事例紹介▶︎香川県 「マイナンバーカードの使い道」を全国から募集 〜マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022を実施して〜

地方自治

2023.04.21

この資料は、地方公共団体情報システム機構発行「月刊J-LIS」2023年3月号に掲載された記事を使用しております。
なお、使用に当たっては、地方公共団体情報システム機構の承諾のもと使用しております。

事例紹介▶︎香川県 「マイナンバーカードの使い道」を全国から募集〜マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022を実施して〜
(特集 初めてのマイナンバー業務2023)

香川県政策部デジタル戦略総室デジタル戦略課主任
関守侑希

月刊「J-LIS」2023年3月号

1 はじめに

 マイナンバーカードの全国の申請件数は2023年2月12日時点で、8,661万6,800件を超え、人口に対する申請件数率は68.8%になりました(デジタル庁政策データダッシュボードより)。申請件数では運転免許証の保有者を超えていることになります。

 一方で、マイナンバーカードが持つ本人確認・認証機能を、デジタル社会の基盤として徹底的に利活用していくためには、さらなる交付の促進に加えて、その用途の充実により、住民の方が日常生活で利用できて、利便性を感じられるサービスが必要です。

 このような状況の中、香川県では、県を含めた県内全市町を主催者として、マイナンバーカードについて、民間ビジネスの様々な局面での利用を進めるため、「マイナンバーカードの使い道」をテーマに、全国から幅広いサービスの提案を募集する「マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022ーマイナンバーカード利活用アクセラレーションプログラムー」(以下「コンテスト」という。)を開催しました。特徴として、提案された優秀なサービスについては、地方公共団体における実証実験の実施やサービスの実現に向けて進めていくこととしました。

 マイナンバーカードをテーマとした、全国的にも珍しい今回の取り組みについてご紹介させていただくことで、マイナンバーカードの利活用に向けて取り組む皆様方のご参考になれば幸いです。

2 かがわDX Labとは

 本コンテストは、県、県内全市町、民間事業者等が集い、学び、交わり、共創する新たなコミュニティである「かがわDX Lab」1)の取り組みの一環として開催しました。

1)かがわDX Labホームページ
https://kagawadxlab.pref.kagawa.lg.jp

 香川県は、日本で一番コンパクトな県土の中で、都市の部分と田舎の部分、多くの島々が共存し、様々な経済活動が集中しています。「かがわDX Lab」は、この強みを生かし、県内を一つの生活圏とした、住民起点によるデジタル社会を形成するため、県、県内全市町、民間事業者等が共創・創発するコミュニティとして創設し、2022年4月から活動しています。

 「人が輝く かがわのあしたを デザインする〜オープンにフラットにつながる、ここからみんなで挑戦する〜」を基本理念に掲げ、八つの項目を行動憲章として(表-1)、これまで、香川県と県内全市町が週に2回程度、最先端のデジタル技術の情報共有、地域課題の抽出、データ利活用研修、各地方公共団体における意見交換、部署横断型事業の検討などを重ねてきました(活動内容はnote2)で公開中)。

2)かがわDX Lab note
https://note.com/kagawadxlab

表-1 かがわDX Lab基本理念・行動憲章

 2023年3月には、「かがわDX Lab」参加者のイノベーションスペースやサテライトオフィスなどを兼ね備える拠点施設(香川県高松市サンポート)が完成します。

 今後は、その拠点施設を中心に、県及び県内全市町に民間事業者等が加わり、デジタルによる地域課題の解決を通じたWell-Beingなまちづくりに取り組みます。

 また、まちづくりを通じて、住民(ユーザー)に寄り添ったサービスデザインのあり方について、官民双方が学べる場の提供をしていきます。

 加えて、フィールドワークによる地域課題の抽出の過程において、事業者や住民との対話⇒課題解決に向けた実証⇒実装のサイクルの中で、官と民がともに提供サービスの質を高めることを目的とした活動を行っていきます。

 現在、「かがわDX Lab」において、県及び県内全市町と一緒に、「DXによるまちづくり」と「住民のWell-Beingの実現」に向けた新しいサービスをともに考え、ともに創り、ともに地域のDXを推進していただける会員を募集しています。

3 マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022の概要

 本コンテストは、マイナンバーカードを活用した利用価値の高いサービスを実現することにより、住民の方に利便性を感じていただけるサービスを生み出すことに加えて、それによりマイナンバーカードの取得がさらに進むことを目指して企画しました。

 企画にあたっては、行政職員のみで検討するのではなく、香川県CDO補佐官(民間人材)やマイナンバーカード利活用に精通した有識者にアドバイザーをお願いし、アドバイスをいただきながら、検討を行いました。

 コンテストの目的が、「マイナンバーカード利活用のアイデアを募集すること」ではなく、「サービスの実現を目指すこと」であるため、サービス実現にかかる支援を企業に協賛いただいたり、総務省やデジタル庁などに後援いただくことによって、サービス実現に向けた体制を整えました。

 ちなみに、コンテストのタイトルである「マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022」は「マイナちゃん」と「チャンピオンシップ」の造語と開催地、年号の組み合わせにより決定しました。「マイナちゃんピオンシップ・〇〇〇20XX」と次回以降の開催につながってほしいという想いがこめられています。

(1)募集内容
コンテストは、次のような募集内容で開催しました。

「マイナンバーカードの使い道」をテーマとして、マイナンバーカードの下記のいずれかの機能を活用したサービスの募集。
①電子証明書の利用
②基本4情報(氏名・住所・生年月日・性別)の入力支援
③カードICチップの空き領域の活用

 行政では思いつかないような幅広い提案を募集するために、分野は絞らずに募集を行ったところ、Web3、NFT、地域通貨、医療、教育、ふるさと納税、健康福祉など様々な分野の提案がありました。

(2)特色
 書類選考を通過した提案については、メンタリングを通じてサービスのブラッシュアップを図りました。また、提案された優秀なサービスについては、地方公共団体における実証実験の実施やサービスの実現に向けて進めていくこととしました。

(3)スケジュール
 本コンテストは、表-2に掲げたとおりのスケジュールで進行しました。

表-2 本コンテストのスケジュール

3)オープニングイベントの様子(YouTube)
https://youtu.be/dpEMlho5oUU

4)ファイナリスト最終プレゼンテーション大会の様子(YouTube)
https://youtu.be/hKM4LwJlGrk

4 マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022の開催結果

 コンテストには24件の提案があり、書類選考、メンタリング、地方公共団体との意見交換、二次選考を経て、ファイナリスト6者を選定し、ファイナリストによる最終プレゼンテーション大会を実施しました(表-3、写真)

表-3 最終プレゼンテーションで提案されたサービスの名称・内容
写真 プレゼンテーション大会の様子


 プレゼンテーション大会では、最優秀賞及び優秀賞の決定に加えて、ファイナリストと提案されたサービスを実現することに向けて協議を開始することを希望する県及び市町とのマッチングを行いました。現在、サービスが実現できるように、実証実験の検討などの協議を行っているところです。

 今回の取り組みは、第1回として香川県で実施しましたが、マイナンバーカードの利用シーンの拡大は全国的な課題ですので、第2回以降の開催は、全国の地方公共団体にもご検討いただければと考えています。

5 今後の展望

 マイナンバーカード利活用については、住民の目線で「こんなことができたらいいな」「こんなことに使えると便利だな」を実現していくことが必要だと考えています。そのために、地方公共団体としては、住民の方のニーズを丁寧に拾いあげること、民間の方が持っているマイナンバーカードに対するアイデアや知見をともに実現できるよう取り組むこと、実証のためのフィールドを準備することなどが必要だと思います。

 香川県では、「かがわDX Lab」を中心として、引き続きマイナンバーカードの利活用に向けたこれらの取り組みを進めていきます。また、マイナちゃんピオンシップ・かがわ2022のファイナリストの提案については、サービスの実現に向けて、実証実験等を進めていくことにしています。

 取り組み状況については、かがわDX Labのホームページやnoteでお知らせしていきますので、ぜひご覧いただければと思います。また、ご興味があるサービスがありましたら、お気軽にご連絡ください。

 

 

Profile
関守侑希 せきもり・ゆうき

2011年に香川県庁入庁。2014年・子育て支援課(現、子ども家庭課)、2017年・瀬戸内国際芸術祭推進課を経て、2021年から現職。「かがわデジタル化推進戦略」の進行管理、「かがわDX Lab」の運営、先端技術、マイナンバーカードの利用促進などを担当。

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