東西南北デジデジ日記 vol.22 今週の担当:【西】多田功

地方自治

2022.03.10

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。デジタルは「0」と「1」の世界。けれど、物事は「0」か「1」かでくくれないものばかり。

―――――2022年3月10日 Thu.―――――――

 

もう22回目

10月から始まった東西南北デジデジ日記ですが、気づけば22回目。
いろんな仕込みやら伏線なども張りながら、DXやデジタル化について、4人それぞれの視点で書いてます。

22回ともなると、それぞれのキャラクターが随分ハッキリしてきたなぁというのと、最近では「デジデジ日記」で検索すると某有名歌手が今までトップに表示されていたのが、今やこちらのウェブ版交換日記がトップに表示されるようになってきました。

 

前回までの振り返り

山形さんは、「公的機関のWEBサイトの役割」について、重要なのは「情報の出し方」で「どこからでも情報を取得する時代」に変わってきていることについて言及されていました。
そういえば、とある自治体の公式アカウントが乱立していて、更新が滞っているなんてことも最近ニュースになってましたね。

今村さんは、「お役所仕事」について、“常識”に囚われて気づかないことが原因で起こることは、少しの工夫で改善できると。
まさしくDXの根本的なところである「気づくこと。感じること。このままでいいのかと疑うこと。」について言及されていました。

千葉さんは、「名は体を表す?」と入り、千葉県船橋市における情報の部門について、その歴史とともにこれからの役割について書いてくれています。
情報システムに係る予算検証という、新たなスキルの確立による情報部門の今後についても言及されてました。

 

シンプルであること

みなさんが書かれていることを自分なりに咀嚼していくと、キーワードは「シンプル」なのかなと。

vol.14でも書きましたが「VUCA」な世の中、将来予測が不可能な状態において、それぞれどんな山の頂上を目指すのか。

ビジョン(山の頂上)は同じ方向に向くべきですが、それはシンプルでわかりやすくする必要があると思っています。

そして、同じ記事内で「デジタルの話をしたいのにデジタルは関係ない」とも書きまして、またもやそんなところから進めていきたいと思います。

 

Blue in Green

シンプルであることとはどういうことかを示すために、vol.18に引き続いて、しばらくジャズ講座にお付き合いください。

ジャズピアニストのビル・エバンスが作曲した(一説にはマイルス・デイビスとの共作とも)「Blue in Green」という曲があります。
1959年に録音されたジャズ史上屈指の名盤といわれる「Kind of Blue」に収録された「Blue in Green」を聞いてもらうとわかるのですが、「静寂の中の美しさ」と表現するにふさわしい素晴らしい演奏です。

ビル・エバンスは、このアルバムの解説の中で、「Kind of Blue」における演奏について、日本の「水墨画の筆遣い」を例えに出しています。
水墨画は、筆を運ぶときの勢いの強弱などを駆使し、簡素でありながら繊細な表現が可能な絵画です。
無駄をそぎ落として描かれる水墨画は、単に墨の一色というシンプルさに加えて、描き直しができない緊張感にあふれています。

シンプルにするために必要なことは何か、「何を削ぎ落として何を残すのか」は、デジタル世界における「0」と「1」 という世界観を考えるにあたって重要なのかもしれません。

 

アナログじゃダメなのか

さて、先ほど「Blue in Green」を聞いてみてくださいと書きました。
皆さんは普段どうやって音楽を聞いてますか。

音楽配信アプリ、音楽配信サイトなどからのデータ購入、ひょっとしてCDを持っておられる方は、CDプレイヤーにディスクを入れて聞かれるのかもしれません。
でも、これって全部デジタル音源なんですよね。

CDが消費者向けデジタルオーディオの供給媒体として1982年に発売されて以降、今聞くことができるほとんどの録音音楽がデジタル化されています。
敢えて「Kind of Blue」をデジタル音源ではなく、家にあるアナログレコードを引っ張り出して聞いてみました。

・大きなジャケットからレコードを取り出し、ターンテーブルにのせ、そっと針を落とす作業。
・アナログレコードの濃密な音に浸る時間。
・レコードの演奏が終わった後、レコードに傷がつかないようにそっと針をあげ、また大きなジャケットに丁寧に戻す作業。

レコードを知らないデジタル世代にはわからないかもしれませんが、レコードにつきまとう「プチ、プチ」「パチッ」という「ノイズ」が独特の雰囲気を出してくれます。
煩雑であるにもかかわらず、音楽を聞くという行為を流れ作業ではなく、大切なものとして捉えることができる瞬間です。

デジタル化が進む中で、こういったアナログのよいところを残しつつデジタルをどのように進めていくか、何でもかんでもデジタル化が正義なのか、もう一度考える必要があるのではないでしょうか。

メモを取るのにいちいちパソコンを使うのか、すぐに取るなら紙でよいこともあるのかもしれません。
その一方で、記録として長期間残すのであれば、デジタル化されるほうがよいこともあります。

 

デジタル化の先に

先ほどの音源の話ひとつとっても、気がつけば、レコードなんてほとんど見たことがないという世の中。
まして、録音音楽としてのCDすらほとんど存在せず、音楽配信アプリ、音楽配信サイトなど完全にデータ化されている世の中。

ひょっとすると、行政のデジタル化もそんな遠くない未来には当たり前になっているのかもしれません。

アナログの価値も評価しながら、スムーズにデジタル化が進むのかどうか。
それは来年以降多くの自治体で立ち上がるであろう「デジタル○○課」に生まれ変わる情シスの皆さんの手にかかっているのかもしれません。

ちなみに冒頭にあげた某歌手のデジデジ日記は、17年間200回で最終回を迎えているようです。

こちらのデジデジ日記は17年も続けると、このメンバーはことごとく定年退職を迎えていくことでしょう。

4月の年度替わりを控える中でメンバーチェンジはあるのか??? 次回もお楽しみに。デジデジ!!

 

(※編注:メンバーチェンジはありません…)

 

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千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

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