連載 vol.73「つながる」力 私を助けてくれた「つながり」 【手塚章浩(栃木・日光市職員)】
地方自治
2023.06.22
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2020年4月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
「このままではダメになってしまうかも」── そう思ったことが、外へのつながりを求めるきっかけになった。
当時、私は介護保険の認定に関する業務を担っていた。毎日がルーチンワークのため、やりがいを見出せずにいた。そんな時、「このまま毎日同じことの繰り返しでは、自分がダメになってしまう」という言葉が、ふと頭によぎった。もちろん、ルーチンワークも介護認定の上で重要な業務の一つだが、それだけで公務員人生が終わってしまいそうで恐怖を感じた。
日常に変化を生むために、休日などを利用して外へ飛び出すことにしてみた。まずは業務に関係する研修やセミナーなどに参加し、徐々に業務に直接関係のないまちづくりに関するセミナーやイベントなどにも積極的に参加するようになった。
参加したイベントの中に「関東自主研サミット」という関東圏内の自治体職員が集うものがある。そこで出会った同県内の自治体職員とつながり、2017年10月に「とちのきOM」という、栃木県内の自治体職員を横断的につなぐプラットフォームを仲間たちと立ち上げた。これまで5回開催し、延べ約200人の参加があり、様々な「つながり」が生まれた。この「とちのきOM」がきっかけで、県庁内にもOMが誕生したと聞き、立ち上げてよかったと心から思った。
正直、公務員の仕事というのは、前例にならって同じことをしていれば何とかなる部分もあったかもしれない。しかし、そんな時代はだいぶ前に終わり、職員が変わらなければ急速に変化する世の中の流れについて行けず、住民の福祉の増進や最少の経費で最大の効果を挙げることはできない。そんな時に「つながり」を持っていれば、容易に他自治体の先進事例を直接聞けたり相談することができ、職員自身が変わる近道だと思う。
さらに、「つながり」はモチベーションアップにもなっている。仲間が頑張っているのだから自分も頑張ろうと思ったり、同じ熱量で語り合ったりもできる。公務員になって10年。今後は後輩たちにも「つながり」を作っていきたい。
(栃木・日光市職員/手塚章浩)