【例規整備】教諭等及び事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則等の整備
地方自治
2020.10.30
◯教諭等及び事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則等の整備〔例規整備〕
<はじめに>
平成31年1月25日、中央教育審議会において「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(※1)(以下「答申」といいます。)が取りまとめられました。答申では、学校における働き方改革を進めるに当たり、「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」を確実に実施するため、文部科学省が取り組むべき方策の一つとして、「学校・教師が担うべき業務の範囲について、学校現場や地域、保護者等の間における共有のため、学校管理規則のモデル(学校や教師・事務職員等の標準職務の明確化)を周知」することが挙げられています。
これを受けて文部科学省から発出された通知(※2)(以下「通知」といいます。)において、以下の参考例が示されました。
① 教諭等(主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭及び講師をいいます。以下同じ。)に係るもの
・教諭等の標準的な職務の明確化を図るための小学校及び中学校(義務教育学校を含みます。以下同じ。)に係る学校管理規則の参考例
・教諭等の標準的な職務の例及びその遂行に関する要綱の参考例
② 事務職員に係るもの
・事務職員の標準的な職務の明確化を図るための小学校及び中学校に係る学校管理規則の参考例
・事務職員の標準的な職務の例及びその遂行に関する要綱の参考例
通知では、各教育委員会において、上記の参考例(以下「文科省参考例」といいます。)を教諭等及び事務職員の職務内容を定めるための基礎資料として活用するとともに、必要に応じて文科省参考例を活用して関係規定等を整備し、教諭等及び事務職員の標準的な職務の明確化を図ることで、教諭等にあってはその専門性を発揮して本来の職務に集中できるような環境を、事務職員にあっては他の教職員との適切な業務の連携・分担の下、学校組織における唯一の総務・財務等に通ずる専門職として、校務運営への参画を一層拡大し、より主体的・積極的に参画できるような環境を整備することを求めています。
このようなことから、本稿では、文科省参考例を活用した学校管理規則等の整備例を一案として紹介することとします。
なお、通知にも留意事項として記載がありますが、文科省参考例を活用して学校管理規則等の整備を行う場合であっても、各市町村の教育委員会における既存の規定等との整合性、各市町村における具体的な職名や各学校・地域の実情等を踏まえ、整備の要否や内容を十分に御検討ください。
参考資料 文部科学省ホームページ
※1 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)(第213号)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985.htm
※2 教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)(令和2年7月17日2初初企第14号)
https://www.mext.go.jp/content/20200717-mxt_syoto01-000001234_3.pdf
事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)(令和2年7月17日2初初企第15号)
https://www.mext.go.jp/content/20200717-mxt_syoto01-000001234_4.pdf
<例規整備>
ここでは、教諭等及び事務職員の標準的な職務の明確化を図るに当たって、文科省参考例に倣い学校管理規則を整備する場合の整備例を一案として紹介します。
備考
1 標準的な職務の明確化に係る規定の追加について
文科省参考例の学校管理規則の整備例では、教諭等と事務職員の標準的な職務の明確化に係る規定を学校管理規則中の組織編成の章に追加するイメージが示されています。これに倣い、上記の整備例では、学校管理規則中の職員の設置に係る規定の次に、枝番号の条で教諭等及び事務職員の標準的な職務の明確化に係る規定を追加することとしています。学校管理規則の規定の構成、内容等については、市町村ごとに様々かと思いますので、規定の追加位置については、現行の学校管理規則の構成、内容等に応じて御検討ください。
また、文科省参考例の学校管理規則の整備例では、教諭等と事務職員の標準的な職務の明確化に係る規定をそれぞれ条として追加するイメージが示されていますが、標準的な職務の明確化に係る事項を定めるという趣旨は共通しているため、上記の整備例では、教諭等と事務職員の標準的な職務の明確化に係る規定を一つの条の中で項を分けてそれぞれ定めることとしています。現行の学校管理規則の構成、規定ぶり等によっては、文科省参考例のように二つの条に分けて定める方が整合的ということもあり得ますので、御留意ください。
2 規定中の主語について
通知では、教諭等及び事務職員の職務内容は、関係法令等を踏まえ、服務監督権者である教育委員会が定めるものであるとされています。そのため、文科省参考例では、教諭等及び事務職員の標準的な職務の明確化に係る事項については、教育委員会が制定する学校管理規則において定め、学校管理規則に追加する規定において、「教育長は、〜職務の遂行に関し必要な事項を定めるものとする。」と定めることで、標準的な職務の具体的な内容については、教育長が定めるという定め方になっています。
上記の整備例においても、文科省参考例の定め方に倣い、学校管理規則に追加する規定の主語は「教育長」としています。文科省参考例の定め方によらず、例えば、標準的な職務の具体的な内容についても学校管理規則中に定めることとするような場合には、規定ぶりも変わることとなります。
3「教諭等」の定義について
通知では、教諭等の標準的な職務の明確化について、その趣旨は、校長及び教頭等の管理職以外の学校における職であって学校に関する職務を広く担う職について、その専門性を発揮し本来の職務に集中できるような環境を整備することにあるとされています。そのため、文科省参考例では、「教諭等」は「主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭及び講師」をいうとされており、校長、教頭等の管理職や学校に関する職務を広く担うことが通常想定されない養護教諭、栄養教諭等の職は含まれていません。
上記の整備例においても、文科省参考例に倣い、「教諭等」を「主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭及び講師をいう。」と定義しています。
通知では、養護教諭、栄養教諭その他の職についても同様に、学校管理規則等にその標準的な職務を位置付ける場合には、学校種や職による職務の性質の違いにも留意する旨が記載されていますので、各教育委員会の判断によっては、養護教諭、栄養教諭等の標準的な職務を明確化することも可能と思われます。
上記の学校管理規則の整備例では、教諭等及び事務職員の標準的な職務の具体的な内容については、教育長が定めることとしています。この場合には、教育長が訓令、要綱等の形式で標準的な職務の具体的な内容を定めることが考えられます(文科省参考例では、要綱で定めることとしています。)。具体的な規定内容については、文科省参考例を御参照いただき、学校規模、教諭等及び事務職員の経験年数、各学校・地域の実情等に応じて御検討ください。
以上のような学校管理規則等の整備を行う場合において、いつまでに整備を行えばよいのかについては、通知には特に記載されていません。そのため、整備の時期についても、通知の趣旨を踏まえた取組の状況に応じて、適宜御判断ください。
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