【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記
東西南北デジデジ日記 vol.21 今週の担当:【東】千葉大右
地方自治
2022.03.03
東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。もうすぐ新年度がスタート。自治体DXの急務が叫ばれる今、新年度あるあるかもなお話。
―――――2022年3月3日 Thu.―――――――
名は体を表す?
3月になりました。新年度予算を審議する議会も始まり、新年度の体制も出揃ったのではないでしょうか。
昨年も情報部門が「デジタル」を冠する組織に生まれ変わる例がいくつも見られましたが、今年はもっと多くの「デジタル〇〇課」が生まれそうです。名前を変えただけでなにかが変わるわけではありませんが、名は体を表すとも言いますので、今風に変えることも自治体DXを推進するひとつの手段だと思います。
かく言う本市も「情報システム課」から「デジタル行政推進課」に変わることが決まりました。
企画か総務か
情報部門が企画なのか総務なのかは長らく議論されてきました。はじめに断っておくと、正解はないというのが私の考えです。その時々によって期待される役割は変わりますので、それに合った部署であればいいと思います。例えば私が入庁した以降の、本市の情報部門の変遷は次のとおりです。
・企画部電子計算課(~H9)
・総務部情報処理課(H10~H14)
・企画部電子行政推進課(H15~H24)
・総務部情報システム課(H25~R3)
・総務部デジタル行政推進課(R4~)
ここ最近はおよそ10年単位で課名が変わっていることがわかります。そして見事に企画と総務を行き来しています。私はこのうち電子行政推進課と情報システム課に所属しました。4月に異動がなければデジタル行政推進課にも所属することになります。
電子行政推進課は、その実態はほぼ電子計算課のままでした。一部の業務はオープンシステムへ移行していましたが、マシン室(現在のサーバー室)にはメインフレームが鎮座し、主要な業務は私を含む職員SEが開発・運用を担っていました。全国にはオープンシステムへの移行が完了した団体もありましたが、本市ではまだまだこれからという段階でした。メインフレームによる業務の高度化が主たる業務であり、インターネットやクラウドの活用はまだまだ先の話だったのです。
なお、オープンシステムへの移行は、結果的には電子行政推進課の最大で最後の事業となりました。ざっくり言えばシステムの入れ替えですから、市民に直接関係するものではありません。本当に裏方仕事です。それでも、これを乗り越えたからこそ、これから取り組まなければならない標準化に余計な労力を割く必要がないのです。そういう意味では、電子行政推進課はその名が表す使命を果たしたとも言えます。
情報システム課の役割はなんだったのか
電子行政推進課は、その名に「推進」がついていたにもかかわらず、事務分掌に「推進」の文字はありませんでした(情報化施策の企画及び調整)。これを引き継いだ情報システム課も同じでした。
このため、自ら開発・運用をすることがなくなった情報システム課は、情報システムの企画や調達における影響力を弱めていきました。結果、庁内のシステム構成は全体最適から部分最適に寄ることになります。これが、情シスが望んだ結果なのかそうでないのかは、私にはわかりません。ひとつ言えることは、30年以上にわたって築いてきたやり方を変えるのは容易ではないということです。
一方で、情報システム課によって新たに確立されたものもあります。それは情報システムに係る予算検証です。本市の予算検証プロセスは、おそらく他市に比べて手間ひまがかかっていると思いますが、その分効果も上げています。なによりこの検証プロセスを経験することで、発注に関するスキルが向上し、事業者の言うことを鵜吞みにしない職員が育ちます。これは前回お話ししたデジタル人材の育成にもつながる話です。
*船橋市の取組が紹介されました。
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220208/k10013473321000.html
デジタル行政推進課に求められること
4月からスタートするデジタル行政推進課に求められていることはなんでしょうか。
これは明快です。総務省が策定した自治体DX推進計画の重点事項そのものです。本市では、自治体DX推進計画を踏まえた計画である「船橋市DX推進計画」を4月からスタートします。まずは5年間、集中的に取り組んで成果を上げたいと思います。
4月から「デジタル〇〇課」に生まれ変わる情シスの皆さん、一緒にデジタル化をがんばってまいりましょう。それではまた来週。デジデジ!
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