東西南北デジデジ日記
東西南北デジデジ日記 vol.67 今週の担当:【東】千葉大右 ◆【自治体DX】デジタルサービスをつくったあとは…②
地方自治
2023.02.16
「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。「いいサービスができた!」、さあ、これからどうする…!? 今回は「サービスの広め方・広報」がテーマです。(※本連載は毎週木曜更新です)
―――――2023年2月16日 Thu.―――――――
デジタル化とは言うけれど
今年度も大詰めとなってまいりました。
船橋市では2月14日に市議会が開会し、来年度予算の審議が始まりました。
皆さんの団体ではデジタル関係の予算はどの程度組まれたでしょうか。
デジ田交付金(デジタル田園都市国家構想交付金)を見込んでいる団体では、目玉となる施策があるかもしれませんね。
一方で、国がDXだのデジタル化だの言う割には目立ったものは特になく、デジタルなんてうちには関係ないよという団体もあるかもしれません。
子育てや福祉のように生活に直結する施策とは言えませんので、現実には新規の予算獲得は難しいものです。
であるならば、これまでに投じた予算の効果が最大となるよう、実施済の施策のテコ入れを行う必要はないでしょうか。
そのデジタル化、やりっぱなしになっていませんか?
オンライン申請不要論
「オンライン申請なんて不要。郵送もあるし、結局窓口に来るのが一番早いし」
こう言われたことありますよね? あるあるですよね
「それ、あなたの感想ですよね?」って言い返したくなりますよね?
それではこちらをご覧ください。
アンケート結果によれば、ICTを活用してできるようになると望ましいことは、「夜間や窓口が休みの日に手続きができる」と「窓口に出向く必要がなくなる」が圧倒的なツートップです。
前者は「夜間休日開庁」を指している方がほとんどだと思いますが、「オンライン申請」を含んでいるとも考えられます。
後者はほぼ「オンライン申請」のことだと思います。
いずれにしても、オンライン申請は圧倒的に望まれているのです。
それなのに、「オンライン申請なんて始めても誰も使わない」と言う職員さえいます。
なぜでしょうか?
余談ですが、夜間休日開庁は他の類似の調査でも常にトップを争います。
なので、「住民満足度を高めたければ、ワンストップ化よりもデジタル化よりも、まずは夜間休日開庁を選択肢に入れるべき」というのが私の持論です。
オンライン申請、周知してる?
オンライン申請が使われないとすれば、その理由は「周知不足」です。
以前はマイナンバーカードの普及率やデジタルデバイドが理由とされたこともありましたが、マイナンバーカードの申請率が7割に迫り、60代以上のスマホ所有率が8割に迫る現状では、これらはもう理由になりません。
もちろん、オンライン申請が使いづらいとか、やり方がわからないといった理由もあるでしょう。
私はそういったことも含めての「周知不足」だと考えています。
たとえば、2月6日からサービスが始まった「引越しワンストップサービス」。
あなたの団体のウェブサイトではどのように周知していますか?
転出届が来庁不要になることはかなりのインパクトがあると考えます。
ここでも、「引越し先が近場なら、転出転入を同日に行うから意味がない」といった意見を聞くことがあります。
これも個人の感想にすぎません。
来庁が転入だけで済む(=時間の短縮になる)のなら、事前にオンラインで転出届を済ませたいという人は多いはずです(数字を持ち合わせていないのでこれも個人の感想にすぎませんが、答えは引越しワンストップの利用率でいずれわかることでしょう)。
いま窓口に転出届を出しに来ている人の何パーセントが、引越しワンストップサービスを知っているでしょうか。
デジタル広報力を高めよう
前回(vol.66)山形さんが書いた「デジタル施策をするなら、デジタル広報力もちゃんと高めていこ」には大賛成。
ちゃんと周知していきましょう。
できることを隠すような姑息なことはやめて、これまでに投資したデジタル化予算の効果を最大化しましょう。
職員側からすると、オンライン申請が増えると業務の負担も増えるといった事情はあるかもしれません。
でもそれはあくまで行政の理屈です。
負担が増えるような業務設計のしわ寄せを、住民に転嫁していいのでしょうか。
ここ最近、しばらく忘れていた「住民サービス原理主義」的な考え方が復活してきました。
私の根っこはこの考え方なんです。
今後も忘れず大事にしていきたいと思います。
もちろん行政の効率化も大事なのは重々承知してますよ。
それではまた来週。デジデジ!
~次回の日記は2月23日(木)に更新予定です!~
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