連載 vol.62「つながる」力 まだ見ぬ誰かのつながりをつくれるように 【平塚久美子(松江市職員)】
地方自治
2023.03.27
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2019年5月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
私はこれまで、新たな出会いとか変化、刺激、挑戦……といった類のものに、割と淡泊だった。例えばお酒を飲むなら、勝手知った昔からの友人や、同じ職場の仲間と飲む方が断然心地いい。逆に、自己紹介から始めるような飲み会は、面倒だとすら感じていたように思う。
変化のない毎日をむしろ好んでいた自分が、ここ数年で変わってきた。特に転機であったと感じるのは2年前。現在の配属課への異動である。
職員研修担当となったのだが、顔を合わせる職員の数がこれまでとは比べものにならないほど増えた。多くの職員を対象に研修メニューを提供することから、事務局の運営、講師へのアプローチ、受講する職員が置かれている立場やモチベーションなどの違いで、受講者の得るものはそれぞれ異なるのだと知ることになる。
関わる人が増えたことで、自分の知らない考え方に気づける機会が増えた。
この気づきを、現在の職場では、日頃からその都度共有できる環境がある。そこで、自分の思いを言葉にするために、劇的に「思考」する時間が増えた。これまでの私は、おそらく思考することから逃げていたのではないかと思う。思考することは、変化を生む。そして変化を楽しむことが、仕事を楽しむことにつながるのだと感じるようになった。
公務員を目指す学生を対象とした就職説明会に参加する機会も数多くある。その中で「就職するまでの学生の間に何をすべきですか」と聞かれることがある。具体的なアドバイスを望んでいる学生には物足りないのかもしれないが、私は、「なるべくたくさんの人と絡むと良いよ」と答えている。これは、「関わる人の多さが仕事を楽しめる要素の一つであるから」と実感を込めて伝えることができている。
多くの人とのつながりから得た経験は、自分がつながりたい誰かに伝えたい言葉へと姿を変えている。今後は、さらに仕事を楽しみながら、まだ見ぬ誰かのつながりをつくれるようになりたい。
(松江市職員/平塚久美子)