地域の助け合いが自分と家族の命を守る第一歩!~「地区防災計画」の作り方~

葛西 優香

地域の助け合いが自分と家族の命を守る第一歩!~「地区防災計画」の作り方~ 第4回 地区防災の実際の作り方と得られる効果②

地方自治

2023.07.24

東日本大震災・原子力災害 伝承館 常任研究員・株式会社 いのちとぶんか社 取締役
葛西 優香

 

1.地区防災計画作成の7ステップ(再)

 今回の投稿においても、地区防災計画を作ろう!と思ってからどのように工程を進めればいいかわからない、と困っている方々と一緒に地区防災計画作成の工程を共に進んでいけるように、地区防災計画作成を始める前に整える7つのステップを提示する。前回は、①と②のステップについて事例を元に詳細を提示した。今回は、③~⑤のステップ内容を提示したい。改めて、地区防災計画作成のステップを示す。

STEP1 計画を作成するチームを構築する(この時点で多世代が関わっている10~15名のチームを形成する) STEP2 誰とどの範囲の計画を立てるかを決める(例:町会範囲、小学校区範囲、一棟のマンション範囲) STEP3 話を聞きたい人(協力者)リストを作成する STEP4 計画の範囲に存在する人の属性を整理する STEP5 属している人にできるだけ多く声をかける STEP6 計画の最終形態(目次)を示す STEP7 いつまでに完成をさせるか大枠のスケジュールを決める

 

2.STEP3 話を聞きたい人(協力者)リストを作成する

 STEP1でチームを結成し、チーム内でSTEP2の計画の作成範囲を決定した。次に「STEP3 話を聞きたい人(協力者)リストを作成する」に進む。計画の範囲が決まれば、その地域範囲に関わる人はどのような人がいるのか、その範囲内で活動している人、居住している人などチームメンバー以外にも話を聞いて、災害時の状況を共有したい人のリストを作成する。リスト作成の課程は、地域を今一度見直し、どのような人が地域に住んでいるのか、生活をしているのか地域を見直す行動につながる。「こんなにも子どもが少なくなっているのか」「こんなところに防災の活動をしている人がいたようだ」「防災士の人が住民でいるようだ」、など住民の中でも協力を仰げそうな方々が見えてくるのである。
 花畑団地においても各事業所の方にお話を聞きながら、協力体制を築いてもらえそうな方や団体がないかを随時聞きながら、候補に挙がった人、団体にはアプローチし、話を聞きに行くようにした。そして、まずはそれぞれが持っている課題を共有してもらい、地区防災計画作成への協力を要請した。ここで注意したいのは、頭ごなしに「手伝ってほしい」「協力してほしい」と最初から伝えないことである。一方的なお願いになると相手は負担を感じてしまう。

 

3.STEP4 計画の範囲に存在する人の属性を整理する

 リストが完成したら、次のステップの「STEP4 計画の範囲に存在する人の属性を整理する」へ進む。話を聞きたい人リストに挙がっている人も含め、計画作成範囲に存在する人の属性を整理し、地域の全体像を明らかにする。地域住民の傾向を話す時、「子どもが減った」「若い人はこの町を出ていく」「高齢者が増えた」という会話は町の中で非常によく聞く話である。どこの町でもこのような会話が行われていないだろうか。ここで重要なのは、「本当に?」と疑うことである。もしかしたら、子どもがたくさん住み始めているかもしれない、一度町を離れた人が故郷に戻ってきているかもしれない、ご高齢者の方が多くてもまだまだ体力があり、活動もできて元気がある、など思い込みで判断するのではなく、実際にどのような人が住んでいるのかを整理していく作業を行う。属性を整理する方法としては、全戸アンケートの実施や時間帯別に該当地域で生活している人の年齢層や所属、行政が出している定量調査の人口割合など、可能な範囲で自ら情報を集める。黙っていても情報は訪れない。自分たちで情報を収集する行動を行うことが地区防災計画作成における基本姿勢である。

 

4.STEP5 属している人にできるだけ多く声をかける

 属性の理解を大枠でまとめられたら、「STEP5 属している人にできるだけ多く声をかける」ことが次のステップだ。「若い人は話を聞いてくれないだろう」「みんな忙しいから参加しないだろう」「なかなか外に出てこない人には話かけづらい」など、ここでもまた思い込みが行動の足を止めていないだろうか。
 現に花畑団地では、自治会住民の方々から「大学ができたけど、大学生に全然会わない。自治会も高齢化しているし、若い人に手伝ってほしい」という発言が計画作成前には見られた。しかし、大学生に参加要請し、毎回の作成ワークショップに参加してもらうと、自治会住民からの発言は変わった。「大学生とこんなにいろんなお話ができるとは思っていなかった」「大学生がやりたいことをサポートしたい」と話しづらいと思っていた世代との会話が進み、自治会側からも大学生をサポートできることを考えるようになり、「助け合う」体制が築かれ始めているのだ。
 地域にある課題は、課題として発言し続けていることで、課題として固定しまっている町が多いのではないか。ただ、「課題だ」と言い続けていても何の解決にもならない。地域に存在している人と会話をして、自分たちの状況を共有し合う場を持つこと。まずはそこから。地区防災計画作成の場は、多世代で会話ができる場ともなり得るのである。課題を課題のまま置いておくことは簡単である。しかし、誰かが動かなければ、課題は山積みになり、災害時にその課題が露呈する。露呈して終わりではない、一人一人の命がかかっているのだ。自分そして大切な人のいのちを守るためにまずは一歩、町の方々と一緒に踏み出したい。
 地区防災計画作成のSTEP5まで進み、次は、具体的な計画の内容を決めていく。次回は、STEP6から一緒に辿っていく。

 

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