東西南北デジデジ日記 vol.62 今週の担当:【北】山形巧哉 ◆【自治体DX】デジタル化の取り組み、1年目、2年目、3年目~の心得①◆

地方自治

2022.12.22

「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。今回は、2022年ラストの更新です。新年度が迫り、新任者・異動者も増える時期、「心構え」「引継ぎ」をテーマに進めていきます。(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2022年12月22日 Thu.―――――――

 

師走です

師走。1年の最終月。終わりの月。
この原稿を書いたのが12月17日ですが、なんと、2022年もまったく同じ日にデジデジ日記の原稿を書いていました。

昨年も書いていましたが(…というよりも、いろんなところで毎回言いまくっているのですが)、特別なことがなくても、この時期はなにかそわそわ、そしてウキウキしてきますね。

さすがに森町では感じることがありませんが、函館なんかに行ったときに感じる、あの街を包む甘い匂いはなんなんでしょうか。

さて、今回のお題。

デジタル化の取り組み、1年目、2年目、3年目~の心得

行政ではありましたが、社会人としてのキャリアのほとんどをデジタル分野にいた僕にはむしろ難しいお題。

しかも、今の時代、「まったくデジタル化されておらず、これから手をつける」という分野の仕事って、行政くらいにしかないわけじゃないですか。
それを書くなんてなかなか……あ、そうだった。行政に関することでしたね(笑)。

 

デジタルクエストーープロローグ

前段は、もしかしたら冗談っぽく聞こえたかもしれません。
しかし、いたって真面目に思っていることです。

特に、対人に関する仕事で、まったくデジタル化されてない、つまり、ネットワークにつながっていない仕事があるとしたら、行政くらいしかかもしれません。
世の中はそのくらいインターネットベースで物事が考えられています。
(ここでいうネットワークとは、いわゆるインターネットの世界全体のことを指しています。三層分離によってインターネットに接続しづらくて…という点ではありません。あしからず。)

では、行政は、なぜこの世界にすぐ行けなかったのか。
それは、怠慢ではなく、法的な制限や条例が関係するわけで、その変更のために一定の時間を要するのも事実です。
そして、その時間をあまりにもかけ過ぎたというのも事実だと思っています。

正直、今言われているデジタル化論も、大義はなんとなく変わっていそうな雰囲気がありながらも、僕が知るこの20年弱、同じことしか話をしていない気もしますし、DXについてはすり替えられてしまっている気すらします。

では、今後どうしていったらいいのかというのはまた別な機会として…
これを踏まえたうえで、
「新年度、新たになんらかの部署へ異動となったら、どうやって1~3年目を過ごしていけばいいの?」
について考えてみたいと思います。
僕、ほとんど異動したことないけどな!

 

1年目、冒険のはじまり

新しい部署に来て、右も左もわからず、どうしよう。

そんなとき、まずやることといえば、引継書やこれまでの流れの書類を確認しますよね。
1年目は、それをトレースしてみるところから始まります。
特に行政は法令で定められた動きの中で業務が行われるので、この考えは間違いではないと僕は考えています。

ここでのポイントは、自戒を込めて、「前任者、さらにはその前任者、さらにはそのまた前任者が、なんの間違いもなく、その業務を遂行してきたか?」の視点で見てみることです。

そこで、自分の学びを含め、一つひとつ、根拠を見てみます。
たとえば、引継書に「○○○法第△条」と書いてあれば、その法律が現在も存在しているのかと確認してみます。

また、自分自身の業務フロー図を作ってみるのも手かもしれませんね。
要は、トレースしつつも、それが常識なんだとは思わないようにしていくことがまず初めの一歩かなと。

 

2年目、悪量の紙々

2年目になると少し余裕が生まれてきているはずです。

基本的には1年目の業務のトレースをしながらになるとは思いますが、ひととおり流れを見てみた後+法的な根拠やその理由を見た後であれば、

「あれ? これはもっと効率化できるものなのでは?」
「この調査、実は必要ないものなのでは?」
「むしろ、ここをやっておいたほうが住民のためになるのでは?」

という部分が見えてくるはずです。
これらを改善していってみましょう。

ここで、改善していく場合も、アナログではなく、ちゃんとデジタル前提で考えていきましょう。

よく、自治体から、「今この紙で作成しているヒアリングシートをOCR-RPA処理したらめちゃくちゃ便利になると思うんすよ!!」と話をされることがありますが、これに対して僕は、「であれば、来年度からそれ、デジタルデータで記入しては?」とアドバイスするようにしています。

この際、1年目で作った業務フロー図などがあれば、部署内での協議や合意が取れやすいかもしれませんね。

え? 僕の場合ですか?
僕は脳内にすべて入れていたので本当にてんやわんやでしたが(笑)、それでも、大きな括りの業務は、ある程度の流れは業務マニュアルに書いておいて、それをアップデートしていました。

 

3年目、そして伝説へ

3年目がその部署での最終イヤーという場合もあるかもしれませんね。

3年目ともなると、前年に行った成果が見えるとともに、自分自身もさらに知識が身につき、多くの改善点が見えてくるはずです。
ただ、そこに対して手をかけられるのか、時間は足りるのか、それについては微妙な時期であるともいえます。

そんなとき、どうするか。
そうです、引き継ぎの準備です。
1年目、2年目に作成したフローなどをよりしっかりとまとめ、さらなる改善ポイントなどを書き入れ、残る担当者(見込み)や次に来る人に託す準備をするのです。

こうすることで、仕事の要素がよりモジュール化され、一気に変えられなくても、この部分を今年は変えようなど、スモールスタートをしやすくなるはずです。

もし、来年もあなたが同じ部署にいたら、大きく改善していきましょう。

 

デジタルはツールというけども

「デジタルはツールだから、改善にデジタルは必要はないんだ!」といわれることが多いですが、とはいえ、僕はデジタルありきでいいとも思っています。
そのくらい、デジタルツール活用は普通なことですから。
「これを入れたら便利になるんだ!」というモチベーションがあったって構わない。

ただ、こんなマインドや心持ちはよくありません。
・「とりあえず、どうしたら“DXやってる”って見えますかね?」というマインド
・「わかんないから、とりあえずよさそうなもの入れちゃえ!」というマインド
・「流行ってるやつ、やっとけばいいんでしょ?」というマインド

重要なのは、「そこに住んでいる人たちの生活を想像して、その取り組みをやってるんですか?」という点です。

人々の生活に、「当たり前にデジタルがある」という事実をしっかりと認識しておくっていうのがとっても重要なんじゃないかなあと思うわけです。

ま、とはいえ、そこを変えるのが難しいんですけどね!(笑)

ということで、大きなオチもありませんでしたが、皆様の今年はいかがでしたでしょうか?
来年も元気でがんばっていきましょー!!

それでは今年はこの辺で。
また次回お会いしましょう。デジデジ!!

 

~2022年のご愛読をありがとうございました! 2023年は1月12日(木)更新からスタートします!~

 

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