財政課の1年
財政課の1年 4月編 はじめて財政課に配属されたあなたへ!4月の業務をおさらい!
ぎょうせいの本
2023.04.12
本記事は、月刊『地方財務』2022年4月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
「財政課の1年」は、今月から始まる新連載です。新年度が始まる4月から年度が終わる3月まで、それぞれの月に財政課職員が携わる仕事について書いていきます。新たに財政課のメンバーになった方、配属されたばかりではないけれどまだ手探りの面があるといった方に参考にしていただければと思いますが、ベテランの方にもおさらいの意味でお役に立てればうれしいです。
忙しいのも大変ですが、「何をやればいいかわからない」というのはもっとしんどいものです。ふと手が空いて、何をすればいいかわからないようなときなどにも頁を開いていただければと思います。業務内容のほか、財政課職員として注意しておきたいことなども書いていきますので、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
予算書を読む
「財政課のメインの仕事は?」と尋ねられたら、ほとんどの人が「新年度予算を作ること」と答えると思います。とすれば、予算書は財政課の仕事の成果物であるといっていいでしょう。ならば、しっかり読み込んで理解しなければなりません。
「あんなに分厚く、数字がひたすら羅列されているものを読み通すなんてできない」と思われるかもしれませんが、ご心配なく。全部読もうとしなくても大丈夫です。予算書として配られる冊子は数百ページにも及ぶかもしれませんが、実際に予算として議決が必要なのは前半の部分だけで、残りは説明書です。まずは議決が必要な本体部分をしっかり押さえましょう。
ここでは青森市の令和3年度予算を参考にさせていただきますが、内容はほぼ共通したものであると思いますので、ぜひご自身の自治体の予算書をご参照ください。
資料1 令和3年度青森市一般会計予算
令和3年度青森市の一般会計の予算は、次に定めるところによる。
(歳入歳出予算) 第1条 歳入歳出予算の総額は、歳入歳出それぞれ122,633,000千円と定める。 2 歳入歳出予算の款項の区分及び当該区分ごとの金額は、「第1表歳入歳出予算」による。
(継続費) 第2条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第212条第1項の規定による継続費の経費の総額及び年割額は、「第2表継続費」による。
(債務負担行為) 第3条 地方自治法第214条の規定により債務を負担する行為をすることができる事項、期間及び限度額は、「第3表債務負担行為」による。
(地方債) 第4条 地方自治法第230条第1項の規定により起こすことができる地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法は、「第4表地方債」による。
(一時借入金) 第5条 地方自治法第235条の3第2項の規定による一時借入金の借入れの最高額は、30,000,000千円と定める。
(歳出予算の流用) 第6条 地方自治法第220条第2項ただし書の規定により歳出予算の各項の経費の金額を流用することができる場合は、次のとおりと定める。
⑴ 各項に計上した給料、職員手当等及び共済費に係る予算額に過不足を生じた場合における同一款内でのこれらの経費の各項の間の流用。 (出所) 令和3年度青森市一般会計・特別会計予算(https://www.city.aomori.aomori.jp/zaisei/documents/r3tousyogian.pdf)
まずは、第1条です。第1項に総額が示されています。財政課の職員であれば、この金額を忘れてはいけません。語呂合わせをしてでも、しっかり記憶にとどめましょう。大体の数字、ではなく、最後の桁まで正確に。
第2項で、歳入歳出の区分は第1表によると規定しています。この第1表が予算の中心となるもので、款・項の区分ごとの金額が記載されています。個々の金額をすべて覚えるのは大変ですが、自分が担当することになった部分はしっかり押さえましょう。土木費の担当であれば、総額はいくらで全体に占める割合はどのくらいかといったことを、起債の担当であれば、歳入としての地方債と歳出としての公債費の比較などを捉えておきたいところです。
第2条では、継続費について規定しています。新たな設定がない場合には記載されませんので、年度によっては継続費についての規定がないということもあります。継続費の具体的な内容は第2表に掲載されていますので、この機会に参照しましょう。
令和3年度の青森市のケースでは、2件の継続費が新たに設定されています。継続費は複数年度を要する大型工事において設定されることが多いので、それほど多くの件数はないと思います。担当外の款や部であっても、継続費の項目や大まかな金額などは知っておきましょう。
第3条では、債務負担行為について規定しています。継続費の規定がない自治体はあっても、債務負担行為がない自治体はあまりないと思います。第3表に一覧が掲載されていますが、参照していただければ継続費と比べて数が非常に多いことがわかるでしょう。これらをすべて覚える必要はないと思いますが、どのようなものが債務負担行為とされているかといった概要は掴んでおきましょう。なお、継続費と債務負担行為の違いについては、後ほどご説明します。
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