連載 vol.101「つながる」力 さよなら「自分」【伏喜マリエ(富山・氷見市職員)】

地方自治

2024.06.17

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2022年8月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     「伏喜さん、月刊ガバナンスのコラムを書きませんか?」

     フェイスブックでつながっていた山形市職員の後藤好邦さんからの突然のお声がけに驚きながらも、二つ返事で引き受けた。引き受けた後に、「私でいいのか」「何を書こうか」と悩みながら筆を走らせている。それは、お声がけいただいた方の期待に応えたいからこそであって、何だかんだでとてもワクワクしている。

     「人から見た自分が本当の自分」。お笑いタレントの今田耕司さんが以前、テレビで話していたその言葉は、私にとって目から鱗だった。自分のことは自分が一番分かっていて当然だと思っていたからだ。しかし、これまでの自分を振り返ってみると、そうかもしれない、と思うことがたくさんあった。

     小心者だと思っていた私に富山県の観光担当だった森田優平さんが声をかけてくれ、800人の観光業関係者を前に、魚のまち氷見の「魚の美味しいワケ」をプレゼンする機会を得たことがあった。自分の殻がパチンと破れる音が聞こえたのを覚えている。

     スキューバダイビングを趣味で楽しんでいた私に地元の漁業関係者が声をかけてくれ、漁師などと一緒に海中の清掃や調査を行う機会を得たこともあった。趣味を地域貢献につなげられる面白さを感じた。

     市の広報誌制作を担当していた時、偶然出会った宮崎県都農町の甲斐恵子さんのおかげで、全国広報コンクール(全コン)上位入賞常連、宮崎県三股町の新原正人さんをはじめ、全国の広報担当者とつながり、制作に必要なスキルや心構えを叩き込んでもらった。甲斐さんら仲間と共に全コンで入賞することができ、その後に異動したどの部署でもこの時の経験が生きている。

     周りの人たちが、私のことをどう生かせば私や地域にとって良い効果が出るかを考え、成長の機会や人とのつながりを与えてくれてきたのだと感じる。私ひとりではたどり着けない場所へ連れて行ってもらい、感謝しきりだ。

     自分の思い込みを手放し、流されてみるのも良いものだと思う。

    (富山・氷見市職員/伏喜マリエ)

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