【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 vol.24 今週の担当:【南】今村寛

地方自治

2022.03.24

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。慌ただしい世界情勢のなか、予測不能な未来はないと切り出す【南】の今村さんです。

―――――2022年3月24日 Thu.―――――――

 

タイムマシンがほしい

連載が始まって24週目。4人で回す交換日記はおおむねツキイチで当番が回ってきますが、早いものでもう半年が経とうとしています。

この原稿がweb上に公表されるのは3月下旬ですが、春は別れと出会いの季節。そのころ自分がどんな景色をみているのかわからずに、少々不安定な心境でこの原稿を書いています。(この原稿を書いている2022年3月18日時点では福岡市では人事異動の内示は行われていません。)

未来のことがわかれば、あるいは未来の自分が過去にさかのぼって今の自分に未来を教えてくれることができたら。
DXよりもタイムマシンの早期導入を強く求めるものであります。

 

想像もつかない未来?

北京オリンピックが終わり、コロナ禍も第6波をやり過ごせた感が出てきた今、報道はウクライナ一色です。
国際情勢に疎くて申し訳ないのですが、前回の原稿を書いていた1か月前には想像もできなかった戦争が東欧で勃発し、全世界が固唾を飲んでその動向を見守っています。

ソビエト連邦の崩壊と東西冷戦終結から30年が経ったというのに未だにその火種は残り、世界戦争へと拡大するリスクをはらんでいたのだということを、連日の報道でその筋の専門家たちが語るのを見聞きして改めて理解しましたが、それも1か月前の自分は知らないこと。

この専門家たちはきっとこうなることを予測できていたのだろうと思いながら、どうしてそのことを我々に教えてくれなかったのか、知っていればこの戦争を止める何らかの手立てを講じることができたのではないか、などと自分たちの無力さを嘆きたくなる日々です。

 

予測不能な未来はない

一昨日(2022年3月16日)の深夜、福島県沖を震源とする大きな地震が発生しました。

宮城県と福島県では東日本大震災を想起させるような震度6強の揺れを観測し、東北地方を中心に広い範囲で被害が生じていますが、これだけ大きなものでもその予兆を察知することは難しいのだなということを改めて思いました。

しかし、私たち人類は常に未来を知ろうと考え、過去から現在までの経験を基にその法則性を研究し、未来の予兆を察知しようとしてきたところです。

地震や火山噴火に関する予知はまだ途上ですが、科学技術の進歩により気象の予測はかなり正確にできるようになりましたし、地球の気候変動や人口動態、世界の各地域の経済活動などから、将来の食糧やエネルギーの需給についても詳細な推計が行われています。

世界の経済についても、不確定な要素はあるにせよ専門家たちの間では一定の予測が成立しており、その予測に基づいてグローバル企業の経営戦略が立てられ、中長期的な視野での投資や日々の取引が行われています。

国際政治情勢もきっと同じように専門家たちが予測を立てていたオプションの一つが今回のウクライナ情勢であり、全くその予兆もなく予測もつかないことではなかったということなのです。

 

未来を創るために未来を知る

翻って、私たちの自治体の未来はどうでしょう。

「ドラえもんがつくる未来はありません。
  我々がドラえもんをつくり、未来を作り出すのです。」

この金言(【西】多田さんvol.14より)が示すとおり、我々の未来は我々が創るのですが、何も前提条件がないところで万物の創造主として自由自在に未来を創造することができるわけではありません。

自治体の未来を左右する環境変化には様々なものがあります。

少子高齢化や人口減少、公共施設の老朽化や陳腐化は言うに及ばず、近年のICT技術の進歩普及による各種サービスの利便向上はこのコロナ禍でさらに拍車がかかり、ついに国がデジタル技術による社会革新の舵を切るに至りました。

技術革新は日進月歩ですが、海外や民間企業のチャレンジが先行する中でその方向性やロードマップはすでに可視化されています。

こういった前提条件の中で未来を創るわけですから、その前提条件について知り、私たちを取り巻く未来の環境変化に合わせて自治体の未来を創造していけばよいのです。

 

みんなで未来を見に行こう

未来がどんなふうになっているか、見ることができれば一目瞭然ですが、タイムマシンそのものはまだ実用化されておらず、私たちは未来を見に行くタイムマシンに乗ることはできません。

しかし、未来を構成する諸条件のそれぞれについて一定の予測を立てることができる専門家は数多くいて、その未来予測はかなりの確度ですから、それらを集めて重ね合わせ、未来の姿として眺めることは可能です。

巨大な人口を抱える大都市の未来と小さな町や村の未来は違いますし、その自治体の持つ地政学的特性や歴史、産業、文化などによっても異なります。
専門家によるいろいろな未来予測が錯綜する中で、そういった情報に疎い市民にもわかりやすく、目指す山の頂上をクリアにイメージできるようシンプルに情報を整理することが求められます。

この情報整理と、そこに至る手順、戦術、計画の立案、そして実現に向けた旗振り役を担うのが、各自治体のデジタル○○課、DX推進担当というわけです。

未来がどんなにワクワクするものか、不安はないのか、誰がどんな手順で進めていくのかをみんなで考えるためにも、まずはその未来をみんなで見に行くことが必要ですね。

千葉さん、多田さん、山形さんにはどんな未来が見えているのかなあ。
ワクワクするけど、不安はないのかなあ。

あ、また3人の伏線回収に走ってしまった(笑)。
次回は自分からネタをブッ込みますので、皆さんスルーしないでね。デジデジ!

 

★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/

★そのほか、自治体財政の話、対話の話など、日々の雑感をブログに書き留めています。
https://note.com/yumifumi69/

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