連載 vol.66「つながる」力 意識「他界」系のススメ 【坂井孝行(新潟市職員)】
地方自治
2023.04.25
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2019年9月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
年度末が近づくと地方公務員のSNS界隈では人事異動に関する投稿が増えてくる。そこでは、異動についての挨拶はもちろん、異動先へのポジティブ、ネガティブいろんな感情が入り混じった、各々の想いが伝わる投稿がされている。しかし、そんな自分ではどうにもならないことを過度に気にするよりも、意識「他界」系となることをおすすめする。
「他界」といっても縁起の悪い話ではなく、ここでの「他界」は、所属組織とは異なるアナザーワールド、アナザースカイを指すものである。
「他界」の活動は、他に希望する配属先があったとして、いざ配属された時のために知識習得しておくことでも、全く仕事と一線を画した分野の活動でも自由である。
他人(人事)次第になってしまう所属組織のキャリアに固執せず、組織とは別に自分主導でキャリア形成を行うことができる。
ちなみに、私の「他界」活動は、今年で10年目となる「学生研究」である。早稲田大学社会連携研究所の研究員となり、特に東京の学生を対象としている。学生の行動や発言の傾向の分析から、次の社会(いわゆる未来の)課題やニーズが私には薄っすらと見えてくる。自分で発見した楽しい活動である(他にもNPO活動等に参加しており「多界」系でもある)。
多様化かつ複雑化してきた社会課題を解決するには、様々な主体との連携、協働は不可欠となっている。「他界」でのキャリアや様々な人との出会いやつながりは、尊い気づきや学びがたくさんある。きっと本業である所属組織の活動に大きな貢献をしてくれるはずだ。
しかしながら、組織からの評価を求めない意識「他界」系の活動は、誰もほめてくれない。
そこで、私はそんな「他界」系の活動をしている人にステッカー配布キャンペーンというユルい応援をしている。冗談半分ではじめたが、これが意外と好評で、受け取ったみなさんが笑顔になる。このステッカーのおかげで産学官通じて全国に多くの友人・知人ができた。いつの間にか「他界」の「閣下」と言われている(笑)。
(新潟市職員/坂井孝行)