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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2023 月刊「ガバナンス」2023年9月号

地方自治

2023.09.26

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2023年9月号)

●議員によるハラスメントを根絶する条例を制定

 千葉県柏市(43万1300人)は、市議会議員によるハラスメントの根絶と未然防止を目的に「柏市議会ハラスメン防止条例」を制定し、23年6月2日から施行した。同市議会は22年12月に議長の諮問機関として「ハラスメント防止のための条例制定に向けた検討会」を設置し、市職員と議員対象の実態調査アンケート(回答数1851人)も行って検討を重ね、議長に答申。条例は答申に基づき議員提案で制定したもの。アンケートでは職員157人と議員6人が議員からハラスメントを受けたことがあると回答していた。
 条例は、全ての職員と議員が個人としての尊厳を尊重され、市民から信頼される議会の実現をめざす決意を表明した前文と全10条で構成。パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメントを対象とし、議長と議員の責務、必要に応じた実態把握の調査と議員の研修、ハラスメント相談窓口の設置、事実関係の把握、公表などについて規定している。
 議員の責務では、①ハラスメントが職員の尊厳を不当に傷つけるものであることや職員が職務遂行上の対等な立場にあることを自覚し、職員の人格を尊重した活動をしなければならない、②ハラスメントを疑われたときは誠実な態度で疑惑の解明に当たるとともに責任を明確にするよう努める、③他の議員がハラスメントに当たる言動を行っている事態に遭遇したときは当該議員に慎むべき旨を指摘するよう努めるとともに議長に報告しなければならない――ことなどを明記。職員や議員からハラスメント相談窓口にハラスメントの申出があったときは、議長は速やかに事実関係を把握し、議員によるハラスメントを確認したときはハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置を講じなければならないと規定している。
(月刊「ガバナンス」2023年9月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●「子育て部分休暇」制度を創設

 青森県弘前市(16万6400人)は、小学校に就学する子どもを養育する正職員を対象に、新たな休暇制度として「子育て部分休暇」を創設した。小学1年から6年の子を養育するため、正規の勤務時間の始めまたは終わりに、1日を通じて2時間を超えない範囲で休暇を取得できるもので、勤務しない1時間につき給与から減額する無給の制度として導入した。
 部分休業は、地方公務員の育児休業等に関する法律に基づいて小学校就学前の子を養育する場合に制度化されているが、小学生を養育する場合にも取得ができるように「弘前市職員の勤務時間、休暇等に関する条例」等を改正したもので、ワークライフバランスの充実を目的とした働き方の選択肢を増やすのがねらい。
 子育て部分休暇は30分または1時間で取得でき、取得日数に制限はなく、事前に所属長の決裁が必要。家事・育児時間の確保や子の学校・習い事や部活動等の送迎、子の長期休業期間に家庭で過ごす時間の確保、小1の壁・小4の壁といった子どもの環境変化への対応などでの活用が考えられている。新たな子育て部分休暇によって、男女を問わず、育児をしながらキャリアアップが図れる職場環境の実現を目指していく。
(月刊「ガバナンス」2023年9月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●水防等業務従事者の死亡補償一時金をパートナーシップ関係の相手方にも支給

 東京都世田谷区(91万6200人)は、災害時の水防活動や応急措置の業務に従事した者が死亡した場合のパートナーシップ関係の相手方に対する死亡補償一時金支給制度を新設し、23年7月1日から運用を開始した。
 区は全国に先駆けてパートナーシップ宣誓の取組みを行い、「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を制定するなど、性的マイノリティに対する理解を促進。22年10月には新たにファミリーシップ宣誓制度を導入している。水防法や災害対策基本法など現行の法制度では、水防や応急措置業務の従事者が同業務で死亡した場合の遺族補償の支給対象者は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に限られていることから、条例などの理念に基づき区独自にパートナーシップ関係の相手方に対する補償一時金支給制度を創設した。
 支給対象者は、亡くなった従事者と同居し、その収入により生計を維持していたパートナーシップ関係の相手方。他自治体でパートナーシップを宣誓した場合も対象とする。支給額は、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の規定に準じ、死亡者の収入等に応じて890万円~1420万円としている。
(月刊「ガバナンス」2023年9月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●カムバック採用等の通年募集を開始

 愛知県大府市(9万2700人)は、採用者の都合に合わせる通年採用を実施しているが、新たな採用制度として、過去に同市職員であった人を対象とする「カムバック採用」と、国、都道府県、市区町村での公務員経験のある人を対象とする「公務員経験者採用」を23年7月より開始した。実務経験がある人を即戦力として採用することがねらい。
 採用時期はともに23年10月1日、24年1月1日、4月1日からの選択制。募集職種は、カムバック採用は一般行政職と保育職、公務員経験者採用は一般行政職(一般事務と土木)。募集枠は各職種若干人で、随時申込みを受け付ける。
 カムバック採用の受験資格は、①結婚、出産、育児、介護などの事情により同市職員を退職した者、②同市職員としての実務経験(会計年度任用職員等は除く)を5年以上(保育職は3年以上)有する者(連続した1か月以上の休職、停職、育児休業等の期間は実務経験から除く)、③ 1973年4月2日以降に生まれた者、④ 2012年度以降に同市職員を退職した者の全要件を満たす者。公務員経験者採用は、正規職員の公務員で一般行政事務または土木に関する勤務経験が5年以上あることなどを募集要件としている。
(月刊「ガバナンス」2023年9月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●市町村の少子化対策を県が伴走型でバックアップ

 岡山県(187万9300人)は、新たな少子化対策に挑戦する県内市町村をバックアップする事業に取り組んでいる。少子化の要因や課題は地域によって異なるため、県と市町村が力を合わせて少子化の要因などを分析。それに基づき、オーダーメイド型で対策を検討し、市町村に伴走する形で人的及び財政的支援を行うもので、各地域の実情に応じた効果的な少子化対策を推進するのがねらい。
 具体的には、国の少子化対策地域評価ツールを活用して市町村の現状分析と課題の把握、対策の検討などの一連の支援を2年間実施。1年目は地域課題把握のための調査等に関わる経費として1市町村100万円を上限に助成(補助率10/10)し、2年目に市町村が事業を実施する際は、国の少子化対策重点推進交付金を活用するとともに、県も1市町村500万円を上限に助成する。
 23年度は、玉野市、瀬戸内市、矢掛町、奈義町、美咲町で実施。6月から実施市町合同勉強会としてワークショップなどを行い、県と市町で課題検証などを進めている。その後、9月末に2年目に実施する各市町の少子化対策事業の枠組みを決定し、10月から各市町での事業化に向けた支援等を行っていく予定。
(月刊「ガバナンス」2023年9月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●ベンチャーキャピタルとの協調出資でスタートアップを支援

 山梨県(81万6300人)は、ベンチャーキャピタル(以下、VC)などと連携・協調して、スタートアップ企業に県自らが出資する、全国初となる取組みを実施すると発表した。
 新たな産業や雇用を生み出すスタートアップ企業の創出・誘致・定着を図ることをねらいとする「やまなしスタートアップ推進事業」の一環で、6月補正予算で資金調達サポート事業費として約6000万円を計上した。協調出資は、スタートアップ企業の資金調達を支援するもので、認定VC等が出資したスタートアップ企業に対して、認定VC等の出資額と同額(1社当たり上限2000万円)を県が出資する。
 県では、県青少年センター(甲府市)旧本館を改修し、スタートアップ企業の支援拠点を整備するための基本計画を昨年度に策定。25年中の開業に向け、今年度はスタートアップのコミュニティ形成を図るイベントの開催、施設の機能や空間づくりについての検討等を実施する。こうした取組みにより、県内にスタートアップを呼び込むことで、県民の所得向上や仕事の選択肢拡大につなげていきたいとしている。
(月刊「ガバナンス」2023年9月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

●官民連携で地域特化型のNFTマーケットプレイスを構築

 沖縄県本部町(1万3100人)は、㈱リウボウ商事と包括連携協定を締結し、NFT(非代替性トークン)を活用した沖縄NFTマーケットプレイス事業「Ryukyuverse(琉球バース) 構想」で相互協力を進めることとした。同社はオリジナル商品の企画販売などを手掛ける県内の企業で、官民連携によるNFTマーケットプレイスは全国初の取組み。
 NFTは、改ざんや複製が不可能なデータを実現するデジタル技術で、世界で一つしかないという権利の証明書付きデジタルデータを生み出すことができる。Ryukyuverse構想は、NFTを活用して、自治体の財源確保や地域を応援する仕組みづくりに作り手(生産者)、売り手、行政が連携して取り組むもの。
 同構想に基づき開設されるWEB上のNFT マーケットプレイス「RYUKYUVERSE」では、“ モノ”(名産品やサービス)をNFTの技術によって“コト”(権利や体験)と組み合わせた商品として販売する。特定地域の商品を購入することが目的の「商品購入型」レキオNFTでは、たとえばオリジナルラベルと特注箱・限定証明番号が付いた琉球泡盛を出品。購入者は、古酒試飲・土産・ガイドが付いた酒蔵見学権が得られる。特定地域を応援することが目的の「地域応援型」チバリョーNFTでは、同町出身のアーティストのNFTで保護されたデジタルアート作品を販売予定。購入者には、同町発のレキオNFTが購入されるたびに販売価格の5%以上の琉球トークン(RYUKYUVERSE 内で使用できる代用貨幣)が還元される。
 RYUKYUVERSE の販売収益の一部は町へ寄付され、“コト”の創出は地域生産者の支援につながる。作り手、売り手、行政の連携のもと、新しいデジタル技術であるNFTを活用し、WEB上で地方創生の新しいプラットフォームの構築を目指していく。
(月刊「ガバナンス」2023年9月号・DATA BANK 2023より抜粋)

 

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