行政大事典
【最新行政大事典】用語集―地方制度調査会
地方自治
2020.05.23
【最新行政大事典】用語集―地方制度調査会
はじめに
『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第1章 行政一般・地方自治」から、「地方制度調査会」を抜粋して、ご紹介したいと思います。
地方制度調査会とは
日本国憲法の基本理念を十分に具現化するように、現行地方制度に全般的な検討を加えることを目的とする地方制度調査会設置法に基づき、内閣総理大臣の諮問に応じ、地方制度に関する重要事項を調査審議するため内閣府に設置されている審議会(地制2)。
委員は、国会議員、地方自治体の議会の議員、地方自治体の長及びその他の職員並びに地方制度に関して学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命するものとされる(地制6)。その数は30人以内とされるが、特別の事項を調査審議するため必要がある時は、臨時委員20人以内を置くことができるとされる(地制3)。委員の任期は2年であるが再任は妨げられない。
昭和28年に第1次調査会が設置されて以来、地方財政対策、地方行政事務の再配分の問題、府県合併などの広域的な行政問題などについて、数多くの答申を行ってきている。
平成に入ってからの主な動きとしては、平成5年の衆参両院による「地方分権の推進に関する決議」を受け、平成6年に第24次調査会は「地方分権の推進に関する答申」「市町村の自主的な合併の推進に関する答申」を出している。また、平成12年の地方分権一括法が施行された年に、第26次地方制度調査会は「地方分権時代の住民自治制度のあり方及び地方税財源の充実確保に関する答申」を発表した。平成の大合併が進められ合併関連3法が成立した平成16年の翌年17年には、第28次調査会が「地方の自主性・自立性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」を出した。さらに、平成18年には第28次調査会が「道州制のあり方に関する答申」も出している。この28次調査会では「広域自治体改革を通じて国と地方双方の政府を再構築し、新しい政府像の確立を目指す」とし、「その具体策としては道州制の導入が適当」と答申した。道州制導入に際しての具体的な区域例も9区域、11区域、13区域の3例を提示している。平成21年には第29次調査会が「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」を出した。
平成23年からは第30次調査会がスタートし、平成23年12月には諮問内容の1つである「議会のあり方を始めとする住民自治のあり方」について「地方自治法改正案に関する意見」が提出され、平成25年6月には「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000403632.pdf)で、道府県から政令市への権限移譲、中核市と特例市の統合などが盛り込まれた。
平成26年からは第31次調査会がスタートした。平成26年5月15日に開催された第1回総会で示された諮問内容は以下のとおりである。
「個性を活かし自立した地方をつくる観点から、人口減少社会に的確に対応する三大都市圏及び地方圏の地方行政体制のあり方、議会制度や監査制度等の地方公共団体のガバナンスのあり方等について、調査審議を求める」。
これを受けて平成28年3月16日に、第31次調査会は「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」を提出した。
平成30年からは第32次地方制度調査会がスタートした。平成30年7月5日に開催された第1回総会で示された諮問内容は以下のとおりである。
「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について、調査審議を求める。」
*『最新行政大事典』2019年7月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 嶋津隆文)
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