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最新法律ウオッチング―過疎地域持続的発展支援法(2021年4月1日施行)

NEW自治体法務

2021.08.13

最新法律ウオッチング 第111回 過疎地域持続的発展支援法
『月刊 地方財務』2021年5月号

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法

 2021年の通常国会において過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法が成立した。

 過疎対策については、1970年の過疎地域対策緊急措置法の制定以来、4次にわたる過疎対策法がそれぞれ超党派の議員立法として制定され、直近の過疎地域自立促進特別措置法は、2021年3月末で有効期限が経過することとなった。

 これまでの間、総合的、計画的な過疎対策が積極的に推進され、過疎地域の産業の振興、公共施設の整備、情報通信環境の確保等の取組が進められてきたが、過疎地域においては、人口の減少、少子高齢化の進展など、他の地域と比較して厳しい社会経済情勢が長期にわたり継続しており、地域社会を担う人材の確保、地域経済の活性化、交通の機能の確保・向上等が喫緊の課題となっている。

 一方で、過疎地域は、食料等の安定的な供給、自然災害の発生の防止、自然環境の保全等の多面にわたる機能を有し、国民の生活に豊かさと潤いを与え、国土の多様性を支える重要な役割を担っている。また、近年は、東京圏への人口の過度の集中によって、大規模な災害や感染症等による危険の増大等の問題が深刻化しており、過疎地域の担うべき役割は一層重要なものとなっている。

 そのため、近年における過疎地域への移住者の増加、情報通信技術を利用した働き方への取組といった過疎地域の課題の解決に資する動きを加速させ、これらの地域の自立に向けて、過疎地域における持続可能な地域社会の形成や地域資源等を活用した地域活力の更なる向上が実現するよう、全力を挙げて取り組むことが極めて重要である。

 このような見地から、人口の著しい減少等に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能や生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について、総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の持続的発展を支援し、もって人材の確保・育成、雇用機会の拡充、住民福祉の向上、地域格差の是正、美しく風格ある国土の形成に寄与するため、新たな過疎対策法案が衆議院の議員立法として提出され、成立した。

過疎地域持続的発展支援法

●過疎地域の要件等

 過疎地域の要件については、人口要件に係る基準年の見直しを行い、1975年からの40年間の人口減少率が一定以上等であり、かつ、2019年度までの3か年度の財政力指数の平均が市町村平均の財政力指数である0.51以下であること等の要件を満たす市町村の区域を過疎地域とし、総務大臣・農林水産大臣・国土交通大臣は、当該市町村を公示するものとした。

 また、2020年の国勢調査と2025年に実施される見込みの国勢調査において、それぞれ人口の年齢別構成が公表された場合には、一定の要件を満たすこととなる市町村の区域について、過疎地域として追加していくこととした。

 1999年度から2020年度までに合併した合併市町村であって、2019年度までの3か年度の財政力指数の平均が市平均の財政力指数である0.64以下であること等の要件を満たすものについては、合併前の旧市町村の区域のうち、人口減少率が一定以上等である区域を一部過疎地域として、この法律の規定を適用することとした。

●過疎地域持続的発展計画

 市町村と都道府県は、都道府県が国と協議して定める過疎地域持続的発展方針に基づき、それぞれ過疎地域持続的発展計画を策定することができることとした。

●国庫補助負担率のかさ上げ等

 過疎地域の持続的発展を支援するため、国庫補助負担率のかさ上げ、過疎対策事業債の発行、基幹的な市町村道の都道府県による代行整備事業等の措置を引き続き講じるほか、市町村からの提案を受けた規制の見直しの配慮など、配慮措置を充実することとした。

●施行期日等

 この法律は、2021年4月1日から施行し、2031年3月31日限りでその効力を失うこととした。

国会論議

 国会では、新法が適用される市町村数について質問があり、政府から、過疎関係の市町村数は、従来は817団体だが、新法では820団体(全市町村のうち47.7%)となる見込みとの説明がされた。

 また、過疎地域の要件について、人口要件に係る基準年を1975年に変更する理由について質問があり、法案提出者から、従来は地方圏からの人口流出がピークであった1960年を基準年として用いてきたが、既に60年を経過しており、今後の過疎対策を見据えて、人口流出が一旦収束した1975年に見直すが、激変緩和措置として、過疎対策事業に取り組んできた従来の過疎地域については、基準年として1960年も併用することとしたとの説明がされた。

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