怒りを笑顔に! 教師のアンガーマネジメント
怒りを笑顔に! 教師のアンガーマネジメント 第3回 どう指導? 不正・不公平に対する怒り◆“ルールを守らないvs正義感が強い”子どものトラブル防止◆
生徒指導
2021.08.11
怒りを笑顔に! 教師のアンガーマネジメント
大阪市の小学校で現在6年生の担任と生活指導主任を務める松下隼司氏は教員18年目。怒りの感情のコントロールが苦手で、これまで子どもを必要以上に怒って苦しめてしまい、自分自身も後悔してしまうことがあったといいます。そんな松下氏はその後一念発起して「アンガーマネジメント」の資格を取得。同じ失敗を繰り返さないよう工夫している事例を6回に分けて紹介していただきます。
どう指導? 不正・不公平に対する怒り
◆“ルールを守らないvs正義感が強い”子どものトラブル防止◆
1.“割り込む子vs注意する子”への指導
教師にノートを見せに来たり、給食の配膳で並んだりするときに、 横入りをした・していないでもめることがあります。
そこで、“注意の作法”を事前に教えておきます。
- ① 「友達のことで困ったことがあったら、先生に言ってね。注意するのは先生のお仕事だからね」 と、事前に言っておく。
- ② もし近くに先生がいなくて、どうしても注意したくなったときは、 「ね」を語尾につけて、小さい声で注意することを教え、練習させる。「横入りしないでね」は、柔らかい。語尾が「な」「よ」はNG。 「横入りするな」「横入りするなよ」ときつくなる。
注意は子どもにさせず、教師がした方がいいです。
子ども同士で注意させると、「お前だってやってたやろ!」「何なんその言い方!」と喧嘩になることがあります。いじめにつながることもあります。注意する方は、「間違っている人を正してあげたい」「自分は正しいことをしている」と思い込みがあるからです。
子ども同士が注意し合ってもめそうなとき、「そんなにきつく注意したらあかんよ、チュウは優しくね」と対応します。わざと「注意」と「チュウ」を間違って子どもに言います。
すると、子どもは笑って「先生、チュウじゃなくて、注意です」と、返してきます。
2.「女だから」 と言う子への指導
「お前、女の子みたいな服着ているな」などと、からかう子どもがいます。
日本の性的少数者(LGBT)450人のうち、学校で性差別の暴言を経験した人が86%もいます。
暴言を聞いた教師で、注意したのはたった7%だけです。60%の 教師は、特に対応していません。いじめの傍観者と同じです。
まず教師自身が、性に対しての偏見意識をチェックしてみる必要があります。(子どもにも使えます。)
- □ 家庭科の調理実習や裁縫で、男の子が上手だったら驚く。
- □ 男の子が赤色、女の子が黒色や青色のランドセルだったら驚く。
- □ 男同士で手をつないでいたら、驚く。
これからの日本や世界で生きていく子どもに、差別について深く考えさせたいです。
そこでまず、2018年の「世界平和度指数ランキング」で、144か国中、日本は何位だったか予想させ理由を話し合わせます。日本は 9位、G7(先進7か国)では2位でした。感想を聞き、日本が上位の理由を考えさせます。また、日本の平和度指数ランキングがさらに上がるための改善策を話し合わせます。
次に、2018年の「男女平等ランキング」を予想させ理由を話し合わせます(149か国中日本は110位、G7では最下位)。感想を聞き、上のアンケートをします。最後に子どもたちに次の話をします。 「男女平等や、多様な性への理解をすることが、クラスや学校、 日本をさらに良くすることにつながります。」
子どもは、性への言動をよく考えるようになります。敏感になります。
*2019年「世界のSDGs達成度ランキング」で、日本は162か国中 15位でした。「男平等に大きな課題がある」と指摘されています。