連載 vol.11「つながる」力 高校生とオトナが「ゆるっと」つなげる元気な地域づくり 【大槻拓美(長野・伊那市職員)】
地方自治
2021.08.16
本記事は、月刊『ガバナンス』2015年2月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
高校生とオトナが「ゆるっと」つなげる元気な地域づくり
2013年8月、高校生と大学生・社会人(オトナ)による年代や立場を超えたオールフラットの地域づくりサークル「ゆるっと赤シャツワークショップ(通称:ゆる赤)」が誕生した。きっかけは伊那市役所が主催した「JR飯田線利活用検討ワークショップ」に参加した高校生の「色んな人と集まって活動がしたい」という一言。「よし、じゃあやるか!」と自主的に集まった高校生とオトナ、10人ほどで結成した。
それから約1年半、50回を超えるミーティング、駅周辺の美化活動、まちの文化祭への参加、JR飯田線イベント列車公募への「伊那谷アドベンチャートレイン」企画採用と運営、長野県の地域発元気づくり支援金事業に採択された「全国高校生合宿」といった地域を舞台にしたチャレンジと成功を少しずつ積み上げている。その中でメンバーも少しずつ増え、現在は約40人で活動している。
この「ゆる赤」の特徴は、オトナが高校生に知識や地域のことを教えることでも、高校生のアイディアをオトナが実現することでもない。高校生もオトナも自由に意見を交わし、カネがなくてもアイディアをどう実現するのか、手探りと手づくりで行うことである。結論や成果を求めない「ゆるいつながり」によって、地域という舞台を全力で楽しみ、結果的に関わる人や地域住民が元気になる──それが「ゆる赤」の目的である。
私はこの活動を通して高校生・オトナを問わず、魅力的かつ多彩な人たちとつながることができた。そして、そのつながりは次の世代へ「つなげる」ことにシフトしている。
「ゆる赤」の立ち上げに関わった高校生は進学等で卒業後は一時、故郷を離れることとなるが、彼らは「後輩たち=次の世代」へつなげてくれた。そして彼らは「今度はオトナ側で参加する」と、つなげる意思を見せてくれている。こうした「つながる力、つなげる力」の連鎖は地域の大きな財産になるだろう。そんな想いを胸に、私は高校生たちと無邪気になって地域について語り合う。
(長野・伊那市職員/大槻拓美)