連載 vol.99「つながる」力 人と人をつなげていく不思議な空間「寄り合い」【神田 勇(愛知・武豊町職員)】
地方自治
2024.04.15
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2022年6月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
最近、最も「人とのつながり」を感じたのは「寄り合い」に参加をした時である。
私が参加した「寄り合い」は年代、職業や趣味も異なる多様な人の集まり。その中で自由に話をして人とつながっていける素敵な空間だった。
「寄り合い」を知ったのは、半年ほど前。岐阜県各務原市の「かかみがはら暮らし委員会」の取り組みを、雑誌を読んで知ったことから。
「かかみがはら暮らし委員会」の皆さんは、日頃は様々な仕事をしている人の集まりでイベントを企画したり、好きなことを一緒にやったりと、「まちを楽しむ人たちのコミュニティ」として活動をしている。そして、その取り組みの一つが「寄り合い」。月に1回、「誰でも参加できる、まちの交流会」をコンセプトに行っている。
武豊町でも寄り合いをしたいと思い、町内の講演会で、かかみがはら暮らし委員会の取り組みを紹介し、寄り合いへの参加を呼び掛け、20人ほどが集まった。
場所はおいしいコーヒーが飲める喫茶店。午後7時頃、仕事が終わった参加者が徐々に集まってくる。集まった参加者は、窓にホワイトペンで名前と最近はまっていることを書いていく。暗くなっていく外の景色の中に、参加者が書いた白い文字が浮かび上がる。そして寄り合いが始まると、一人ひとり自己紹介し、その後、気になったことを深堀りしていく全体でのフリートークの時間となる。フリートークを終えると、気になる人と個別で情報交換をする。
寄り合いの中にはルールがある。それは人の話を否定しないこと。
「色んな人がいて、それがいい」。会場は温かい雰囲気に包みこまれていた。
実際に、この寄り合いの中で、次に会う約束をしたり、これから一緒に活動する話をしたりと、人との出会いが、形になっていくことを感じた。
終わった後に、参加者の一人が話していた言葉が忘れられない。
「コーヒー一杯でこんなに盛り上がることができるんだね」
武豊町で今後、寄り合いを続けていき、人と人をつなげていきたい。
(愛知・武豊町職員/神田 勇)