単位で自治会に加入しないケースがあることから、加入に向けた不動産業者への理解・協力も働きかけている。





(月刊「ガバナンス」2024年5月号・DATA BANK 2024より抜粋)

 

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「ガバナンス」は共に地域をつくる共治のこと――これからの地方自治を創る実務情報誌『月刊 ガバナンス』は自治体職員、地方議員、首長、研究者の方などに広く愛読いただいています。自治体最新事例にアクセスできる「DATABANK」をはじめ、日頃の政策づくりや実務に役立つ情報を提供しています。2019年4月には誌面をリニューアルし、自治体新時代のキャリアづくりを強力にサポートする「キャリアサポート面」を創設しました。

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