【特別企画】公共料金明細事前通知サービス「公振(こうふり)くん」導入で実現した自治体会計事務の大幅な業務改善 ――千葉県柏市会計課

地方自治

2024.03.06

(『月刊ガバナンス』2024年3月号)

行政事務の効率化に向け、いま自治体がもっとも力を入れる業務改革手法がDX。毎年、大量の伝票処理が発生する会計課もその対象部署の一つといえる。そうしたなか、課題解決の有力な手段として注目されているのが、公共料金の支払手続をサポートする㈱NTTデータビリングサービス(以下、NTTDBS社)の「公振くん」サービスだ。すでに基礎自治体の2割が導入して効果を実感しているという「公振くん」について話を聞くため、千葉県柏市会計課の林知貴統括リーダーを訪ねた。

左からNTT データビリングサービスの谷川翔平さん、柏市会計課の林知貴統括リーダー、同課の鴇田里佳さん、佐久間翔一さん。

膨大な件数をこなす自治体会計事務の改善方法とは

――会計課の基本的な業務内容は。

 会計管理者は地方自治法で職務等が規定されており、市の執行機関から独立性を持って審査する出納機関として、適正な予算執行と公正な会計事務を推進する役割を担っています。本市では会計管理者を補助するために会計課が設置され、公金の収入・支出及び保管、運用、支払いに関する審査などの業務を行っています。全庁の伝票件数は令和4年(2022年)度実績で約21万5000件(うち支払いに係わる伝票は約15万6000件)あり、非常に多くの伝票の審査と審査後の支払業務を行っています。

――柏市が「公振くん」を導入したきっかけは。

 ガス・電気・電話など公共料金の支払いにおいては、債権者から契約ごと(施設ごと)に納付書が作成されるため、支払件数が非常に多く、担当課・会計課・千葉銀行(柏市指定金融機関)の事務負担が過大になっていました。こうしたなか、近隣自治体等で「公振くん」が導入されていることを知り、そのシステムによる一括処理を行えば市と金融機関の業務量を大幅に削減できると見込みました。

 また、支払漏れ防止も導入目的の一つでした。「公振くん」は個別の引落情報と担当部署や予算科目などの会計情報とを容易にマッチングできるので、それらデータを財務会計システムに連動させれば支払漏れを防げるとともに、事務処理を大幅に短縮できると考えました。請求書(納付書)は請求データとして受領することになるため、それまで行っていた支払済みの領収書(柏市控)を伝票に貼り付けて保管する作業が不要となり、紙や保管場所の削減に繋がることも期待しました。

――導入までのスケジュールは。

 「公振くん」導入に向けた千葉銀行やNTTDBS社との最初の打ち合わせは2019年6月でしたが、その後は導入済み自治体への視察や庁内関係部署への報告と協議、財務規則の改正、財務会計システム改修と多岐にわたりました。なかでも大変だったのが、同社に提供いただく情報の基礎となるマスタデータの作成でした。同社に委託(有償)することもできるものの柏市は自ら作成したのですが、膨大な量を正確に作成するため、慎重にチェックを繰り返しました。

 「公振くん」による支払手続が始まったのは20年2月で、その後は順調に稼働しています。導入初年度の費用は財務会計システム改修費用と次年度以降を含むランニングコストのみ。「公振くん」基本料、事前通知データ作成料のランニングコストは比較的安価な印象です。

――指定金融機関やNTTDBS社の業務サポートはいかがですか。

 新しい費目を「公振くん」へ追加する際の手続きで不明点があった際には、千葉銀行や同社に電話で確認していますが、手順を丁寧に教えてくれています。同社からは、指定の「入力支援シート」に「公振くん」へ移行する契約情報を提出することでマスタデータを提供していただけたので、情報登録がスムーズにできました。「入力支援シート」提出からマスタデータを受領するまでも迅速に対応していただき、大変助かりました。

 千葉銀行からも、年末年始の「公振くんスケジュール」を例年事前に提供していただいており、請求データ受信から支払日までのスケジュール管理を課内で共有できています。また、債権者から口座振替停止の連絡があった際は電話で情報提供していただいているため、迅速な対応に繋がっています。

 

顕著だった「公振くん」の導入効果

――「公振くん」の導入効果はいかがですか。

 「公振くん」導入によって、各担当部署では伝票起票に要する時間の軽減や納付書の不着・紛失等による支払遅延、支払漏れの防止などに繋がっています。

 伝票件数は導入前に比べて年約2700件減少し、審査や出納処理に要する時間が削減でき、会計課で年約400時間、庁内全体では年約1240時間の削減につながったと考えており、業務改善に効果があったと評価しています。他の未導入自治体から本市への照会も増えているため、関心は高いと感じています。

――他市町村の方々にメッセージをお願いします。

 公共料金の支払いにおいては、これまで契約(施設)ごとに請求書(納付書)が債権者から送付されていたため、担当課の伝票起票だけでなく、会計課でも多くの伝票の審査業務と支払事務に時間を費やしてきました。しかし、「公振くん」を導入したことで、起票、審査、支払いなどの事務作業が効率化できて、ペーパーレスによるコスト削減にも繋がっています。限られた人材と予算の中で効率の良い業務を行い、支払漏れ防止など適正な会計業務を遂行するひとつの手段として、「公振くん」の導入は有効だと思います。

 

「事務が楽になった」との声が全国の自治体会計課から


NTTデータビリングサービス
谷川翔平さん

――「公振くん」のサービス概要とメリットとは。

谷川 「公振くん」は、ご利用者様に対して口座振替の金額情報等を電子データ(以下、事前通知データ)で口座振替される前に提供し、そのデータを金融機関から提供される公振くん端末ソフトへ取り込んで予算科目情報と紐づけ処理をしたのち、財務会計システムへの連携データを作成するサービスです。

 「公振くん」は、口座振替される前に口座振替に関する情報がデータ提供され、財務会計システムに連携して決裁(承認)できることが最大のメリットです。会計課では、従来は各予算執行部署からバラバラに集められた伝票の起票・承認をしていましたが、導入によって消込の自動化・伝票の一括起票・一括承認が可能になり、紙や審査時間の削減にも大きな効果が期待できます。また、本サービスは会計課だけでなく、自治体の事務事業を所管されるすべての部署の効率化につながりますから、ぜひ全庁的にご検討いただきたいと思います。

――指定金融機関と御社の役割は。

谷川 「公振くん」は、指定金融機関などの金融機関が自治体等のご利用者様に提供する契約形態です(サービスを提供している金融機関については、弊社までお問合せください)。弊社は金融機関の後方で、ご利用者様の運用時におけるヘルプデスク(お問い合わせやトラブル発生時のサポート)を一元的に提供しています。トラブル発生時には支払遅延が発生しないよう金融機関と情報を連携し、迅速な対応を心がけているとともに、収納機関とは適宜、「公振くん」の利用可否など様々な協議を行っています。

――全国の自治体における導入実績等は。

谷川 近年、導入されるご利用者様が増えており、現在では全国自治体の20%程度、なかでも市役所では30%以上で導入していただいています。それらのご利用者様からは、「非常に事務が楽になった」、「もっと早くこのサービスを利用していればよかった」等々のお声をいただいてたいへん嬉しく思っているところです。


企画提供
株式会社NTT データビリングサービス 
〒143-0023 東京都大田区山王1-3-5 NTTDATA 大森山王ビル
TEL.03-6451-8330 https://www.nttdatabs.co.jp/


公共料金支払事務の手間を軽減するためのサービス「公振くん」紹介ページ
https://www.nttdatabs.co.jp/koufuri/

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