議会局「軍師」論のススメ

清水 克士

議会局「軍師」論のススメ 第67回 外の世界での活動はインテリジェンスなのか?

地方自治

2022.06.30

本記事は、月刊『ガバナンス』2021年10月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 

 例年、早稲田大学で開催されている「全国地方議会サミット」(ローカル・マニフェスト推進連盟等主催)の主な参加者は議員であるが、議会事務局セッションも必ずプログラムに加えられる。それは、主催者幹部に、議会改革推進の原動力となる「チーム議会」の醸成には、局職員との協働が不可欠との強い信念があるからだ。

 今号では、この数年間、同セッションの構成を任された経験を通して、感じたところを記したい。

■事務局セッション特有の課題

 議会事務局セッションの構成で一番苦労するのは、間違いなく登壇者の確保である。

 もちろん、決めたテーマにふさわしい実績を持つ議会事務局を探すのも大変ではある。全国的にはルーティンの議事運営以外に、局職員が主体的に関わっている例自体が少ないからだ。

 だが、本当の難関は出演交渉である。議員を差し置いて表舞台に局職員が出ることなど、出過ぎた行為との意識が強い事務局が、依然として多いのである。これが議員を登壇者とするセッションを構成する場合との大きな違いである。議員に登壇依頼して断られることはほとんどないが、局職員からは断られることのほうが圧倒的に多い。

 本人に登壇意欲がある場合でも、それが局長ならば幸運だが、次長以下の職員に依頼した場合には、上司の理解が得られずに断念ということもままある。

 だが、日常では内部視点に傾きがちな局職員こそ、自分たちの議会を俯瞰し、核心に触れる情報交換ができる人脈が外部に必要である。それを構築できる貴重な機会を逃すのは、いかにも惜しいと感じる。

■外の世界とつながる意義は何か

 わが国の地方議会制度は法的には全国単一制度であるが、実務レベルの議会運営ではガラパゴス化している。自分たちの議会運営が全国標準だと思い込みがちであるが、他議会と意見交換すると、全く話が噛み合わないことも珍しくない。

 地方議会は、行政のような国、広域自治体、基礎自治体といった縦の関係とは無縁で、横の連携も法定制度はなく、それぞれがスタンドアロンの存在だからだ。

 機関としての制度設計自体に、井の中の蛙に陥りがちな要素があるところに、局職員が意識的に外とのつながりを求める必要性がある。

 具体的には、ネット社会となり情報量は格段に増えたが、本当に重要な情報は公開されておらず、依然として人脈の中からしか得られないことが多いからだ。公開情報の多くは成功例であるが、デメリットはもちろん、成功に不可欠な前提条件も省かれていることが普通である。ましてや失敗例に至っては、公開されることなどほとんどない。だが、成功に至るプロセスで、本当に重要な情報は、失敗例やデメリット情報である。

 特に議会改革のように、全ての議会にあてはまる方程式などない分野での情報こそ、表層的なインフォメーションではなく、企業秘密的なインテリジェンス(注)であることが求められるが、それを得るのは信頼関係が構築された人脈の中でなければ、一般的には難しいだろう。

注 分析された情報、情報戦略、諜報活動などを指す。

 もちろん、外の世界とつながる意義はそれだけではないが、局職員にそのような意識が芽生えたなら、議会(事務)局はそれを積極的に応援する懐の深い組織であってほしい。

 

*文中、意見にわたる部分は私見である。

 

第68回 オンライン本会議の実現が「本会議」を変えるか? は2022年7月21日(木)公開予定です。

 

Profile
大津市議会局長・早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員
清水 克士 しみず・かつし
 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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しみず・かつし 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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