月刊「ガバナンス」特集記事
著者に訊く!『知域』に1歩飛び出そう! ネットワーク活動でひろがる 公務員ライフ/後藤好邦
地方自治
2021.03.08
既刊紹介
「『知域』に1歩飛び出そう! ネットワーク活動でひろがる公務員ライフ」
後藤 好邦/著
(発行年月: 2021年1月/販売価格: 1,870円(税込み)
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「知」に関わる場を自ら発見し、「まずはダイブを」
リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『知域』に1歩飛び出そう! ネットワーク活動でひろがる 公務員ライフ 後藤好邦]
(月刊「ガバナンス」2021年3月号)
東北まちづくりオフサイトミーティング(東北OM)は2019年に発足10周年を迎えた。09年2月の発起人3人の思い付きで始まった活動は同年6月の発足時に28人に、そして10年間で東北OMは1000人を超える規模となった。メンバーは「東北のために何かをしたい」という志高き自治体職員を中心に民間や若者など実に多彩。運営委員として東北OMを引っ張ってきたのが山形市職員の後藤好邦さんだ。本書は、本誌に連載中の「『後藤式』知域に飛び出す公務員ライフ」をベースに、加筆・修正してまとめたもの。ネットワークの意義や有効性、ネットワーク活動の始め方や仕事への活用法、求められる公務員像などを示す。「知域」とは筆者による造語だ。「地域に飛び出せ」と言われても公務員には壁を感じる人も少なくない。そこで後藤さんは「地域」ではなく、まず身近な「知域」から飛び出すことを推奨。「知」に関わる場であれば何でもよく、その判断は一人ひとりに委ねられている。「知」識を学ぶ場、仲間と「知」り合える場、住民の想いを「知」る場││そうした「知」に関わる場を自ら発見し、「まずはダイブを」と呼びかける。「公務員の皆さんも、ぜひ役所の外に飛び出していろいろなつながりをつくってほしい。仕事では得られないような情報や知識、人脈は役所の外に飛び出すことによって得られる。そういう公務員を増やしたい」
後藤さんに本書で最も伝えたいメッセージを尋ねると、このような答えが返ってきた。この10年余りで地域に飛び出す公務員が目立ち始め、公務員の副業の議論も進んできた。「外に飛び出すことが許容される環境が徐々に広がりつつあり、飛び出している人たちがつながり始めているので、飛び出している人が多くなっているように一見見える。でも、その数はまだ、ごくごく一部」と後藤さん。
ネットワーク活動は立ち上げも大事だが、それ以上に継続が難しい。その中にあって東北OMは「続けることの秘訣」を編み出してきた。そのキーワードは、「はじめること」では「まずは少人数で」「身近な目標」「期日を定める」、「続けること」では「『共感』の重要性」「『感謝』と『感動』」「信頼という付加価値」。そして後藤さんは「自分ができて、人がやらない面倒くさいことをする」という。「私は、なんとなく民間よりは自分には向いてるかなと思い公務員になった。でもいろんな仕事の経験や、頑張っている公務員に出会ったり、市民の方から『頑張っている公務員がいるとうれしい』という言葉をかけてもらうようになってから、すごく公務員って魅力的な仕事だと思ったし、公務員(という職業)に対して誇りを持てるようになった」(鉄)