東西南北デジデジ日記 vol.61 今週の担当:【南】今村寛

地方自治

2022.12.15

「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。年の瀬ということで2022年の振り返りを…どころか、職業人生を振り返っていただいた今ターンです!(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2022年12月15日 Thu.―――――――

 

公務員の仕事愛って?

最近、私生活が本当にジェットコースターのようにアップダウンが激しくて、周りのことを気に掛ける余裕もないままに目の前のことに注力していたら気づけばもう師走。
怒涛の2022年もあとひと月を切りました。

この連載も2022年最後の当番となりますね。
今クールは天の声が明確にお題を提示しています。

公務員が仕事する意識は、自治体愛? それとも公務員(職業)愛?
「自治体愛」=①地元愛、②組織(所属先)愛の2つの視点にわけられるかなと感じました。モチベーションは「地元愛? 組織愛? 職業愛?」の3つのうちどれですか。

12月だから三択ロースなんですかね(笑)。
そんな単純なものではないのですが、私が毎日仕事場に向かい、一日の大半をこの職場で過ごし、そんな日々を30年以上も繰り返している原動力って何だろうとあらためて考えてみることにします。

 

何の愛に基づいて奉職したか

私が1991年に福岡市役所に入庁しようとした動機はとても単純です。
関西の大学に通っていたのですが、高校時代からつきあっていた彼女と遠距離恋愛中で、卒業後もその状態が続くことが当時は耐えられなかったというのが正直なところです。

そういう不埒な理由で福岡に本社がある企業を片っ端からアタックしつつ、友人の父親が勤めていた福岡市役所の話を聴き、大学では法学部だったこともあって公務員という職種もそう縁遠くはなく感じたので受験した、という経緯です。

私はもともと神戸生まれ、宝塚育ち(一時広島)で、小6で福岡に初めて越してきた外様ですから地元愛みたいなものもなく、福岡のまちが好き、福岡をもっと住みよい街に、みたいな感覚はありませんでした(マジ!)。

公務員と民間企業とを比べるという感覚もあまりなく、電気を売る、お金を貸す、電車やバスを走らせるといった業務領域が特定される会社よりも、福祉、教育、まちづくりと幅広く手掛けているお役所業界のほうがいろいろできておもしろいかも、という気持ちくらいで市役所を選びました。
これを面接で話していたら本当に受かっていたのやら、怪しいもんです(笑)。

 

誰への愛が原動力になってきたか

市役所に入って30数年が経った今振り返ると、たくさんの先輩後輩に囲まれ、市のかかわるいろんな業務を知り、そこで官民問わずたくさんの方と出会えたことにより、入庁当時になかった自治体愛(地元愛や組織愛)をたくさん育んできたように思います。

特に、そもそも福岡に長く住むことによる、福岡というまちそのものへの地元愛は、生まれ故郷の神戸をはじめとする関西界隈よりも格段に強くなりました。
しかし、そのことが私の仕事へのモチベーションに強く影響しているかというと、それそうでもないかもしれません。

私は福岡が好きですが、私がその運営の一翼を担っていることを誇らしく思うことが仕事のモチベーションになっているのかというと疑問です。
ただ、職場の仲間や官民問わずおつきあいさせていただいている福岡の多くの友人たちの笑顔が見たいという意味で、このまちがもっとよくなることを望み、それを分かち合えることを楽しみに仕事をしたいという気持ちはありますし、逆にそういった方々から「福岡市は何をやっているんだ!」とお叱りを受けたくないという気持ちを常に持っています。

これは何への愛なのですかね。
地元愛とも組織愛とも違う「関係者愛」「隣人愛」とでもいうべきものかもしれません。

 

誰かからの愛が原動力かも

そういう意味で最近本当に私の中で大きく育っているのが、全国の自治体職員はその周囲にいる自治体界隈、まちづくり界隈の皆さんへの愛です。

財政出前講座で全国を飛びまわり、ともに喜びや悩みを分かち合い、時には励ましあい慰めの声を掛け合う仲間たちの存在は私の日々の原動力。

仕事以外でオフサイト活動にいそしむ私のエネルギーの源泉はまさにこの記事をお読みの皆さんをはじめ、私の発信を受け止めてくれる全国の皆さんのおかげです。

みんなが喜ぶ記事を書きたい。
みんなが喜び講座を開きたい。

これは職業愛というものとは少し違うようにも思います。
いわゆる公務員の業務領域が好き、ということだけでは片づけられない、誰かから求められ、その誰かを笑顔にしたいという気持ちが底流にあります。

 

力の源泉は皆さんの「いいね!」

私は何への愛を原動力としているのでしょうか。

強いてあげるなら、誰かが自分に求めることに応えたいという気持ち。

思えば30数年前、福岡に帰ってこようと決めたのも当時の彼女に求められたから(笑)ですし、この30年間、常に職場や周囲の関係者に求められることを実現するために身を粉にして働いてきたように思います。

最近では多忙にかかわらず全国の皆さんの求めに応じての出講や寄稿、オンラインでの対話などに喜々として応じているのも、まさに求められているからこそ。
私の力の源泉は皆さんの「いいね!」なんだとつくづく思います。

 

公務員と十把一絡げにしても

山形さん(vol.58)はまさに「このまちが好き」という「地元愛」、千葉さん(vol.59)は世の中の役に立ちたいというパブリックマインド、すなわち「職業愛」を語り、多田さん(vol.60)は自分が楽しむ「自己愛」が基本で、そのことが誰かを幸せにすればいいのではないかと述べておられます。

どれも「なるほど」とうなづくものばかりで、私の中にもその一面があることを強く感じます。
たぶんこのお三方もたった1つの選択肢で語りつくせるはずがないなかでの究極の選択なのでしょう。

私の周りの公務員もきっとその志望動機は千差万別で、現在の仕事へのモチベーションも多種多様だろうと思います。

ただ、公務員という職業柄、他人から、あるいはまちや社会全体から何かを求められるという立場になることが多く、それを実現することに従事することも多いので、誰かから求められ、それを実現することに喜びを感じる、私のようなタイプの人にとっては天職だと思います。

とはいえ、千葉さんのいうように、それは公務員という身分がなくても、どこで実現するかというだけの話なのですが。

おあとがよろしいようで。デジデジ!

 

~次の日記は2022年ラスト回です! 12月22日(木)に更新予定!~

 

★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/

★そのほか、自治体財政の話、対話の話など、日々の雑感をブログに書き留めています。
https://note.com/yumifumi69/

 

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