【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 vol.63 今週の担当:【東】千葉大右 ◆【自治体DX】デジタル化の取り組み、1年目、2年目、3年目~の心得②◆

地方自治

2023.01.12

2023年もデジデジ日記をどうぞよろしくお願い申し上げます! 「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。テーマは、前回に引き続き、「デジタル化の取り組み、1年目、2年目、3年目~の心得」です。(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2023年1月12日 Thu.―――――――

 

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
皆さんはどのような新年を迎えられたでしょうか。

私は、前回いつだったか記憶がないほど久しぶりに、おみくじで大吉を引きました。
しかも「願望思いのままなり」という、この世のすべてを手に入れそうな勢いの内容です。
しかし好事魔多しとも言いますので、かえって気を引き締めて一年を過ごしたいと思います。

 

デッカイギ

本題に入る前に、デッカイギ(https://www.dekaigi.org/)について触れさせてください。

デッカイギとは「行政デジタル改革共創会議」→「デ改議」→「デッカイギ」なわけですが、行政デジタル改革共創会議と銘打った真面目なイベントを開催しました。
1月6日・7日という年明け早々の日程で、しかも場所は横浜市内からさらに1時間のところにある横須賀リサーチパークにもかかわらず、総勢300名(うち公務員200名)に参加していただきました。
ご参加いただいた皆さまにはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

運営に携わった私は精根尽き果ててイベント終了後の週末にダウンしましたが、この原稿を落とさなかったことはここに記しておきましょう(えっへん)。

 

3年というスパン

さて、今回のお題は「デジタル化の取り組み、1年目、2年目、3年目~の心得」とのこと。

天の声が知ってて3年という数字を使ったのかわかりませんが、3年というスパンは行政ではひとつのサイクルになりますね。
各種計画における実施計画やアクションプランと呼ばれるものは、3年サイクルが多いのではないでしょうか。

システムの世界では、1年目=予算化、2年目=構築、3年目=運用のパターンが多いですが、近年はSaaS(Software as a Service)なんかも増えてきて、2年目が構築&運用となるパターンもあります。
いずれにしても、1年目の予算化から始めなければなりません。

 

1年目=予算化

すべてはここから始まります。
予算化のためには綿密な計画と、なによりビジョンが必要です。
そのデジタル化はなんのために必要なのか、住民サービスの向上なのか業務の効率化なのか、はたまたその両方なのか。

よく言われることですが、デジタル化は手段であって目的ではありません。
なんのために導入するのか、効果をどうやって測定するかを予算化の段階で意識しておく必要があります。

そしてなにより大切なのは、周りの理解です。
財政課に理解してもらう前に周りの理解を得る必要があります。
そのデジタル化を担うのはあなただけではありません。
関わるすべての人に納得してもらえるように努めましょう。

ちょっと説教くさいですが、これは私の経験からくる反省が多分に含まれています。
今でも「もっとうまくできなかっただろうか」と思い出すことがたくさんあります。

 

2年目=構築

めでたく予算化できたら、2年目は構築です。
予算化の段階で当然ある程度これだというシステムを見つけているとは思いますが、現時点でほかに候補となりうるものがないか、常にアンテナを高くしておきましょう。

デジ田(デジタル田園都市国家構想)においても、「デジ田交付金が措置されます」というアナウンスがあってから企画したのでは間に合いません。
常にアンテナを高くし、めぼしいネタは引き出しの中にしまっておきます。
この引き出しの中のネタの数こそが、課題解決のきっかけになります。

構築はちょっとしたマラソンです。
3か月で終わることもあれば1年以上かかる場合もあります。
長丁場になりそうな場合は、途中で息切れしないよう、計画的に進める必要があります。
また、要件定義や基本設計など、手戻りが発生しないよう各段階で振り返りを行うことも重要です。

このあたりのことは拙著『自治体システム導入の「そういうことだったのか」会議』(ぎょうせい刊)に詳しいので、ぜひご一読ください(宣伝!)。

 

3年目=運用

いよいよ成果を出す3年目です。
ビジョンを具現化できるかどうかは、運用にかかっていると言っても過言ではありません。

自治体は運用する現場が近くにあるので、運用を無視した設計にはなりづらいです。
逆に、運用に引っ張られて、デジタル化の効果を最大限発揮できないといったことは起こります。

ここで大切なのが「1年目=予算化」で述べた「周りの理解」です。
関わるすべての人が納得して運用できれば、成果は自ずとついてきます。
予算化のときにしっかり仕込んでおく。仕込みが肝心なのはなににおいても同じですね。

 

1年目から遠慮なく

1年目なんて仕事を覚えるのに精一杯で、事業を予算化する余力なんてないと思うかもしれません。
でも、1年目から目の前の仕事に疑問を持つこともあると思います。

そういう普段のちょっとした気づきも引き出しのネタになります。
隣の人はもう慣れてしまって疑問に思わないことも、1年目のあなただからこそ気づくということもあるでしょう。
気づいたら、ぜひ遠慮なく動いてみるといいと思います。
うまくいかなくても、その積み重ねがあなた自身を成長させてくれますよ。

それにしても喉が痛い! それではまた来週。デジデジ!

 

~次回の日記は1月26日(木)に公開予定です!~ 

 

バックナンバーのご案内


バックナンバーはコチラから。

執筆陣のプロフィールはコチラから。

 

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

閉じる