仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術
【仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術】他人の知識や経験を活用する巻き込み力
地方自治
2020.09.25
仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術
出版社(株)ぎょうせいは2020年8月、『仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術』(本山毅/著)を刊行する運びとなりました。本書は、公務員の職場における書類やファイル、パソコン上のフォルダの整理術だけではなく、人間関係、出世、お金や結婚といった公務員のプライベートまで幅広い課題を包括し、「仕事もココロも楽になる!」ための整理術の本です。
ここでは、基礎自治体において幅広い分野の業務を経験した著者ならではの知見の詰まった『仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術』(本山毅/著)のうち、本書の第2章 仕事が驚くほどはかどる「業務の整理術」7 他人の知識や経験を活用する巻き込み力をご紹介し、本書の特色やポイントについて紹介したいと思います。(編集部)
他人の力を借りて成果を高める
「与えられた業務をいかに効率よく処理するか」は確かに大事な視点ですが、業務は必ずしも一人だけで行うものではありません。
例えば、資料作成を命じられて、何の問題もなく自分一人で完成できるのであれば、ただ頑張るしかありません。しかし、その資料に類似した資料を既に作っていた人がいれば、そのファイルをコピーさせてもらうことも可能です。ファイルを上書きすれば、最初から資料の構成を考える必要はなくなり、作業時間は大幅に短縮できます。
また、庁内横断的な検討組織(委員会やプロジェクトチームなど)の立ち上げを課長から依頼されたとします。この場合、①設置要領の作成、②メンバーの選定、③検討内容の決定、④他部署へメンバー就任の依頼、⑤今後のスケジュール、など一人で処理するにはかなりの事務負担になります。
こうした時、既に様々な会議体の設置に経験のある職員に要領の制定方法等を教えてもらう、他部署へのメンバー就任の依頼は顔の広い係長に相談して一緒に対応するなど、他人の力を借りることができれば、自分一人の負担はかなり減るはずです。
このように、他人に協力してもらい、力を借りるのが巻き込み力です。これは、自分が楽をしたいために、もともと自分一人でできる仕事を他人に押し付けるものではありません。目的は、与えられた業務の成果を高めるため、他人に協力してもらうのです。
この巻き込み力は職員のスキルとしては本当に重要なのですが、残念ながら、あまり活用できていない職員が多いようです。
その理由の1つは、「これを相手にお願いしたら悪いかな」という職員自身の遠慮です。しかし、先に述べたように、これは自分が楽するためではありません。あくまで、業務の成果を高めるためですから、「この資料作成を命じられたんですが、Aさんが以前に作成した予算要求資料が参考になると思うんです」など、業務の成果向上の観点からお願いすることが大事です。
もう1つは、職員自身が自分で仕事を抱え込んでしまうことです。「これは、自分自身に与えられた仕事だから、他人に協力を求めるべきでない」と頑なに考えてしまうのです。これは、最近の職員に多いのですが、なかなか周囲と円滑なコミュニケーションを構築できない職員が結構いるのです。
しかし、このように自分で仕事を抱え込んでしまうことは、自分自身を追い込んでいくことになります。なぜなら、その業務ができないのは、できない自分が悪いと考えてしまうからです。これでは、自分で自分にダメ出しをするようなものです。このようなことが何回も繰り返されると、次第に職場で追い詰められてしまいます。
巻き込み力を持つことのメリット
役所の仕事は組織で行っていますから、職員に与えられた業務であっても、それは組織の業務の1つに過ぎません。組織に関係ない「あなただけの仕事」などはありません。このため、他人に協力してもらう、他人の知識や経験を活用することは、組織の業務の成果を高めるためには何ら問題ないのです。
この巻き込み力を持つことのメリットは2つあります。
1つは、他人に協力を求めることは、自分の業務状況を開示することにつながることです。「自分は、まだここまでしかできません」、「この点について協力してほしいのです」と言えば、周囲の人にあなたの現在の状況を伝えることができます。これは、周囲の人(特に上司)にとってあなたの状況が「見える化」されるのでありがたいのです。
もう1つは、上司を巻き込むことができれば、リスクを共有してもらえることです。「これができません」と問題点を上司に伝えれば、既にできないことを上司に報告したことになります。ですから、後で「なぜ、これができていないんだ」と言われることもないわけです。つまり、上司に話した時点で、できていないというリスクを共有してもらっているのです。巻き込み力は情報共有にもなります。
ただ、繰り返しになりますが、自分自身でできる業務をやらない、ただ他人に自分の仕事を押し付けているのでは困ります。そうではなく、あくまで業務の成果を高めるために、他人の力を活用するのです。巻き込み力を、大げさに考えなくてかまいません。困ったことがあれば、「これで周囲の人と話す材料が1つできた」くらいの気軽な気持ちでよいでしょう。