連載 vol.76「つながる」力 同期のつながりをきっかけに、さらなるつながりへ 【池田和弥(長野県職員)】
地方自治
2023.07.21
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2020年7月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
私がつながりの大切さを実感したのは、昨年の10月。一生忘れることのないであろう、台風19号が地元に壊滅的な被害をもたらしたときだ。千曲川の堤防は大きく決壊し、地元は濁流に襲われた。生まれ育った実家や、思い出の詰まった故郷は変わり果てた姿となった。
目の前の現実に打ちひしがれていたが、悲しいことばかりではなかった。長い間疎遠になっていた小学校の同級生たちと、再び連絡を取り合うようになったのだ。予定が合うときには集まって飲みに行ったりもしている。今ではみんな地元を離れて暮らしているが、離れていてもつながりを感じている。つながっていることの安心感は日々の生活を支える糧となっている。
そんな私はこの春に大学院を修了し、長野県庁に入庁した。配属先は佐久市の合同庁舎内にある県税事務所だ。当初は合庁内だけではなく、他の地域に配属された同期とも積極的に関わっていきたいと考えていた。
しかし、コロナウイルスによって同期と関わる機会は悉く奪われてしまった。同期と最も仲良くなる機会だと言われている新人研修は中止となった。合庁内の同期が集まる機会は数回あったが、コロナ対策のため全員横並びで、マスク着用が必須だった。そのため、合庁内にいる同期でさえ顔がわからない。ましてや他の地域に配属された同期に至っては、入庁前に知り合った数人を除き一度も会ったことすらない。同期のつながりが完全に分断されてしまっている。同期の知り合いが少ないのは寂しいし、辛く感じることもある。
この状況を何としても変えたい。そう思い、私は良きタイミングで同期会をやろうと職場の同期に提案した。そして知り合いの同期にも声をかけてもらい、その輪を広げている。まずは合庁内の同期がつながることを目指し、行く行くは他の地域の同期にも広げていきたい。そして最終的には、同期とか世代の垣根を越えて職員同士がつながるオフサイトミーティングを県庁内に創りたい。まだ予断を許さぬ状況ではあるが、少しずつ活動していきたい。
(長野県職員/池田和弥)