連載 vol.39「つながる」力 社会全体に関わる公務員だからこそ、つながりの活かし方が大切 【福冨真子(高知市職員〈「(公財)こうち男女共同参画社会づくり財団」出向中〉)】
地方自治
2022.06.06
本記事は、月刊『ガバナンス』2017年6月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
人との出会いは、自分の中の偏見や思い込みに気づく機会
高知県の男女共同参画センターの指定管理を受けている財団に派遣されて3年目。講座の企画や情報誌の取材などで、大学生やNPO、起業家など多様な立場の人と接する機会が増え、今まで市職員としての仕事では経験したことのない楽しさを感じている。
人との出会いは、自分の中の偏見や思い込みに気づく機会となる。例えば、半数近くの女性が育児を理由に仕事を辞める現状。数値としては知っていたが、どこかで「育休を取ればいいのに」と考えている自分がいた。しかし、実際に結婚や出産で女性が辞めていくのが当たり前の職場で育児と仕事の両立で悩む女性と出会い、働き続けられない現実があることが初めてストンと理解できた。育休を取り、働き続けることは当たり前という価値観は、市役所という組織の枠組みでしか社会を理解していなかった自分の思い込みという現実を突き付けられた。
こうした出会いの中での衝撃は、どこか他人事であった男女共同参画を自分事に変化させ、本気で取り組みたいという想いを生み出した。やらなければいけないと考えていた仕事が自分の想いと重なることで、やりたい仕事に変わった。
これまでの私は、自分がどんな活動をしたいのか、何ができるのかを人に伝えるのが苦手だった。しかし、やりたいという想いが芽生えたときから、自分から出会いを求め、職場外の人に会う機会をつくるようになった。自分が主体的に動くことで、「こんなことを一緒にやりましょう」と声がかかることも増え、大学と連携した講演会などにもつながり始めている。また個人的にも親睦会(=ただの飲み会)に誘われたり、イベントへの協力を頼まれたりする機会も増えている。
次の4月には市役所に戻る予定だ。公務員の仕事は社会全体に関わることができる。センターの仕事の中で生まれたつながりを次の仕事やプライベートにどうつなげて活かしていこうか。そこから、どんな新たなつながりが生まれるのだろう。今、そのことを考え、ワクワクしている。
(高知市職員〈「(公財)こうち男女共同参画社会づくり財団」出向中〉/福冨真子)