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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2023 月刊「ガバナンス」2023年5月号

地方自治

2023.05.25

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2023年5月号)

●ユニバーサルツーリズム推進条例を制定

 兵庫県(548万8600人)は、年齢や障害の有無等にかかわらず、さまざまな人が気兼ねなく旅行を楽しめるユニバーサルツーリズムの推進に向けて、「高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例」(ユニバーサルツーリズム推進条例)を制定し、23年4月1日に施行した。高齢化の進展やユニバーサル社会づくりへの要請、24年の神戸世界パラ陸上や25年の大阪・関西万博等への国内外からの多様な来訪者の受入の必要性などを踏まえ、ユニバーサルツーリズムへの理解促進と気運醸成や県の積極姿勢の見える化などを目的に制定したもので、ユニバーサルツーリズムに特化した条例は全国初。
 条例は前文と全17条の構成。高齢者・障害者等が家族や友人と一緒に安全で快適な旅行を楽しむことができ、希望する目的地・交通手段・施設・体験活動等を自由に選択できる環境(「行きたいところ」に旅行できる環境)を整備しなければならないとし、高齢者・障害者等の受入体制の充実と情報等を得られる機会の確保、ユニバーサルツーリズムの推進に関する気運の醸成などを基本理念として明記。県の責務と市町・観光関連事業者・県民・支援団体等の役割を規定している。その上で、基本的施策として、観光関連事業者及び支援団体等相互の連携や観光関連事業者への支援に加え、高齢者・障害者等の受入に積極的な観光関連事業者の登録について定めているのが特徴。人材・相談員の育成や環境整備のための財政措置と推進体制の整備なども規定している。
 22年のアンケート調査では高齢者・障害者等の3割〜5割が障害等を理由に旅行を諦めていると回答している。県は一定基準を満たした宿泊施設の登録制度を新設して県観光サイトで紹介し、また、ソフト対策やハード整備(バリアフリー化工事等)への補助を行っていく。
(月刊「ガバナンス」2023年5月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●SIBを活用した介護予防事業を実施

 愛知県豊田市(41万7000人)は、ソーシャルインパクトボンド(SIB)を活用した介護予防事業「ずっと元気!プロジェクト」を実施している。健康寿命の延伸や介護給付費の削減がねらい。
 同事業では、「社会参加」や「コミュニケーション」をキーワードに、運動・趣味・エンタメ・就労など多様な介護予防プログラムを市内の高齢者に向けて、さまざまな場所で展開。現在サービス提供事業者は50団体にのぼり、参加した高齢者は月間1500人超となっている。
 SIBは、自治体が民間活力を社会的課題の解決に活用するために事業資金を民間から調達するとともに、企業やNPO等が提供するさまざまなサービスに対して、成果に応じた報酬を後から支払う成果連動型の官民連携の仕組み。同事業では、事業創造や社会イノベーション分野で実績のある㈱ドリームインキュベータが企画運営業務を担っている。市は、保健師が担当地区ごとに「元気アップ教室」を開催して高齢者の介護予防に努めているが、さらに民間の創意工夫も取り入れるため同社と連携することにした。事業期間は26年6月まで。
(月刊「ガバナンス」2023年5月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●日本郵便に委託して空き家調査を実施

 三重県玉城町(1万5300人)は、日本郵便㈱に委託して空き家調査を実施した。町は21年から町内自治会長の協力を得て空き家調査を実施。その結果、約300件の情報が得られた。この基礎情報を有効活用して対策を進めるため、地域に密着した配達ネットワークを持つ日本郵便に調査を委託したもので、同社と連携した空き家調査は全国初。
 調査は23年1月11日から3月31日まで、松阪郵便局玉城集配センターで郵便集配業務を担当する郵便局社員が業務の合間に実施。約300件の空き家を対象に、タブレット端末を使って町の示した調査項目(家屋の破損の有無、雑草やごみの散乱状況など7項目)について現状を確認して入力し、建物の外観を撮影して町に報告した。町は調査データを基に、所有者へ働きかけて空き家相談などにつなげていく。

(月刊「ガバナンス」2023年5月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●議員志望者向けの「議員の学校」を実施

 北海道栗山町(1万1300人)議会は、2023年の町議会議員選挙に向けて、議員になるためのいろはを学ぶ「議員の学校」を実施した。議員を目指す人のさまざまな疑問に応え、議会への関心や議員立候補の意欲を高めるのがねらい。参加対象は栗山町議会議員を目指している、または関心のある18歳以上で、栗山町民以外でも参加できるとした。
「議員の学校」は2月20日に開校。19人の申し込みがあり、3月17日まで計6回実施。1回目と2回目は昼と夜の2部制で、議会と議員の役割や議員活動の実際について町議会議員全12人が説明。3回目は議会運営委員会を傍聴、町議会開会後の4回目〜5回目は定例会議(一般質問)と予算審査特別委員会を傍聴してもらい、6回目に模擬議会を開催し、全日程のまとめを行って閉校した。

 

(月刊「ガバナンス」2023年5月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●「地域の医療と介護を守る条例」を制定

 埼玉県ふじみ野市(11万4300人)は、将来にわたって市民が安心して地域で医療と介護を受けることができる体制を確保するため、「ふじみ野市地域の医療と介護を守る条例」を制定し、4月1日から施行した。
 条例は「地域の医療及び介護を守り、良好な地域の医療及び介護の体制の下での市民の生活の向上を推進するための基本理念並びに市、市民、医療機関及び介護事業者が果たすべき責務について定めることにより、市民が住み慣れた地域で安心して暮らすための基盤である地域の医療及び介護を享受できる体制を確保すること」を目的としたもの(第1条)。
 条例制定の背景には、昨年、同市内で在宅医療に従事する医師等7人が患者家族に発砲され、医師が死亡、同行者2人が重軽症を負った事件がある。
 医療・介護現場での利用者や家族による暴力・ハラスメントの実態が浮き彫りになったことから、市では医師会や介護事業者等との意見交換や、現状把握と対応策などを検討。医療・介護現場での暴力・ハラスメント対策の発展・継続のため、また、市民への啓発を強化するため、同条例を制定した。
 市は、「県と連携して、市民に対して良質かつ適切な医療及び介護が提供される体制を確保するため、地域の医療及び介護を守り育てるための施策を推進する責務を有」し(第3条)、市民は、医療・介護の担い手が「市民の生命、健康及び生活に欠かせないことを理解し、 医療及び介護の担い手が安心して従事できよう、信頼関係の構築に努め」「自らの健康の維持増進及び介護予防並びに適切な医療及び介護の利用に努めなければならない」(第4条)とそれぞれの責務を明記した。
 市では安心して医療・介護サービスを受けることができる量的、質的に満たされた提供体制の確保に取り組む。
(月刊「ガバナンス」2023年5月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●GX推進の一環としてブルーボンドの発行を計画

 岩手県(120万6500人)は、県内のGX(グリーントランスフォーメーション)推進の一環として、23年度に「グリーンボンド」の発行を予定しており、その一部を「ブルーボンド」として発行することを目指している。
 グリーンボンドは、資金の使途を環境問題の解決に資する事業にあらかじめ特定して発行する債券で、外部機関による認証を取得した上で県単独で発行。県内施設の照明のLED化や省エネ化、大気汚染監視設備や林道・自然公園等の整備、気候変動対応事業などへの充当を予定している。
 ブルーボンドは、グリーンボンド対象事業のうち水産業や水資源の保全に資する海洋と沿岸の保全強化や汚染のない水資源の増加を図る事業に充当し、特に東日本大震災津波で被災した三陸海岸における海洋と沿岸の保全強化等に資する事業などを推進していく。
 グリーンボンドは50億円の発行を予定しており、このうち10〜20億円程度をブルーボンドとして発行する。償還年限は5年で満期一括償還。コンペで選定した外部評価機関の㈱日本格付研究所の評価を受けて認証を取得する。ブルーボンドの単独発行は全国自治体初となる。
(月刊「ガバナンス」2023年5月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●ご当地版SDGs学習ゲームを作成

 千葉県市原市(27万1700人)は、ご当地版SDGs学習ゲーム「いちはら版 Get The Point」を作成し、23年2月に完成披露会・ゲーム体験会を開催した。同市は、21年5月にSDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の選定を受けており、SDGs達成に向けて、さまざまな取組みを展開。「いちはら版Get The Point」の作成もその一環だ。市は、このゲームを通じて小学生から大人まで幅広い世代の人々にSDGsの必要性や可能性を学んでもらう機会を提供することで、活動の裾野を広げるとともに、SDGsのシンボルとなるまちを目指している。
 作成に当たっては、高校生4人、大学生2人、若者1人、市原青年会議所1人、市教育委員会1人(小・中学校教諭各1人)の10人からなるプロジェクトチームを立ち上げ、内容の検討を行った。
 完成した「いちはら版 Get The Point」は、小学生から大人までが楽しみながらSDGsについて学ぶことができるボードゲームで、22年度に1000セットを制作。市内の小・中学校、高校、大学に配布するとともに、ゲームの効果を最大限に引き出すファシリテーターを養成し、市内全域へSDGsの輪を広げていく。
(月刊「ガバナンス」2023年5月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

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