法令概要_公益通報者保護法の一部を改正する法律

地方自治

2021.03.08

6 役員の保護要件等

改正後の法第5条第3項及び第6条

【改正後の法 抜粋】

(不利益取扱いの禁止)

第五条 略

2 略

3 第二条第一項第四号に定める事業者(同号イに掲げる事業者に限る。次条及び第八条第四項において同じ。)は、その職務を行わせ、又は行わせていた公益通報者が次条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、報酬の減額その他不利益な取扱い(解任を除く。)をしてはならない。
(役員を解任された場合の損害賠償請求)

第六条 役員である公益通報者は、次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として第二条第一項第四号に定める事業者から解任された場合には、当該事業者に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

一 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該役務提供先等に対する公益通報

二 次のいずれかに該当する場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報

イ 調査是正措置(善良な管理者と同一の注意をもって行う、通報対象事実の調査及びその是正のために必要な措置をいう。次号イにおいて同じ。)をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合

ロ 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の財産に対する損害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

三 次のいずれかに該当する場合 その者に対し通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報

イ 調査是正措置をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合

(1) 前二号に定める公益通報をすれば解任、報酬の減額その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合

(2) 第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合

(3) 役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合

ロ 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の財産に対する損害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

 

 公益通報者の範囲に役員が追加されることに伴い、改正後の法第6条各号に掲げる場合に公益通報した役員が事業者に解任された場合はそれに係る損害賠償請求を可能とし、事業者に対しては公益通報した役員の解任を除いた報酬の減額その他不利益な取扱いを禁止することとされました。

7 事業者がとるべき措置

改正後の法第11条、第15条及び第16条

【改正後の法 抜粋】

(事業者がとるべき措置)

第十一条 事業者は、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報を受け、並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(次条において「公益通報対応業務」という。)に従事する者(次条において「公益通報対応業務従事者」という。)を定めなければならない。

2 事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。

3 常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。

4 内閣総理大臣は、第一項及び第二項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。

5 内閣総理大臣は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴かなければならない。

6 内閣総理大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

7 前二項の規定は、指針の変更について準用する。

(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)

第十五条 内閣総理大臣は、第十一条第一項及び第二項(これらの規定を同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。

(公表)

第十六条 内閣総理大臣は、第十一条第一項及び第二項の規定に違反している事業者に対し、前条の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

 

 これまでも消費者庁がガイドラインを策定し、事業者が公益通報に自主的に取り組むことが推奨される事項を具体化・明確化していましたが、事業者において消費者の安全・安心を損なうような不正行為が行われていたにもかかわらず、内部通報がされず、又は内部通報に適切に対応されなかった事案がみられたため、従業者数が300人を超える事業者については義務、300人以下の事業者については努力義務として、次に掲げる措置が求められることとなりました。

・公益通報の受付・調査是正措置に関する業務に従事する者である「公益通報対応業務従事者」(例:コンプライアンス部門等に所属する者や担当役員、通報窓口業務を委託されている弁護士等)を定めること。

・公益通報に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置通報受付窓口設定、社内調査、是正措置、不利益取扱い及び公益通報者に関する情報の漏えいの防止のための措置等)をとること

 また、内閣総理大臣は、事業者がとるべき措置に関して、あらかじめ消費者委員会の意見を聴いた上で、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を策定することが法に定められることとなりました。

 地方公共団体においては、現在も国から示されたガイドライン(消費者庁地方公共団体向けガイドライン(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/overview/#03-03))を基に例規の作成等の対応が行われていることと思われます。

 令和2年8月版の消費者庁『公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)に関するQ&A(改正法Q&A』Q2-1によれば、公益通報対応業務従事者の定め方や体制の整備その他の必要な措置の内容については、国が作成する指針で示されることとなりますので、当該指針を待って事業者がとるべき措置に係る対応を行うこととなるものと思われます。国の動向に十分御留意ください。

【参考】

(出典:令和2年8月版の消費者庁『公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)に関するQ&A(改正法Q&A)』(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_200828_0001.pdf))

8 守秘義務

改正後の法第12条及び第21条

【改正後の法 抜粋】

(公益通報対応業務従事者の義務)

第十二条 公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない。

第五章 罰則

第二十一条 第十二条の規定に違反して同条に規定する事項を漏らした者は、三十万円以下の罰金に処する。

 

 情報漏えいに起因する公益通報者に対する不利益取扱いを未然に防止し、公益通報者が安心して通報する環境を整備する必要があることから、公益通報対応業務従事者である者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならないとする守秘義務に係る規定が追加されました。当該規定に違反した場合は、30万円以下の罰金が科されます。

9 行政機関がとるべき措置

改正後の法第13条

【改正後の法 抜粋】

(行政機関がとるべき措置)

第十三条第十条 公益通報者通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関は、公益通報者から第三条第二号及び第六条第二号に定める公益通報をされた行政機関場合には、必要な調査を行い、当該公益通報に係る通報対象事実があると認めるときは、法令に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

2 通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関(第二条第四項第一号に規定する職員を除く。)は、前項に規定する措置の適切な実施を図るため、第三条第二号及び第六条第二号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。

32 前項の公益通報第一項の公益通報が第二条第三項第一号に掲げる犯罪行為の事実を内容とする場合における当該犯罪の捜査及び公訴については、前項、前二項の規定にかかわらず、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の定めるところによる。

 

 今回の改正により、通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関に対し、行政機関への公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとることが新たに義務付けられました。

 地方公共団体においては、事業者がとるべき措置と同様に、現在も国から示されたガイドライン(消費者庁 地方公共団体向けガイドライン(https:/https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/overview/#03-03))を基に行政機関がとるべき措置について例規の作成等の対応が行われていることと思われます。

 令和2年8月版の消費者庁『公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)に関するQ&A(改正法Q&A)』Q3によれば、体制の整備その他の必要な措置の具体的な内容については、国が作成するガイドラインで示されることとなりますので、当該ガイドラインを待って行政機関がとるべき措置に係る対応を行うこととなるものと思われます。国の動向に十分御留意ください。

【参考】

(出典:令和2年8月版の消費者庁『公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)に関するQ&A(改正法Q&A)』(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_200828_0001.pdf))

<補足:法の条項ずれ>

 改正法により次のとおり法に条項ずれが生じます。

 新しい指針及び地方公共団体向けガイドラインにより具体的な対応を行う際には、改正法による条項ずれについて御留意ください。

 

【改正法による法の条項ずれ】

改正前 改正後
《追加》第5条第3項
《追加》第6条
《追加》第7条
第6条 第8条
《追加》第8条第4項
第7条 第9条
第8条 第10条
第9条 《削る》
  《追加》第11条
  《追加》第12条
第10条第1項 第13条第1項
  《追加》第13条第2項
第10条第2項 第13条第3項
第11条 第14条

 

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