連載 vol.85「つながる」力 変革を与えてくれた「つながり」 【屋敷昌範(富山市職員)】
地方自治
2023.10.10
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2021年4月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
「自分には秀でた能力がない」
「自分は何もできない」
1年程前の私は、こんなことを頭に思い浮かべては打ちひしがれる日々を過ごしていた。
そんな自分に変わるきっかけを与えてくれたのが、現役公務員限定のオンラインプラットフォーム「オンライン市役所」である。
オンライン市役所は総務省の脇雅昭さんと神戸市の長井伸晃さんが立ち上げたコミュニティ。公務員には突然仕事の内容がガラッと変わってしまう転職のような人事異動があるが、そんな公務員のために同じような課題を持つ全国の公務員の知見を共有するコミュニティがあればいいのではないかという考えから立ち上げられた。私はひょんなことがきっかけでお二人から声をかけていただき、立ち上げ当初から運営担当として参加している。
ここには熱量のある公務員たちが数多く集まっている。何もできていない自分が嫌で、「まずやってみる」の精神で多種多様なオンラインイベントに次々挑戦していく人、自分の住む地域が好きで、どうすれば多くの人にその魅力が伝わるか試行錯誤しながら発信する人、災害時は全公務員が対応しなければいけないので普段から防災を考える大切さを丁寧に、そして熱く語る人──こういった人たちとの出会いで、「自分はどんなことがしたいか」、「この人と一緒だったらこんなことができそう」、「これはあの人だったら知ってそうだから聞いてみよう」と考えるようになった。
オンライン市役所は、実際の仕事と違って「とりあえずやってみる」が可能なところ。志の高い仲間と一緒に挑戦できることがとても魅力的であり、私自身も実践してきた。運営という立場だが、実は私が一番その価値を享受しているのではないかと感じる。
この「つながり」によって、私の見える世界は以前とは比べようがないほど広がった。そして、今では自分の中に「軸」になるようものを感じている。何を大切にすべきか、何を価値だと思うか。そんな変化を与えてくれたこの「つながり」に本当に感謝している。
(富山市職員/屋敷昌範)