公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書

高嶋直人

【新刊】公務員に特化した『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)―マタハラ(パタハラ)にならない「業務上の必要性」とは?

NEW地方自治

2020.08.12

マタハラ(パタハラ)にならない「業務上の必要性」とは?
単行本公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書

(株)ぎょうせいは令和2年7月、公務員に特化したパワーハラスメントの専門実務書『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)を刊行しました。パワーハラスメントの防止を企業に義務付けるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)が令和2年6月、施行されたことを受けたものです。ここでは、『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』から内容の一部を抜粋してご紹介します。(編集部)

●「業務上の必要性」は限定的

 「業務上の必要性」がある場合には、マタハラ(パタハラ)に当たらないとされています。ただし、この「業務上の必要性」を正しく理解しておかなければ、全ての言動を「業務上の必要性」があると理解し、結果としてマタハラ(パタハラ)を犯してしまう危険があります。理解のポイントは、この「業務上の必要性」はかなり限定的であるということです。

 「業務上の必要性」と「妊娠・出産、育児等の制度を利用して行う必要がある行為」の両者を総合的に勘案して判断する必要があります。例えば、妊娠中の女性職員に対して医師から休職の指示があった場合は、当然のことながらすぐに休職する必要があります。そのような場合に、「業務が回らない」という理由だけで休職を妨げるような行為は、「業務上の必要性」があるとは認められずマタハラ(パタハラ)になります。

●休みを妨げるような言動に注意

 このようなケースについて厚生労働省は、休職等の緊急性、重要性が高い場合には、「業務上の必要性」自体がなくなると解説します。しかし、これは大変わかりにくい解説と言わざるを得ません。確かに、法令の文言に沿って解説するとこうなるのですが、それよりも、休職の緊急性、重要性が高い場合は、たとえ「業務上の必要性」があったとしても休職を妨げるような言動はハラスメントとなり得ると素直に理解した方がわかりやすいと思われます。

 いずれにせよ、決して「業務上の必要性さえあればいかなる場合もハラスメントとはならない」と間違って理解してはいけません。

 それでは、「業務上の必要性からマタハラ(パタハラ)に当たらない」場合とは、どのような場合でしょうか。それは、定期妊婦検診などある程度日程を調整することが可能なものについて、上司が時期をずらすことが可能かどうかを確認するような場合です。このような言動はハラスメントにはなりません。つまり、「業務上の必要性」と「職員の権利保護」を両立させるための言動はハラスメントにはならないが、職員の権利を根本的に侵害するような言動はたとえ業務上の必要性があってもハラスメントに該当するおそれがあると理解しておきましょう。

 

Point
・マタハラ(パタハラ)に当たらない「業務上の必要性」がある場合を広く理解してはならない。
・業務上の必要性から、職員に制度利用の時期変更を求める言動は、職員の権利を侵害しない範囲で認められる。
・たとえ「業務上の必要性」があったとしても、制度の利用を根本的に妨げるような言動はハラスメントになり得ることに注意しよう。

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高嶋直人

高嶋直人

人事院 公務員研修所客員教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。人事院公務員研修所主任教授、財務省財務総合政策研究所研修部長などを経て現職。人事院、財務省、国土交通省、自治大学校、市町村アカデミー、マッセOSAKA、東北自治研修所、全国の自治体などにおいて「マネジメント」「リーダーシップ」「働き方改革」「ハラスメント防止」等の研修講師を務める。月刊『ガバナンス』に「人財を育てる“働きがい”改革」連載中。

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