怒りを笑顔に! 教師のアンガーマネジメント
怒りを笑顔に! 教師のアンガーマネジメント 第4回 脳のどの辺りから怒りが湧くのか◆怒りを心や性格でなく、「科学」の視点で子どもに指導します◆
生徒指導
2021.08.18
怒りを笑顔に! 教師のアンガーマネジメント
大阪市の小学校で現在6年生の担任と生活指導主任を務める松下隼司氏は教員18年目。怒りの感情のコントロールが苦手で、これまで子どもを必要以上に怒って苦しめてしまい、自分自身も後悔してしまうことがあったといいます。そんな松下氏はその後一念発起して「アンガーマネジメント」の資格を取得。同じ失敗を繰り返さないよう工夫している事例を6回に分けて紹介していただきます。
脳のどの辺りから怒りが湧くのか
◆怒りを心や性格でなく、「科学」の視点で子どもに指導します。◆
1.脳の仕組み
怒りのスタート地点は、脳の扁桃体という部分です。
扁桃体が自分自身への脅威を察知すると、体にストレス反応を起こすアドレナリンを分泌させます。
すると、心拍や血圧、呼吸数の増大、骨格筋への血液増加、発汗などが起こります。これが怒っているときの体の状態です。怒りを落ち着かせるには、体の症状を元に戻せばいいです。
- ① 自分の手首に指を当てて、心拍数を数えさせる。
- ② 深呼吸を繰り返させる。
- ③ 座らせる。
- ④ 汗を拭かせて、涼しい場所に移動させる。
③④が特に効果的で、姿勢や場所を変えることが、気持ちの切り替えになりました。
2.集団の順位ー鶏脳
鶏は、非常に階層化された動物です。互いにつつき合って、上下関係を決めます。一番強い雄鶏から順に、餌、雌鶏、ねぐらなどを獲得できます。夜明け前の鳴き声のタイミングを決めるのも、一番強い雄鶏です。続いて2位から順に鳴き声を発します。
クラスの子どもたちの序列や人間関係を把握する手立てがあります。
自由な並び方で、クラスの集合写真を撮影する。
場所は、広い運動場や講堂がおすすめです。教室でも撮影できます。
体育などの隙間時間や、運動会やお楽しみ会などで撮ります。
撮影時の子どものポジションが、前回とどう変わったかを比較することで、クラスの子どもの人間関係をつかむこともできます。
- ① 最前列の子ども→意欲的
- ② 最前列の真ん中にいく子ども→リーダー・ボス的存在
- ③ 最後列にいる子ども→大人しい・遠慮がち
- ④ 人の真後ろに隠れる子ども→友達づきあいが苦手
- ⑤ 男女の混ざり具合→男女の仲の良さ(混ざっているほど仲良し)
- ⑥ 隣同士の子どもの距離→近いほど仲良し
- ⑦ 子ども全体の密集度→クラスの仲の良さ(狭いほど仲が良い)
3.いじめは爬虫類脳?
「爬虫類脳」は、人間の「本能的な欲求や生理現象」のことです。
人間は、集団の構成員を「邪魔者」と感じたら、本能的にその構成員を排除しようします。また、排除しようとするとき,ドーパミン(快感を感じる脳内物質)が分泌されます。子どもの脳は未発達なので、理性を抑制できず「いじめ」に発展することがあります。
そこで平時に、子どもたちに、「いじめって楽しい?」と問いかけます。(「楽しくない」と答えます。)「ジャイアンやスネ夫は楽しそうだけど?」と揺さぶります。(「ジャイアンたちは元々いじめっ子だから」など答えます。)
次に、「いじめをするほど、楽しくなってしまう。脳の奥にある“爬虫類の脳”のせいで。爬虫類って知ってる?」と聞きます。そして、「ヘビやワニ。本能だけで生きている動物。みんなは何類?」と聞きます。「人類は本能だけでなく、理性と知性を活かして、進化・発展しました」と話します。最後に「いじめをするのは何類の脳?みんなは何類?」と振り返ります。