【例規整備】公職選挙法の一部を改正する法律 令和2年6月12日法律第45号

地方自治

2020.11.06

◯ 公職選挙法の一部を改正する法律〔例規整備〕

公布年月日番号 令和2年6月12日法律第45号
施行年月日 公布の日から起算して6月を経過した日(令和2年12月12日)

<概要>

 公職選挙法の一部を改正する法律(令和2年法律第45号。以下「改正法」といいます。)が令和2年6月12日に公布され、公布の日から起算して6月を経過した日である同年12月12日から施行されることとなりました。

 今回の改正の主な内容は、次のとおりです。

1 町村議会議員選挙及び町村長選挙における選挙公営の拡大
 町村議会議員選挙及び町村長選挙に係る次の事項につき、条例による選挙公営の対象とすることとした。(第141条第8項、第142条第11項及び第143条第15項関係)
 (1)選挙運動用自動車の使用
 (2)選挙運動用ビラの作成
 (3)選挙運動用ポスターの作成

2 町村議会議員選挙におけるビラ頒布の解禁
 町村議会議員選挙における選挙運動用ビラの頒布を解禁することとし、その上限枚数を1,600枚とすることとした。また、ビラの種類、頒布方法、規格等は市議会議員選挙と同様とすることとした。(第142条第1項第7号等関係)

3 町村議会議員選挙における供託金制度の導入
 (1)町村議会議員選挙について供託金制度を導入することとし、その額を15万円とすることとした。(第92条第1項関係)
 (2)供託物没収点は、市議会議員選挙と同様とすることとした。(第93条第1項関係)

4 この法律は、公布の日から起算して6月を経過した日から施行することとした。

出典:令和2年6月12日付け官報号外第116号「本号で公布された法令のあらまし」
※数字の表記については、原文の趣旨を変えない範囲内で置き換えました。

 上記1は、町村議会議員選挙及び町村長選挙において、条例で定めるところにより、町村が一定の金額の範囲内で(1)選挙運動用自動車の使用、(2)選挙運動用ビラ作成及び(3)選挙運動用ポスター作成の費用を負担することができるようにするものです。これまで市町村においては、市議会議員選挙及び市長選挙においてのみ、条例により(1)から(3)までを選挙公営の対象とすることが可能でしたが、町村議会議員選挙及び町村長選挙においては、一般的に選挙運動区域が狭い、選挙運動期間が短い等の理由から、選挙公営の対象とはなっていませんでした。全国町村議会議長会及び全国町村会からは、町村合併の進行による選挙運動区域の拡大や、多様な人材の議会参加を促進する必要性の増大等の現状変化に鑑み、町村議会議員選挙及び町村長選挙においても、上記(1)から(3)までを選挙公営の対象とするよう要望が上がっていました。こうした事情を背景に、今般の改正法により、町村議会議員選挙及び町村長選挙においても、条例により(1)から(3)までを選挙公営の対象とすることが可能となりました。

 上記2は、町村議会議員選挙において、候補者が選挙運動のためのビラを頒布することができるようにするものです。選挙運動におけるビラの頒布については、昭和50年の公職選挙法の改正1により国政選挙において初めて可能となり、平成19年の同法の改正2により地方公共団体の長の選挙において、平成29年の同法の改正3により都道府県議会議員選挙及び市議会議員選挙において可能となりましたが、町村議会議員選挙においては、これまで禁止されていました。全国町村議会議長会の要望もあり、今般の改正法により町村議会議員選挙においてもビラの頒布が可能となりました。なお、ビラの頒布の上限枚数は1,600枚、ビラの種類、頒布方法、規格等は現行の公職選挙法における市議会議員選挙と同様とされました。

 上記3は、町村議会議員選挙においても供託金制度を導入するものです。今般の改正法では、町村議会議員選挙の選挙公営の対象の拡大を踏まえ、町村議会議員選挙においても15万円の供託が必要となりました。なお、供託物の没収点は、現行の公職選挙法における市議会議員選挙と同様とされました。

1 公職選挙法の一部を改正する法律(昭和50年法律第63号)
2 公職選挙法の一部を改正する法律(平成19年法律第3号)
3 公職選挙法の一部を改正する法律(平成29年法律第66号)

【参考】

出典:総務省HP「公職選挙法の一部を改正する法律概要別紙」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000693361.pdf

 改正法の公布日に発出された「公職選挙法の一部を改正する法律の施行について(通知)」(令和2年6月12日総行選第37号)において、改正法の施行に伴い公職選挙法施行令(昭和25年政令第89号。以下「令」といいます。)についても所要の改正を行うこととしていますので、今後の関係法令の改正動向に御注意ください。

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