【特別企画】森林3次元計測システム「OWL(アウル)」を活用し森林の持つ環境価値を正しく評価

地方自治

2024.04.02

(『月刊ガバナンス』2024年4月号)

木材価格の低迷、過疎化による人手不足などにより日本の森林経営は、厳しい現実に直面している。そうした課題を解決するべく、㈱アドイン研究所は、丸紅㈱と共同で、J–クレジットへの登録・認証支援を行っている。森林データ取得時に大活躍するのが森林3次元計測システム「OWL」だ。

 

厳しい局面に立つ日本の森林経営

 日本の国土の約三分の二を占める森林は、国土の保全や水源の涵養など多面的・公益的機能を有した大切な資源だ。しかし、少子高齢化や過疎化などにより、日本の森林経営は厳しい局面に立たされており、適切な管理が行われずに放置された森林が増えてきているという。

 こうした中で、森林の持つ炭素吸収機能を活かした新たな経済価値の創出が求められており、その一環として注目されているのがJ-クレジット制度だ。同制度は、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として認証し、それを取引きすることができるもの。この制度により、森林経営におけるCO2吸収量を経済的価値に変換することが可能となる。ただJ-クレジット制度の活用に当たっては、登録時の複雑で手間のかかる手続き等の問題があり、認証例は多くはない。

 

森の資源情報を可視化できる森林3次元計測システム「OWL」

 これらの課題に応えるべく23年9月にアドイン研究所と丸紅は、業務提携を結び、J-クレジットの登録・認証および販売支援をスタート。アドイン研究所が、森林データ・森林経営計画・森林簿のデータの取り込み、データ解析、登録・認証申請書の自動作成を担うことで、J-クレジット創出から認証までのプロセスのトータルサポートを実現した。

 これらの森林データを取得する際は、正確なCO2吸収量等の高精度な資源情報が求められる。ここで活躍するのが、アドイン研究所が開発したレーザースキャナー型森林3次元計測システム「OWL(Optical Woods Ledger)」だ。OWLは森林内を約10m間隔で計測し、専用ソフトで結合・解析する事で立木位置・直径・樹高等を高精度に取得できる。さらにこれらの値から材積算出や地位特定が可能だ。従来の手作業による測量方法に比べて作業効率が大幅に向上するとともに、高い計測データの精度と計測結果の再現性をもたらしている。また、3次元データは視覚的に森林状況の把握が可能であり、森林管理者と所有者との合意形成にも利用されている。すでに多くの全国各地の自治体・森林管理局・森林組合などで約180台の導入実績を誇る。


OWLの取得データの一例。立木の位置や木の体積といった森林資源情報を簡便に可視化でき、現地計測も容易。高精度の基盤データの利用のみならず、齢級に対するha当たりの材積等も算出できる。

 

計測時間が半分に!進化した新型のOWL


昨年12月にリリースされた新型OWL。大幅な機能向上と小型軽量化を実現。

 省力化、精密化、再現性の高い計測結果をはじめとしたOWLの数々の特徴をさらに進化させたのが、23年12月にリリースされた新型OWL(AME–OL200型)だ。新型OWLでは、従来機種に比べてさらに小型軽量化に成功しており、計測時間も先代から約半分にまで短縮。また、レーザスキャナの解像度が2倍に向上したことにより、より詳細な森林データの取得が可能となっている。

 OWLの活用によって、日本の森林経営の新たな展開が期待できる。森林の持つ環境価値を正しく評価することで、日々の施業に経済的価値を付加することができる。持続可能な森林経営と環境保全の両立へ、OWLの今後が楽しみだ。

企画提供
株式会社アドイン研究所
TEL.03-3288-7835
MAIL:owl@adin.co.jp

森林3次元計測システムOWL(アウル)
https://www.owl-sys.com/

 

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