【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記
東西南北デジデジ日記 vol.40 今週の担当:【西】多田功
地方自治
2022.07.21
「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。連載担当が日頃感じる素朴なギモンに執筆陣が回答するスタイルとなり3回目。【西】多田さんは前々回記事のお題「業者」、前回記事のお題「推進」の2つに切り込みます。(※本連載は毎週木曜更新です)
―――――2022年7月21日 Thu.―――――――
フェーズ1が終わり…
vol.37の特別編の評判が思いのほか良かったようですね。
ファミコンの例を出して世代がバレバレというオチも含みながら、
「「精神」、「魂」、「マインド」。他団体事例で一番入手すべき情報はコレなのですね」
という連載担当のなんとも秀逸なまとめにも救われながら、フェーズ1の振り返りができました。
これで、卒業できた〜と思いきや、フェーズ2がしれっと始まっちゃいました。
フェーズ2のスタート
えっ! フェーズ2って何が変わったの? と思われた方、ご明察です。
フェーズ1(vol.36)までは、千葉さん、多田、山形さん、今村さんだった順番(東西北南)だったのが、フェーズ2(vol.38)からは、山形さん、千葉さん、多田、今村さんの順番(北東西南)と北から順になってます。
あと大きく変わった(?)ところは、お題が天の声のごとく授けられて(単なる無茶振り)、それに答えていくという形を今のところとっていくようです。
お題に答えつつ
ということで、天の声でもある連載担当からは、
とありました。
vol.38で山形さんが書かれているように、僕も「え? 何言ってるの?」だったんです。
とはいえ、違和感があるのであれば、それにお答えするのがよいかと。
「業者」という「業」という漢字は、Wikipediaによると、「カルマに由来し、行為、所作、意志による身心の活動、意志による身心の生活を意味する語」と書かれてます。
・なすべきこと、仕事、わざ。
・職業、生業。「なり」や「わざ」とも読む。
・学問、技芸。また、それらを身につけようとすること。
とも書かれてますので、何かしらの「仕事」「業務」や「作業」を指しているようです。
なので、そういった仕事や業務を生業としている方を指して「業者」と言い表しているんだろうと。
どう受け止めるか
市役所との契約などで来られた方に「業者さん」という言葉を使ったことがなかったのですが、要するに、人として対等に呼ばれているかどうかが大事なのではないかと思います。
「ちゃん付け」が問題になったりすることもありますが、好意的なのかそうでないのかを呼ばれている側がどのように捉えているかだと思ってます。
「主従関係」を感じたり、違和感を覚えたりするのであれば避けるべきですが、やりすぎると言葉狩りみたいになることもありますので、なかなか難しいところです。
ただ、見下した物言いにならないように気をつけていく必要はありそうです。
受け止め方は人それぞれ
受け止め方はそれぞれですから、デジタルに関しても受け止め方はそれぞれです。
デジタル化が全て正しいという感覚を押し付けるのは間違っていて、「デジタル化すると便利」なのかもしれませんが、すべての人が使えないといけないという考え方ではなく、使えない方には他の手段を用いるなどしっかりとしたサポートが必要です。
また、「便利になったからといって幸せなのか」と言われるとそうではないと思っています。
例えば、今や我々の生活に欠かせないものとなってしまったインターネットはものすごく便利です。
インターネットが幸福感をもたらした側面もありますが、SNSにおける誹謗中傷やネットデマなどを見ていると、かえって不便なときのほうがよかったのかもという印象を受けたりします。
スマートフォンも同じようなもので、電車に乗っていても昔は景色を見たり会話を楽しんだりしてましたが、今では電車の中ではみんな画面を見ている時間が長くなっているような印象があります。
どんどん実体験による外からの情報を得る力が薄れ、情報元が誰か分からない三次情報から得ているような気がしますね。
もう1つのお題
vol.39では、もう1つのお題があげられていました。
民間でも使いますが、行政での登場率が尋常じゃなく、もはやお役所言葉だと思ってます。例えば、部署名。民間企業の部署名にはあまり冠されませんし…。
最近、「推進」と名のつく部署をよく見るなぁ〜って思ってました。
斯く言う僕の役職名も「スマートシティ推進担当課長」ですので、「推進」することがミッションになっています。
加古川市では、
「市民活動推進課」「新型コロナワクチン接種推進課」といった課の他にも「シティプロモーション推進担当」「スマートシティ推進担当」「加古川駅周辺まちづくり推進担当」「窓口業務改革推進担当」「かわまちづくり推進担当」
といった組織担当というものがあります。
ちなみに5万字を超える「加古川市総合計画」においては、「推進」という単語は162回出現してますので、それなりに頻出する単語なのでしょうね。
今年度、DX推進室やデジタル推進課などの組織が多くできたような印象があります。
「推進」という達成目標が曖昧な気がしますので、本連載担当さんは違和感があったのかもしれません。
他にも「振興」「対策」「支援」といった部署も多い印象ですね。
そこに明確なゴールがないが故に、「打ち手を探す」「前に推し進めること」という意味合いで「推進」という単語が使われているのではないかと考えます。
また、似た言葉に「促進」とありますが、「推進」の場合は自分を主体として進めますが、「促進」の場合は他人も含めてものごとを前に進める意味合いを持っているようです。
物事を推進するためには、コミュニケーションや調整が必要ですし、計画を実行するためのリーダーシップなども必要ですが、目的を達成するための「目的(なんのためやるのか)」を明確にしないと始まりません。
唯一わかっている事実
VUCA(ブーカ)な世の中、答えが見つけにくくなっていることは、vol.14やvol.22にも書いてきましたが、日々いろんな迷いや試行錯誤の繰り返しです。
ここでハッキリ言える唯一わかっている事実は、「誰もが認める正しい答えはない」ということです。
物事にシロクロつけたい気持ちもどこかの事例をコピーしたいという気持ちもよくわかりますが、やはり地域特性に合わせた取り組みを地道にしていくしかないと思います。
VUCAな世の中、答えは1つではないので、他市の取り組みを参考にしながら、それぞれのゴール(山頂)を自分たちで定めていくのが一番の近道かもしれません。
運動においても自分に合ったトレーニングが必要なのと同じく、自分たちの団体に合わせた導入をすることが、無理なく持続できるものにつながっていくのではないでしょうか。
お題への感想も含めてお後がよろしいようで、それではまた! デジデジ!
~次回の日記は7月28日(木)に更新予定です!~
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