公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書

高嶋直人

【新刊】公務員に特化した『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)―「制度等の利用への嫌がらせ型」マタハラ(パタハラ)とは?

NEW地方自治

2020.08.11

「制度等の利用への嫌がらせ型」マタハラ(パタハラ)とは?
単行本公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書

(株)ぎょうせいは令和2年7月、公務員に特化したパワーハラスメントの専門実務書『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)を刊行しました。パワーハラスメントの防止を企業に義務付けるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)が令和2年6月、施行されたことを受けたものです。ここでは、『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』から内容の一部を抜粋してご紹介します。(編集部)

 

 どこまでがマタハラ(パタハラ)に当たるかを理解するには、マタハラ(パタハラ)には大きく二つの型(タイプ)があることを理解した上で、上司による場合と同僚による場合に分けて理解しておく必要があります。

●上司と同僚で基準が違う

 大きく二つにわかれる型(タイプ)の一つ目は、「制度等の利用への嫌がらせ型」です。

 これは、「法令等で取得する権利が保障されている制度の利用に関する嫌がらせなどの言動で、就業環境が害される場合」です。ハラスメントになり得る言動は、上司だけでなく、同僚の言動も含まれますが、ハラスメントになるかどうかの基準は上司と同僚で異なります。

 まず、「部下の制度利用に関して「上司」が不利益な取扱いを示唆する言動」は一度でもハラスメントになり得ます。

 次に、「制度利用の請求等又は制度等の利用を阻害する言動」もハラスメントになり得ます。上司の場合は一度でもハラスメントになり得ますが、同僚の場合は繰り返し又は継続的な場合に限りハラスメントになり得ます。ただし、同僚の場合でも、言われた職員が意に反する旨を同僚に伝えたにもかかわらずさらに言われた場合は、繰り返し又は継続的であることは要しません。つまり、やめるよう言った場合には、その後は一回の言動でもハラスメントになり得ます。

●嫌がらせの言動に注意

 最後に、「制度等を利用したことによる嫌がらせなどの言動」もハラスメントになり得ます。ただし、全ての嫌がらせなどの言動がハラスメントになる訳ではありません。直接的な言動であって、客観的にみて就業する上で看過できない限度の支障が生じるようなものに限定されます。この言動は上司、同僚ともに繰り返し又は継続的な場合に限りハラスメントになり得ます。ただし、やめるように言った場合は、その後は一回の言動でもハラスメントになり得ます。

 このように、「不利益な取扱いの示唆」「制度利用の阻害」「制度利用後の嫌がらせ」の三つの場合に分かれ、それぞれの場合ごとに「上司」と「同僚」でハラスメントに該当するか否かが微妙に異なります。

 場合分けをするとこのように複雑になりますが、部下や同僚の制度利用を妨げるような「広い意味での嫌がらせ的な言動」は広くマタハラ(パタハラ)に該当する可能性があることをまず理解しておきましょう。

 そして、制度利用に関して権限を行使できる立場にある上司は一度の言動でもハラスメントになり得ること、また、同僚の場合でも決して繰り返してはいけないことを理解することが肝要です。

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令和2年6月施行「パワハラ防止法」にいち早く対応!公務員向けハラスメント防止マニュアルの決定版

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2020/06 発売

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高嶋直人

高嶋直人

人事院 公務員研修所客員教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。人事院公務員研修所主任教授、財務省財務総合政策研究所研修部長などを経て現職。人事院、財務省、国土交通省、自治大学校、市町村アカデミー、マッセOSAKA、東北自治研修所、全国の自治体などにおいて「マネジメント」「リーダーシップ」「働き方改革」「ハラスメント防止」等の研修講師を務める。月刊『ガバナンス』に「人財を育てる“働きがい”改革」連載中。

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