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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2023 月刊「ガバナンス」2023年6月号

地方自治

2023.06.23

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2023年6月号)

●「群馬パーセントフォーアート」推進条例を制定

 群馬県(194万3700人)は、「群馬パーセントフォーアート」推進条例を制定し、2023年4月1日から施行した。パーセントフォーアートは、アーティスト支援を目的として20世紀初頭に米国で生まれた「1% f o r a r t 」を始まりとし、現在、欧米を中心に制度化されている。群馬県はその精神を生かしながら、県がめざす考えに合致した、新たな「群馬パーセントフォーアート」制度を導入。同制度の推進に向けて条例を制定したもの。
 条例は、アートの活用を謳った前文と全11条で構成。「他にはない価値を持ち、人々を惹きつける求心力を持つ群馬県の実現及び県民の幸福度の向上をアートの力でかなえる」という条例制定の趣旨と、取組み推進の際に留意する基本理念を規定し、県の責務と県民・市町村・事業者の役割を明記。その上で、県が実施する基本的施策、県の予算措置と取組みの公表について定めている。
 基本的施策では、①年齢、性別、国籍、障害の有無等にかかわらずアート活動を行う人材の育成、②アート教育の充実、③観光振興をはじめとしたアートによる地域づくり、④活力及び魅力にあふれた公共空間を創出するためのパブリックアートの振興、⑤群馬県の取組みやアートの魅力の世界への発信——について明記。その施策実施のための財政上の措置として、県の予算や民間からの寄附促進等による「安定的な財源供給」を全国で初めて条例に位置づけたのが特徴だ。県は条例に基づき、アート教育による「始動人」育成やアーティストが自立できる環境を整え、アートが地域固有の歴史や風土、文化などの触媒となって、新たな価値の創造や地域経済の活性化を図る施策や事業を展開する。そして、地域経済の活性化によって生み出された資金が次のアート振興へとつながる、アートによる好循環を生み出すことをめざしていく。
(月刊「ガバナンス」2023年6月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●市職員を対象に「子連れ出勤」を開始

 愛知県豊明市(6万8500人)は、市役所庁舎内及び図書館勤務の職員を対象に、緊急一時的に利用できる「子連れ出勤(ワーク with チャイルド。愛称:ワチャ)」を2023年5月1日から開始した。多様な働き方のモデルの一つとして、職員が自分の子又は孫を連れて出勤し、所定の場所で帯同して業務を行えるようにする取組みで、仕事と子育てを両立できる柔軟な働き方の普及啓発と子育て家庭に温かい地域づくりの機運を醸成するのがねらい。
 帯同場所は、所属各課(室)内及びサテライトオフィス(作法室や会議室に開設)。保育園・幼稚園・児童クラブ・学童保育・祖父母や在宅の配偶者など普段の預け先に預けることができず、短時間でも職場に出向いて仕事をする必要がある状況が発生した場合といった、緊急一時的な措置として子連れ出勤が最良だと判断されることが帯同の要件。子どもの体調不良や学校(学級)閉鎖、職務に専念できない場合や業務に支障がある場合は帯同できず、子どもの現場への帯同や他職員の一定時間以上の見守りは禁じている。子どもの事故防止は利用職員が責任を負い、利用職員がいる場合には所属長は市民へ周知することとしている。
(月刊「ガバナンス」2023年6月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●障がい者介護給付費等支給審査会をオンラインで開催

 福島県郡山市(31万9700人)は、障がい者の居宅介護や短期入所など介護給付サービス利用において必要となる障がい支援区分を認定する審査会をオンラインで開催している。同審査会は、医師2人を含めた5人で1合議体を構成し、4合議体(委員20人)を設置。従来は委員が本庁に集まって対面により、紙の審査票を利用して協議していた。だが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、2021年度から審査会委員に予めタブレットを貸与し、Web会議システムとデジタルアーカイブを活用したオンライン方式に変更。2022年度は647件のオンライン審査を実施した。その結果、委員は審査会出席のために来庁する必要がなくなるとともに、委員の交通費を削減。また、事務局(障がい福祉課)もペーパーレスと審査会開催に要する事務負担が軽減され、年度間の業務削減時間は約340時間に上ると見込まれるなど、オンライン方式の導入・運用によって費用対効果が高まっている。そのため市は、新型コロナウイルスの感染が収まりつつある状況にあっても、引き続きオンライン方式で審査会を開催することとした。2023年度は44回の審査会を予定している。
(月刊「ガバナンス」2023年6月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●「こどもの養育費に関する条例」を制定

 兵庫県明石市(30万4900人)は、「明石市こどもの養育費に関する条例」を制定し、2023年4月1日から施行した。市は離婚や別居に伴う養育費や面会交流などのこどもの養育支援を図るため、2014年4月から「明石市こども養育支援ネットワーク」の運用を開始し、こども養育専門相談や養育合意書・養育プラン・作成の手引きの配布、親子交流サポートや面会交流コーディネート事業、養育費取決めサポートや養育費立替支援、養育費差押えサポートなどの事業を実施している。条例はそれらの取組みを踏まえ、離婚等によるこどもの養育費確保支援にする施策の総合的かつ継続的な推進に向けて制定したもの。
 条例は全10条で、市の責務(こどもの養育費確保支援の基本的・総合的施策の実施と財政上の措置など)と父母の責務(養育費についての必要事項の取決めとその遵守に努めることなど)を明記。その上で、市のこどもの養育費確保支援に関する広報・啓発や相談体制の整備、経済的支援、関係機関との連携について規定している。また、条例の施行状況なども踏まえ、養育費の支払義務不履行に対する罰則の可否などを検討し、必要な措置を講ずることも付記している。
(月刊「ガバナンス」2023年6月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●パートナーシップ制度の導入に関する指針を策定

 岩手県(120万6500人)は、県内市町村におけるパートナーシップ制度の導入や相互利用の円滑化等に向けて「岩手県におけるパートナーシップ制度の導入に関する指針」を制定、4月1日から施行した。
 現行の法律では婚姻が認められていない同性のカップル等を地方自治体が独自に対外的に証する仕組みとして全国でパートナーシップ制度の導入が進んでいるが、同県内の市町村でも導入に向けた動きが活発化している。
 そこで、地方自治法上の基礎自治体優先の原則を尊重しながらも、県が指針となる事項を定めることにより、市町村における制度の導入と相互利用の円滑化を促し、誰もが生きやすい地域社会の実現を図ることを目指し、同指針を策定した。
 指針では、制度対象者の要件として、①双方がともに成年に達していること、②双方又はいずれか一方が当該市町村の区域内に居住していること又は転入予定であること、③双方がともに婚姻をしていないこと、④双方が相手方以外の者とパートナーシップ関係にないこと、⑤相手方が直系血族若しくは三親等内の傍系血族又は直系姻族でないこと(パートナーシップ関係に基づく養子縁組による場合を除く)を挙げ、これを基準に各市町村で定めること(これらとは別の定めを設けることもできるが、その場合は他の市町村のパートナーシップ制度との相互利用に留意する必要がある)とした。
 また、市町村がパートナーシップ制度を創設した場合、制度要綱等の写しを県に送付すること、県はその写しを既に制度を設けている県内市町村に送付することも規定した。
 今後、県は県営住宅への入居や県立病院での面会手続き、病状説明等において、市町村のパートナーシップ制度が活用できるよう、所要の措置を講ずることとしている。
(月刊「ガバナンス」2023年6月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●切れ目のない災害対策のための協定を締結

 千葉県木更津市(13万6000人)と(公財)日本財団は3月27日に、「災害対策拠点事業に関する協定」を締結した。
 日本財団は自治体と連携し、「災害予防(研修・訓練)」、「災害応急対策(備蓄)」、「災害復旧(被災地支援)」の切れ目ない実践モデルの構築を目指した災害対策拠点事業を実施している。このほど、佐賀県大町町に続き全国で2例目となる拠点を木更津市内に整備することになり、渡辺芳邦・木更津市長や前田晃・日本財団専務理事らが出席し、拠点整備ならびに円滑な運営実施をするための基本的取り決めを定めた協定の締結式が行われた。
 拠点は、平時は訓練・研修の場として専門的技術の実技研修に加え、防災備蓄倉庫や、災害復旧に必要な小型重機・資機材の格納庫として機能。また有事には、情報共有や資機材補給のための被災地支援の拠点基地となることを想定している。
 日本財団は今後、全国に約10か所の拠点整備を予定している。
(月刊「ガバナンス」2023年6月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●「市民の心 動かし隊」を編成し『市民に伝わる』文書のルールを作成

 大阪府寝屋川市(22万9200人)は、「『市民に伝わる』7 RULES(セブンルール)」を作成した。職員17人で構成するプロジェクトチーム「市民の心動かし隊」を設置し、市民に「伝える」ではなく、「市民に伝わる」ことをテーマに、議論や文書の点検・検証等を進め、文書等の作成に当たって重視すべきポイントとして作成したもの。
 具体的には、①まずは市民の立場に立って、②「趣旨」「目的」「お願いごと」を明確に、③「脱」専門用語、④文字よりレイアウト・図式化、⑤問合せが多いものは 事前にQA形式に、⑥文章は「より短く」、⑦市民の心情、ライフシーン、場面に合わせた寄り添った一言を――のルールに則って文書等を作成し、市民サービス向上に努めることとした。
 22年は介護保険に焦点を当て、実際市民からの問合せ件数が減少するなど、早速効果が出ている。
(月刊「ガバナンス」2023年6月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

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