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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2023 月刊「ガバナンス」2023年2月号

地方自治

2023.02.28

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2023年2月号)

●県議会議員政治倫理条例を改正して県議による人権侵害行為を禁止

 三重県(178万5000人)議会は、「三重県議会議員の政治倫理に関する条例」の一部を改正し、県議による人権侵害行為の禁止を規定した。同条例は県議の政治倫理の確立などを目的に2006年に制定され、県議の責務、政治倫理規準、審査の請求や措置などを規定している。
 今回の改正では、政治倫理規準として「人権侵害行為又は人権侵害行為を行うことの煽動、第三者の行った人権侵害行為に対する賛成の意見の表明その他の人権侵害行為を助長する行為をしてはならないこと」を新たに規定。SNSで第三者が発した人権侵害の内容への「いいね」など、その行為により人権侵害行為を助長するものに限り、規準に反する行為とした。また、規準に反する疑いがある場合に設置する政治倫理審査会について、原則非公開を原則公開に改正。審査会の勧告内容についても役職辞任や議員辞職に加え、全員協議会での陳謝と県議会への出席自粛なども盛り込んだ。条例改正は、昨年度、県議が県民の住所をブログに無断公開したことなどを契機にインターネット上での人権侵害行為などの観点から検討が進められたもので、議員の政治倫理条例で人権侵害行為の禁止を規定したのは都道府県議会で初とみられる。
(月刊「ガバナンス」2023年2月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●上下水道施設の管理等包括業務民間委託を拡大

 茨城県守谷市(7万人)は、2023年度からの上下水道施設の管理等包括業務民間委託を拡大した。従来の包括的施設運転管理業務に新たにコンサルタント業務を導入し、設計や計画策定、施工監理等の業務に国庫補助金を最大限活用して市費を削減するのがねらい。官民連携の拡大による職員の負担軽減や執行体制の強化とともに、コンサル企業と運転・維持管理企業の連携で事業運営の最適化を図る。また、中期的な視点で実効性の高い事業運営を実現するため、履行期間を現行の3年から10年に延長した。国庫補助金を活用し、コンサルタント業務を含めた包括業務委託を10年間で実施するのは全国の自治体で初とみられる。
 新規委託するコンサルタント業務は、①計画業務(水道事業ビジョン、経営戦略、アセットマネジメント・ストックマネジメント、総合地震対策計画の改定・策定)、②設計業務(配水ポンプ室の耐震診断、改築更新の基本設計・詳細設計)、③施工監理業務(改築更新工事の現場確認等の施工監理)。23年度~32年度の10年間の委託で約7億円の市費削減(国庫補助金活用)を見込む。22年11月に公募型プロポーザルを実施し、12月に委託事業者と契約を締結した。
(月刊「ガバナンス」2023年2月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●窓口業務を担う地方独立行政法人を設立

 大阪府泉佐野市(9万8800人)は、窓口業務を担う地方独立行政法人「泉佐野市行政事務サービスセンター」を2022年10月1日に設立した。市は2015年7月から市民課、国保年金課、税務課、子育て支援課などの定型的な窓口業務を順次、民間に委託し、利用者サービスの向上や効率的・効果的な業務運営を図ってきた。そのような中、2018年4月に施行された地方独立行政法人法の改正に伴い、窓口業務のうち、市に代わって定型的な事務を処理する申請等関係事務処理法人の設立が可能となったことから、全国自治体で初めて同法人を設立した。
 事務所は泉佐野市役所内に置かれ、市の定年退職者や窓口業務の委託先従業員などが転籍し、申請等関係事務の処理や事務に関する調査・研究、従事者の研修などを進めていく。手始めに、市と法人との連携の下で、子育て支援課の児童手当や子ども医療証の申請書などに関する窓口業務を開始した。民間委託している各課の窓口業務等を対象に、同法人による処理の範囲を段階的に広げていく。
 2023年3月31日までの初年度の目標としては、法人への円滑な業務の移行を進め、業務処理時間の短縮や住民の待ち時間の短縮、窓口環境の快適性の向上、職員の接遇向上に努めて住民サービスの向上を図るとともに、効率的・効果的な業務運営と職員のコスト意識の醸成により費用の節減に努めるとしている。中長期的には、①地方公共団体情報システムの標準化に関する法律の成立を受け、2025年度末に地方自治体の基幹情報システムが統一化されることから、当該システムに即応できる知識を習得してシステム操作の的確性・迅速性を向上するよう努める、②「おくやみコーナー」などの総合窓口について、市の実情や住民ニーズを踏まえたワンストップサービスのスタイルの調査研究を行い、早期実施に努める――としている。
(月刊「ガバナンス」2023年2月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●安心・安全な出産のための「出産サポート119」を実施

 石川県珠洲市(1万3300人)は、出産時における不安を少しでも軽減し、安心・安全に出産を迎えることができるよう、妊娠中から出産予定日等を事前に登録するシステム「出産サポート119」を実施している。これにより、出産の兆しがあるが医療機関へ行く手段がない場合などに、救急車でかかりつけ医療機関等へのスムーズな搬送が可能となる。
「出産サポート119」に登録できるのは、「市に住民票があり、事前の登録を希望する妊婦」、もしくは「市外に住民票があり、里帰り出産を市内で迎える妊婦」のいずれか。事前登録届出書を市子育て世代包括支援センターに提出すると、登録者カードと、母子健康手帳に貼付する登録済シールが交付される。登録情報は、奥能登広域圏事務組合消防本部等と共有され、出産した後、または出産予定日から3週間経過した後に削除される。
 利用条件は、出産の兆候が始まったが医療機関へ行く手段がない場合、異常が生じ医師が緊急に搬送する必要があると判断した場合、その他緊急を要する場合。これらに当てはまるような状況になった時に、かかりつけ医療機関へ連絡し救急の指示をもらった上で119番通報をすると、救急車で医療機関へ搬送される。
(月刊「ガバナンス」2023年2月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●遊休農地での有機野菜の栽培や人材育成に関する連携協定を締結

 島根県(66万6300人)は、2022年12月26日、県内で持続可能な有機野菜の産地づくりに取り組むことを目的に、有機農業に必要な人材育成、有機野菜の生産技術の確立・普及などの5項目について、JAしまねと県内西部の9市町(浜田市、益田市、大田市、江津市、川本町、美郷町、邑南町、津和野町、吉賀町)、楽天農業との間で連携協定を締結した。自治体、県域JA、民間企業の3者が有機野菜の産地づくりに関する連携協定を締結するのは全国初。
 協定の主な内容は次のとおり。
① 有機野菜産地の持続・発展に必要な人材育成に関すること ② 有機野菜の生産技術の確立・普及に関すること ③ 有機野菜の生産に必要な苗等の資材供給に関すること ④ 遊休農地などの耕作放棄地の解消に関すること ⑤ 有機野菜の加工・流通・販売に関すること  今回の協定により、9市町にある遊休農地などにおいて、JAしまねからの苗や資材供給などのバックアップを受け、楽天農業が有機野菜の農地として再生や作付けを実施。農地で生産された野菜や島根県内の有機農産物生産者から買い上げた野菜は、楽天農業が所有する有機JAS認証を取得した工場で加工し、インターネットや小売店での販売を通して全国に提供する。
 また、県農業技術センターや楽天農業は栽培技術の確立・普及を図り、県農林大学校や市町、JAと連携して有機農業に必要な人材育成にも取り組むことで、有機農業の生産拡大・産地化を目指していく。
 こうした取組みにより、県では、高齢化等による農業人口の減少や、それに伴う技術の継承の問題や遊休農地の増加などが懸念される県内の農業において、新たな有機農業モデルの実現を目指す。
(月刊「ガバナンス」2023年2月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●地域課題をスタートアップと市が協働して解決するプロジェクトを開始

 兵庫県西宮市(48万3400人)では、2020年度末に「DX推進指針」を策定し、デジタルを活用して「市民と共に新たな価値を生み出す市役所改革」を目指す「西宮市DX」に全庁的な体制で取り組んでいる。この動きを加速させるため、高度な技術力・発想力を持つスタートアップなどの企業・事業者と協働し、地域の課題解決と市役所の改革を目指すプロジェクト「Urban Innovation NISHINOMIYA」を2022年11月下旬から開始した。
 全国の自治体の課題とスタートアップ等をマッチングするオープンイノベーション・プラットフォーム「Urban Innovation JAPAN」の枠組みを活用し、次の3つの課題について協働を希望する企業・事業者を募集した。
① 「地域活動DX!魅力とやりがいを未来の担い手に伝えたい!」 ② 「図面審査をデジタル化! 建築確認関連の業務を効率化したい」 ③ 「建築業務をDX!誰でも膨大なマニュアルや基準を使いこなせるナレッジマネジメントを実現したい!」  2023年1月下旬に採択事業者を決定、2~3月にフェーズ1(計画策定)、4~6月にフェーズ2(実証実験)へと進める。
(月刊「ガバナンス」2023年2月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●ヘルスケアベンチャーとパートナー協定を締結

 東京都三鷹市(19万600人)は、VR(仮想現実)空間内でリハビリを行う最新鋭機器「mediVR カグラ」を開発したヘルスケアベンチャーの株式会社mediVRと「デジタル技術を活用した三鷹市の健康福祉施策推進に向けたパートナー協定」を締結した。同社の先駆的なデジタル技術を活用した市の健康福祉施策の推進がねらいで、同社との協定は地方自治体では初となる。
 市は、2020年3月に廃止した三鷹市立特別養護老人ホームどんぐり山の施設を活用して、在宅医療・介護を推進する研究拠点や介護人財の育成拠点施設を整備する「福祉Laboどんぐり山プロジェクト」を進めている。同施設は2023年12月のリニューアルオープンを予定しており、パートナー協定はそれに先立ち結ばれたもの。mediVRは大阪大学発ベンチャーとして16年に創業した医療機器メーカーで、医師や理学療法士、作業療法士とともにmediVR カグラを活用したリハビリテーションの普及促進に力を入れている。三鷹市は協定を契機に更なる連携協力を図り、双方の人財と資源を最大限活かし、デジタル技術を活用した先駆的な健康福祉の取組みを協働で進めていく。
(月刊「ガバナンス」2023年2月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

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