連載 vol.59「つながる」力 必然と偶然のつながりを大切に ── 立派な地域人になろう 【谷口安彦(滋賀・湖南市職員)】
地方自治
2023.03.06
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2019年2月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
われわれがこの世の中で平和に暮らせるのはつながりがあってこそである。いかに多くの人と良好なつながりを維持できるかは地域人として大切なことであり、公務員であればなおさら、多くの人とつながることは必然であると考える。
つい先日の昼休み、SNS上で隣県の自治体職員と、とあるニュース記事について議論を交わすことがあった。内容は、住民が転入早々脱退宣言をした自治会から、ごみ集積場を利用するなと言われたことに対して行政が対応すべきといったことであったが、自治体の職員同士、短時間ながらもお互いの思いや意見を交わしあうことができた有意義な時間であった。
さて、このエピソードには二つのつながりが発現している。一つは転入してきた住民が自ら切断したつながりである。私がまちづくり担当をしていた時には似たような相談がよく持ち込まれた。当該住民は近所づきあいなど煩わしいことが嫌だからここに転居してきたという。「自分に都合のいいつながりばかりを選り好みしていては良好な住環境を築けないよ」と言いたいところであるが、窓口ではなかなか言いにくいものである。
もう一つは、私と隣県自治体職員とのつながりである。これは私にとってかけがえのない財産である。私は「一期一会」という言葉を大事にしており、常日頃からいろいろな場所で出会ったいろいろな人々との偶然のつながりを大切にしている。そしてそのつながりを保持するためにSNSを利用している。1年に1回程度しか会わなくても、SNSでつながっていれば久しぶりという感覚はなく、すぐに会話が始まる。実に合理的で理想的なつながりである。毎年参加している「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合サミット」においてもそうであり、これが私の全国の仲間とのつながりの原動力となっている。
自分には何もつながりがないと嘆く皆さん、まず自分の地域の自治会活動など身近なところに飛び出してはいかがだろうか。これこそが立派な地域人への第一歩である。
(滋賀・湖南市職員/谷口安彦)