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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2023 月刊「ガバナンス」2023年10月号

地方自治

2023.10.25

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2023年10月号)

●救急搬送ビッグデータを活用し、熱中症リスク予測データを学校等へ提供

 名古屋市(229万3400人)消防局は、2023年6月から、市内の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、計415校と保育所等に対して、熱中症リスク予測データの提供を開始した。
市は2020年から、名古屋工業大学と連携し、救急搬送ビッグデータと同大学の予測技術との融合による熱中症救急搬送者予測技術の共同研究を実施してきた。2022年には、市内の中学校で熱中症が疑われる救急搬送者が複数発生したケースがあったことなどから、従来救急隊の効果的な運用のために活用していた熱中症救急搬送者予測技術を、今回、熱中症の未然防止のために応用。教育・保育現場に提供することにした。
提供するデータは、園児・児童・生徒それぞれの年代や生活環境、過去の救急搬送データを基にした時期による「暑さなれ」までも加味したうえで、1週間先までの屋外における熱中症リスクを1日単位で0%~100%の数値により示すもの。
子どもたちの屋外活動の方法や中止等を検討する目安として、60%をボーダーラインに設定。ピンポイントかつ直観的な熱中症リスク指標により、熱中症発生の防止や安全対策に役立ててもらう。市によると、こうしたデータの提供は全国初。取組みの推進にあたって市は、名古屋工業大学と連携するほか、中京大学スポーツ科学部の松本孝朗教授の助言も受ける。
市では、熱中症のおそれが高まると予想される日には、市が提供する熱中症リスク予測データを、暑さ指数(WBGT: Wet Bulb Globe Temperature)と同じように、外遊びや体育的な活動、学校行事などの中止や内容変更等の目安として学校等で活用してもらうことで、救急車を要請しなくてはならないほどの熱中症に至ることを未然に防ぎ、子どもたちの健康と安全を守ることを目指している。
(月刊「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●特別職に市民評価連動型給料を導入

 大阪府寝屋川市(22万9200人)は、市長など特別職の給料を市民の評価に連動させて決定する制度を導入した。2019年5月に就任した広瀬慶輔市長は、自らの政治判断に基づき、議会の議決を経て自身の月額給料を30%削減した。連動型給料を導入したのは、2期目となる市政運営に当たり、これまでの市政に対する市民の評価を特別職の給料に連動させて特別職の経営責任を明確にするとともに、市民の市政への関心と納得感を高めることで、結果として適正な給料水準を実現するのがねらい。対象は、市長、副市長2人、教育長の計4人。
具体的には、概ね4年ごとに実施している市民意識調査に市政運営に関する質問項目を設定。4段階(大いに評価する、ある程度評価する、あまり評価しない、全く評価しない)で評価してもらい、評価しない否定評価率が評価する肯定評価率を上回る割合に応じて、30%を上限に月額給料を減額する。一方、肯定評価率が否定評価率と同じか、それ以上の場合は減額しない。今回の市民意識調査は無作為抽出した満18歳以上の3500人を対象に、広瀬市長1期目の市政運営を問う形で8月に実施した。その結果に基づき、10月の月額給料から適用する。
(月刊「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●「着床前検査(PGT-M)」費用を助成

 鳥取県(55万1800人)は、重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前検査(PGT-M)に要する費用を助成している。「願いに寄り添う妊娠・出産応援事業」として行っているもので、妊娠・出産を望む県民への支援が目的。PGT-Mとは、重篤な遺伝性疾患を持つ子どもが生まれる可能性がある夫婦が検査を希望し、医師が必要と認めたときに行われる検査。検査実施認定施設は全国に35施設あり、鳥取県では鳥取大学医学部附属病院が承認されている。PGT-Mによって、対象疾患の原因遺伝子に病的変化があるかどうかが調べられるが、保険適用外で検査費用として1回100万円~150万円が必要となる。そこで夫婦1組につき1回、105万円を上限に費用の7割を助成することにした。
また県は、「願いに寄り添う妊娠・出産応援事業」として、妊娠・出産を望む県民への包括的な支援体制を構築するため、医療機関や県医師会、県産婦人科医会、県助産師会などによるネットワーク会議を設置。不妊症・不育症の人への支援や出生前診断の相談支援体制、死産・流産の人への心身のケア体制、プレコンセプションケアの理解・啓発、産後ケアの推進などについて協議を進めている。
(「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●中学・高校へAIを活用したデジタル採点システムを導入

 名古屋市(229万3400人)は、2023年の2学期から市立の中学校・高等学校の小テストや定期テストなどにAIを活用したデジタル採点システムを導入した。採点集計業務の効率化によって教員の長時間勤務・多忙化による負担を軽減し、子どもたちと向き合う時間を創出するのがねらい。市立の中学校112校と高等学校14校の全校、計126校で実施している。
デジタル採点システムでは、答案用紙(教員自作の解答用紙やマークシートも使用可能)をスキャンしてデータとしてPCに取り込むと、PC画面上で設問ごとに生徒の解答を一覧表示。その解答を見比べながらマウスクリックで採点できるので、一枚ずつ採点するよりも採点時間の大幅な短縮になる。また、選択肢に対する記号の解答はAIが正誤を自動判定する。その結果、採点時間は半分程度に削減可能とされている。
加えて、設問ごとの正誤情報等が一覧で可視化されて、データに基づく個別指導や授業改善などに活用できるのも利点。そのことから、教員の働き方改革とともに生徒一人一人の状況に合わせた指導にもつながり、教育の質の向上も図られると期待されている。
(月刊「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●「第2回ドローンサミットin長崎」を開催

 長崎県(132万100人)は、2023年9月7日、8日、経済産業省と国土交通省との共催で「第2回ドローンサミットin長崎」を開催した。ドローンなど空のモビリティをテーマにしたパネルディスカッションや最新機器の展示とデモフライトなどを通じて、ドローンなどへの理解促進を図るとともに、社会実装をより一層加速させるのが開催の目的。
長崎駅隣接のコンベンション施設「出島メッセ長崎」で行い、企業や自治体、関係団体等の職員、市民など多数の来場者があり、ドローン等への関心の高さがうかがえる催しとなった。
7日に行われたパネルディスカッションでは、有識者や自治体、事業者によるトークセッションでドローン活用の現状と課題、将来への期待などが熱く語られた。2日間行われた展示会には、ドローン・空飛ぶクルマ等の関係企業や自治体など約80の企業・団体が出展した。また、さまざまなデモンストレーションを実施。五島列島でドローンによる医療用医薬品の配送サービスを展開しているそらいいな㈱の協力を得て五島列島から長崎市内まで片道100km超のドローンのレベル3によるデモフライトを初公開したのをはじめ、㈱ACSLの国産ドローン「蒼天」の体験会やSIP3自律型洋上中継機(ASV)の無人航走、衛星システム「みちびき」対応ドローンによる飛行点検を行った。全国で最も離島が多い長崎県は陸上輸送等に課題を抱えていることから、ドローンなど新たなモビリティへの期待が高まっている。

(月刊「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●より区民に身近な区役所となるため「子ども版広聴事業」を実施

 東京都豊島区(28万3300人)は、小中学生など子どもたちの声を積極的に区政に反映するため、2023年6月16日から「子ども版広聴事業」を開始した。子どもたちに意見を書いてもらう様式を区内の各施設に設置したほか、インターネット上での意見収集も行っている。
区ではこれまでも、子どもから寄せられた声への回答にあたっては、やさしい言葉遣い、表現方法の見直しや、子ども向けの便箋や封筒の使用などに取り組んできた。しかし、そもそも広聴はがきが大人向けのデザインであることや、設置場所が子どもの利用しない施設に多いことも課題として捉え、子どもにも気軽に区へ意見を届けてもらうため、「子ども版広聴事業」を開始することにした。
同事業では、気軽に意見を伝えてもらうために、職員が手作りした、子どもが手に取りたくなるような、親しみやすいかわいらしい様式を作成。様式は折紙式になっており、記入した後、番号順に折るだけで、そのまま封筒になる。
小中学校や区民ひろばなど子どもが利用する施設を中心に、区内施設約120か所にこの様式を設置。区では、子どもが行政に関心をもつきっかけになればとしている。
(月刊「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●教職員と市職員の負担軽減を目指し生成AIの活用を開始

 北九州市(93万6600人)は、教職員と市職員の負担軽減に向けて、生成AIの活用をスタートした。2023年7月3日開催の「第2回生成AI等活用ワーキングチーム会議」において活用方針が決定された。
取組みの柱は、教職員の負担軽減のためのChatGPTの試験運用と、全庁における生成AIの活用開始及び市職員向けガイドラインの策定、「生成AI相談デスク」の新設。このうち、ChatGPTの試験運用と生成AI相談デスクの新設は全国初の取組みとなる。
ChatGPTの試験運用では、教職員からの学校ICT環境に関する質問にChatGPTと連携させたチャットボットで回答できるようにすることで、誰でも・いつでも・即時に、知りたいことが回答内容として生成される。問い合わせに関わる教職員や教育委員会事務局職員の負担軽減を図るのがねらい。試験期間は、2023年7月から2024年3月まで。
生成AI相談デスクは、デジタル市役所推進室内に開設。同デスクには、AIに精通した相談員を配置し、ガイドラインに関しての市職員からの相談に対応するほか、問題点の整理、問題点の解決に向けた検討などを行う。
(月刊「ガバナンス」2023年10月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

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