東西南北デジデジ日記 vol.36 今週の担当:【南】今村寛

NEW地方自治

2022.06.23

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。街もコロナ前の人出に戻りつつあります。コロナで停滞した交流への渇望感も感じる今こそ考えたいこととは。

―――――2022年6月23日 Thu.―――――――

 

みんなに会いに行きます

コロナ感染拡大が収まったのか、それとも人々がこの状態に慣れたのか、だんだんと日常が戻ってきましたね。

以前と同じというわけではないですが、移動を避け、人と会うことを避け、可能な限りひきこもることを推奨するというような息苦しさからは少し解放されてきたように思います。

おかげさまで私のライフワークでもある「出張財政出前講座」も2年ぶりに再開することができ、先日、久しぶりに大人数の前でのリアル独演会を催すことができました。

聴衆の反応を肌で感じ、こちらの息遣いも伝わる距離であれば、言葉だけでなくそこに込めた熱量も伝わります。
直接会って話せるって本当にいいですね。
今後は全国各地に私のステージをお届けする日常が戻ってきそうな気配です。

 

会えないつらさ、会えることの喜び

コロナ禍は私たちにあることを気づかせてくれました。
それは、直接会えないことのつらさ、そして直接会えることの喜びです。

今までは、会いたい人がいれば会える場所に互いに出向いて言葉を交わし、時にはおいしい食事を楽しみながら酒を酌み交わす、そんなコミュニケーションが当たり前でしたが、それが禁じられ、控えられ、疎まれるという期間が2年も続き、私たちはすっかり人と会わないことに慣れ、会うことに臆病になってしまいました。

しかし、いざ感染状況が落ち着き、そろそろいろんなことを解禁してもいいんじゃないかという雰囲気になってくると、2年間ためていた「会いたい」という気持ちが抑えきれず、雪崩を打ったように「今度会おう」「いつ会おう」の大合唱。

いくらオンラインで遠隔地といつでもつながる便利を手に入れたとしても、それが直接会うことには叶わないのは、私たちが直接会うことでしか感じることができない互いのぬくもり、温かみを求める“生き物”の部分を持ち合わせていて、そのことがコミュニケーションの底流にある心理的安全性の確保や情報共有、意思疎通のメカニズムに大きく影響しているということなのでしょうね。

 

会わなくても済ませられる時代

とはいえ、この2年で私たちの生活は激変しました。
オンライン会議やテレワークが日常化、夜間や休日のオンライン飲み会も当たり前になりましたし、通販、食事のデリバリーも利用者が増えました。
セミナー、イベントは直接出向かずともオンラインでの視聴が可能なものが増え、自分の好きなタイミングにオンデマンドで楽しめるようになりました。
我が家でも、ハワイに移住してしまったフラダンスの先生のレッスンを、IT音痴の妻がスマホ片手に自宅で受講する風景が当たり前になっています。

今や、ITに詳しいかどうかにかかわらず、多くの人が直接会わずに、その場に出向かずに用件を済ませることで余計な労力を省き、距離やスケジュールの制約から解放されて自分の好きなことを楽しむ自由を手にすることになりました。
コロナ前には少し先の未来と思われていたことが現実となっているのです。

 

直接会うことの意味

このような変化の中で改めて問われるのは「直接会うことの意味」。

会議を開催しようとすれば「これ、わざわざ集まる必要あるの?」との疑問が提起され、
窓口で手続きを行うようお願いすると「どうしてwebでできないの?」との不満が示される時代にあっては、
これまで当たり前だった直接対面でのやりとりを是とするにはそれなりの理由が必要になっています

また一方で、これまで行政サービスの電子化、情報化を進めようとした際によく提起されていた「使えない人はどうするんだ」という問題も転機を迎えました。

ほとんどの人がスマホを持ちweb上の各種民間サービスを使いこなす現状では、ITリテラシーの少数派と多数派が完全に逆転し、「使える人も窓口に来ないといけないのか」という苦言への説明責任を果たせなくなっています。

そろそろ役所も重い腰を上げる時期だというわけです。

 

わざわざ足を運ばせるのならば

このような背景の中で自治体DX時代なるものが到来しているわけですが、何もかもデジタルで、ということでもなく、また、いつまでも直接対面主義という昭和のレガシーを後生大事に守り続けることもでもありません。

要は、直接対面が必要な人には直接対面のサービスを維持しつつ、そうでない人に対しては可能な限りweb上で簡便に完結するということに尽きます。

そして、この場合に直接対面が必要だと判断するのは役所ではなく、市民が自分の時間と労力を費やしてでも直接役所で手ほどきを受けたい、親身になって相談に乗ってほしい、直接会って自分の気持ちを伝えたいという、人のぬくもり、温かみを求める気持ちに寄り添い、これに相応しい対応を実現するということなのだと思います。

逆に言えば、直接対面ならではの価値が提供できないのであればわざわざ役所に足を運ばせてはならない、という時代が到来したということ。

窓口に立つ身にはそのくらい厳しい緊張感を持つことが求められるということですね。

 

DXがもたらす真の変革とは

私の財政出前講座もオンラインでの開催を要請されることがあり、コロナ禍の中、この2年間で何度かやりましたが、やはり私の講座には直接対面でないと伝えることができない何かがあるようで、多くの皆さんは、私と直接対面ができる日の到来を待ち望んでくれていました。

この度、ようやくその日が来たわけですが、その期待に応えるだけの価値を提供できなければ皆さんをがっかりさせてしまう、そんなわけにはいかないという緊張感が、これから全国ツアーに旅立とうという私のモチベーションの源泉です。

役所の窓口に立つ公務員諸氏も、
「市民が直接会いに来てくれたのだからその時間と労力に見合うだけの価値を提供しなければ」
という緊張感を持って業務に当たりましょう。

DXでもたらされる真の変革は、技術革新による利便性の向上のみを指すのではなく、そもそもサービスとはどうあるべきかという、私たち公務員の意識変革のことなのです。デジデジ。

 

★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/

★そのほか、自治体財政の話、対話の話など、日々の雑感をブログに書き留めています。
https://note.com/yumifumi69/

 

~次回の日記は6月30日(木)に更新予定です!~

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千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

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